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世界各国の金融政策・市場動向(2021年7月)-中国では規制強化で株価が大幅下落
経済研究部 主任研究員 高山 武士
1.概要:中国株が大幅下落、為替はドル高が継続
1 本稿では金融政策はG20について確認する。また、株価・為替についてはMSCI ACWIの指数を構成する50か国・地域について確認する。中国と記載した場合は中国本土を指し香港は除く。また、香港等の地域も含めて「国」と記載する。
2.金融政策:地域により状況は様々
7月は6月に続いて日本・米国・ユーロ圏で決定会合が開催されている。日本では政策手段の変更はなかったが、先月に決定した気候変動関係の資金供給策の骨子素案を決定した。米国では、金融政策方針を維持しつつ、テーパリング(資産購入ペースの減少)開始に向けて進展しているとの見解が示された1。ユーロ圏では上旬に金融政策戦略の見直し結果が発表され、インフレ目標を「中期的に2%」と対称的な記載に変更することなど2を決定した上で、22日の政策理事会ではフォワードガイダンスを「(1)インフレ見通しが見通し期間中に2%に達し、(2)その後安定して推移し、また(3)足もとでも目標に向かった進展が見られる」までは利上げをしないとする趣旨に変更した。内容を分かりやすくするとともに、ハト派的な姿勢を一層強めるものとなったと言える。
それ以外の国では、先進国ではオーストラリア準備銀行が資産購入策の延長を決定した。前回2月の延長時には1000億豪ドルの枠を追加していた(週50億豪ドルのペースで購入し、9月上旬まで実施)が、今回は金額を設定せずに週40億豪ドルのペースで現行の購入策終了後、少なくとも11月上旬までと定めた。資産購入策の延長ではあるが、購入ペースの縮小を伴うものであり、緩和からの出口への動きを進める決定と言える。また、カナダ銀行も同じく資産購入ペースの縮小(週30億→20億加ドル)を決定している。
新興国ではロシアでは4会合連続となる政策金利の引き上げを決定し、今回は1.0%ポイント(5.5→6.5%)引き上げている。前回6月の引き上げ幅は0.5%ポイントであり、インフレ加速を受けて引き締め姿勢を強めたことになる。また、ハンガリーでも先月に続き2会合連続での利上げを決定した3。一方、中国人民銀行は商品価格の上昇に伴う中小・零細企業の負担を軽減させることを目的に、預金準備率の引下げを決定している。
1 米国ではこのほか、常設の資金供給手段としての「常設レポファシリティ(SRF)」の導入が決定され、またコロナ禍で導入された海外向けの外貨(ドル)供給手段である「FIMAレポファシリティ」の常設化が決定された。
2 戦略見直しのその他の内容など、詳細は高山武士(2021)「ECBの新戦略」『基礎研レター』2021-07-13を参照。
3 ハンガリーは、今月は預金ファシリティや貸出ファシリティといった関連金利もベースレートを同様に引き上げ、コリドー幅は維持している。なお、ハンガリーは資産購入策については継続する姿勢を維持している点が特徴的と言える。
3.金融市場:株価は中国で大幅下落、為替はドル高傾向が継続
4 名目実効為替レートは2021年7月26日の前月末比で算出。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年08月02日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1818
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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