2021年09月30日

鉱工業生産21年8月-7-9月期は5四半期ぶりの減産へ

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

日本経済 鉱工業生産指数│日本 などの記事に関心のあるあなたへ

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1.8月の生産は事前予想を大きく下回る

鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移 経済産業省が9月30日に公表した鉱工業指数によると、21年8月の鉱工業生産指数は前月比▲3.2%(7月:同▲1.5%)と2ヵ月連続で低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲0.5%、当社予想も同▲0.5%)を大きく下回る結果となった。出荷指数は前月比▲3.8%と2ヵ月連続の低下、在庫指数は前月比▲0.3%と2ヵ月連続の低下となった。

8月の生産を業種別に見ると、世界的な半導体不足と東南アジアからの部品調達難の影響で自動車が前月比▲15.2%となり、7月の同▲3.3%から低下幅が大きく拡大したほか、堅調な推移が続いていた生産用機械(前月比▲3.2%)、電子部品・デバイス(同▲2.9%)も前月比でマイナスとなった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は21年4-6月期の前期比9.9%の後、7月が前月比▲0.9%、8月が同▲3.0%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は21年4-6月期の前期比4.2%の後、7月が前月比▲2.4%、8月が同0.3%となった。7、8月の平均を4-6月期と比較すると、資本財(除く輸送機械)が▲0.5%、建設財が▲1.8%低い水準となっている。
財別の出荷動向 GDP統計の設備投資は21年1-3月期に前期比▲1.3%の減少となった後、4-6月期は同2.3%の増加となった。企業収益の改善を背景に設備投資は持ち直しているが、7-9月期はいったん足踏み状態となる可能性がある。

消費財出荷指数は21年4-6月期の前期比▲2.9%の後、7月が前月比0.5%、8月が同▲5.7%となった。8月は耐久消費財(前月比▲14.0%)、非耐久消費財(同▲2.0%)とも低下した。

GDP統計の民間消費は21年1-3月期に前期比▲1.3%の減少となった後、4-6月期は同0.9%の増加となったが、均してみれば低水準で横ばい圏の動きが続いている。緊急事態宣言の影響で外食、旅行などの対面型サービス消費の低迷が続いていることに加え、巣ごもり需要の一巡や自動車減産の影響などから財消費も弱めの動きとなっている。21年7-9月期の民間消費は2四半期ぶりの減少となる可能性が高い。

2.7-9月期は5四半期ぶりの減産へ

製造工業生産予測指数は、21年9月が前月比0.2%、10月が同6.8%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(8月)、予測修正率(9月)はそれぞれ▲5.5%、▲6.3%であった。

予測指数を業種別にみると、7月(前月比▲3.8%)、8月(同▲12.5%)と2ヵ月連続で低下した輸送機械は、9月に同▲8.7%とさらに落ち込んだ後、10月には同15.8%と持ち直す計画となっている。ただし、8月の実現率が▲9.3%、9月の予測修正率が▲19.7%といずれも大幅なマイナスとなったことを踏まえると、実際の生産はさらに下振れる可能性もある。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
21年8月の生産指数を9月の予測指数で先延ばしすると、7-9月期の生産は前期比▲1.6%となる。新型コロナウイルス感染症の影響で前期比▲16.8%と急速に落ち込んだ21年4-6月期以来、5四半期ぶりの減産となることが確実となった。

国内需要が低迷する中でも、輸出の増加を背景に鉱工業生産は回復を続けてきたが、供給制約に伴う自動車生産の急速な落ち込みを主因としてここにきて弱い動きとなっている。現時点では、世界的な設備投資需要の回復やデジタル関連需要の強さを背景に、生産用機械、電子部品・デバイスなどが堅調を維持することにより、鉱工業生産は年末に向けて持ち直すと予想しているが、当面は自動車を中心に下振れリスクの高い状態が続くことが見込まれる。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年09月30日「経済・金融フラッシュ」)

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