- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 岸田新政権によるスタートアップ支援への期待
1――岸田氏もスタートアップ支援の強化を掲げる
より具体的な政策の中身はこれからだが、科学技術立国の実現に向けて、10兆円規模の大学ファンドの創設や研究開発などを行う企業を支援する大胆な税制などを掲げ、科学技術とイノベーションへの投資を抜本的に拡大させることへの意欲を見せていることから、創薬やバイオテクノロジー、再生可能エネルギーなどのクリーンテクノロジーなどを手掛ける研究開発型スタートアップ、大学発スタートアップの支援が拡充されることにも期待がかかる。また、デジタル田園都市構想の実現に向けて、デジタルインフラの拡充やデジタル技術の社会実装が推し進められ、より世の中のデジタル化の機運を高めることができれば、シニア層や中小・零細企業へのデジタルサービスなどを手掛けるスタートアップやフリーランスのビジネスチャンスが広がることも考えられる。
2――求められる長期で続けるブレない姿勢
一方、コロナ禍においても、日本のスタートアップをめぐる環境が着実に前進していることは、岸田新政権にとっても追い風となる。一時は急落した株価は、足もと不安定さを見せているものの依然として高値圏にあり、新規上場数も堅調に推移している。スタートアップの資金調達金額は底堅く推移しており、大型の資金調達も見られる。ここ数年でスタートアップとの連携や資本提携を増やしてきた大企業の姿勢も大きくは変わっていないように見える。
さらに、海外の投資家が日本のスタートアップに投資する事例も増えてきた。例えば、バイオ素材の開発を手掛けるSpiber(山形県鶴岡市)は、この9月に米国のカーライルやフィデリティ、英国のベイリー・ギフォード等から大型の資金調達を行うことを発表した。また、海外の有力企業に買収されるスタートアップも現れた。米決済大手ペイパル・ホールディングスは、後払いサービスを手掛けるPaidy(東京都港区)を3,000億円で買収することを発表した。長らく、内外の有力企業が買収したいと思うようなスタートアップが少ない、EXITがIPOに偏重しているなどと言われてきたが、米国の大手IT企業から3,000億円もの評価額で買収される企業が出てきたことは、非常に画期的なことである。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
このレポートの関連カテゴリ
中村 洋介
研究・専門分野
(2021年10月01日「研究員の眼」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【岸田新政権によるスタートアップ支援への期待】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
岸田新政権によるスタートアップ支援への期待のレポート Topへ