2021年07月30日

“DXの勝者”が次に目指しているもの~「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代

立教大学ビジネススクール 大学院ビジネスデザイン研究科 教授   田中 道昭

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■要旨
 
  1. オンラインで開催された世界最大のテクノロジー見本市「CES2021」において打ち出された価値観を3つのキーワードに落とし込むならば、それはデジタル、グリーン、エクイティであった。例えば、自動車部品最大手の独ボッシュによる基調講演において、ボッシュは自社の事業所の二酸化炭素排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを「2020年に達成した」と発表。一方、GMのメアリー・バーラCEOによる「変曲点」と題された基調講演では、気候変動対策としてのEVについて、「すべての人をEVに」を掲げラインナップのEV化がうたわれるとともに、GMが黒人問題をはじめとする人種差別の問題に立ち向かうことが強調された。
     
  2. 「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代における新たな世界観とは、顧客中心でも、人間中心でもない、「人×地球環境」中心の世界観である。これは、顧客中心主義や人間中心主義を捨て去るわけではなく、むしろ、顧客中心主義や人間中心主義を前提とした、新しい世界観として「人×地球環境」を捉えるということである。顧客中心主義、人間中心主義を背景にしたデジタルの利便性の追求が、気候変動問題という形で、地球環境レベルでの弊害をもたらしている。こうした問題意識のもと、「人と地球環境がともに持続可能な未来を創造する」というパーパスを設定することが重要である。そして、デジタルとグリーンによって作られる世界にも存在する格差や不平等を解消して、「豊かさを公平・公正に分かち合う」というエクイティを担保することなくしては、経済の循環が長く続くことはない。
     
  3. 実際には、「デジタル×グリーン×エクイティ」をそれぞれの企業が個別に努力するだけでは、実現にも時間を要し、大きなムーブメントにはなり得ない。今の日本に必要なのは、国家としてのグランドデザインである。「今、世界はどのような状況にあり、自分たちが置かれている国家や社会や業界はどのような立場にあるのか?」「自分たちが求められている役割/果たすべき役割とは何であるのか?」「その役割にしたがって自分たちは何をしていくのか?」を徹底的に考え、それらを産業政策やエネルギー政策などとして明快に提示していくことである。


■目次

1――「CES2021」で提示された新しい価値観代
  1|ボッシュのカーボンニュートラル達成とGMが示した変曲点
  2|デジタル、グリーン、エクイティを三位一体で考える
2――「デジタル×グリーン×エクイティ」の時代
  1|「顧客」中心から、「人間」中心、「人×地球環境」中心へ
  2|循環型経済のグランドデザインを描く
  3|「平等」と「公平」「公正」の違い
  4|D&IからDEIへ
  5|「多様性と個性を受け入れ、活かす」時代へ
3――日本に必要な「国家としてのグランドデザイン
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立教大学ビジネススクール 大学院ビジネスデザイン研究科 教授

田中 道昭

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