- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 欧州経済 >
- ユーロ圏消費者物価(6月)-エネルギーによる物価の押し上げが続く
2021年07月01日
1.結果の概要:再び1%台に
6月30日、欧州委員会統計局(Eurostat)は6月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は+1.9%、市場予想1(+1.9%)と同じで、前月(+2.0%)から減速(図表1)
・前月比は+0.3%、予想(+0.2%)を上回り、前月(+0.3%)と同じ
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は+0.9%、予想(+0.9%)と同じで、前月(+1.0%)から減速(図表2)
・前月比は+0.3%、前月(+0.2%)から加速
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:財価格の上昇とサービス価格の下落がほぼ拮抗する形
6月のHICP上昇率(前年同月比)は全体で+1.9%となり、前月(2.0%)から再び1%台の伸び率となった。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」も+0.9%であり、前月(1.0%)から減速し0%台となっている。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」(6月は前年同月比+0.9%、5月は1.0%)の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は4月0.4%→5月0.7%→6月1.2%となり大幅に加速している。一方、「サービス」は4月0.9%→5月1.1%→6月0.7%と再び1%割れとなりインフレ圧力は弱まっている(前掲図表2)。
コア以外の部分では「エネルギー」が、6月は前年同月比12.5%となり、3か月連続の2桁増となった。前年同月比寄与度では、約1.14%ポイントに達していると見られ、前月に続き全体の伸び率の1%以上をエネルギー価格が押し上げている(前掲図表1・2)。ただし、伸び率は5月(13.1%)から減速しており、ベース効果によるインフレ率の押し上げは今後、軽減されていくだろう。
「飲食料(アルコール含む)」は、6月は前年同月比で0.6%(5月0.5%)となり、3か月連続で1%割れの低い伸び率となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は0.9%(5月0.7%)、未加工食品は▲0.3%(5月▲0.0%)だった。未加工食品ではベース効果による伸び率の鈍化が続いている。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分の「エネルギーと飲食料を除く総合」(6月は前年同月比+0.9%、5月は1.0%)の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」は4月0.4%→5月0.7%→6月1.2%となり大幅に加速している。一方、「サービス」は4月0.9%→5月1.1%→6月0.7%と再び1%割れとなりインフレ圧力は弱まっている(前掲図表2)。
コア以外の部分では「エネルギー」が、6月は前年同月比12.5%となり、3か月連続の2桁増となった。前年同月比寄与度では、約1.14%ポイントに達していると見られ、前月に続き全体の伸び率の1%以上をエネルギー価格が押し上げている(前掲図表1・2)。ただし、伸び率は5月(13.1%)から減速しており、ベース効果によるインフレ率の押し上げは今後、軽減されていくだろう。
「飲食料(アルコール含む)」は、6月は前年同月比で0.6%(5月0.5%)となり、3か月連続で1%割れの低い伸び率となった(図表3)。飲食料のうち加工食品の伸び率は0.9%(5月0.7%)、未加工食品は▲0.3%(5月▲0.0%)だった。未加工食品ではベース効果による伸び率の鈍化が続いている。
最後に、国別のHICP上昇率を見ると、6月は前年同月比伸び率で19か国中、10か国が加速・9か国が減速している。加速・減速にはバラツキはみられるが、ギリシャなどを除けば前年同月比のインフレ率が大きく変動した国はなかったと言える(図表5・6)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年07月01日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1818
経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
高山 武士のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/01/20 | IMF世界経済見通し-ベースラインは安定成長だが不確実性は高い | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/16 | ロシアの物価状況(24年12月)-前年比伸び率は9%台半ばまで上昇 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/08 | ユーロ圏消費者物価(24年12月)-総合指数は3か月連続上昇、2.4%に | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
2025/01/08 | ユーロ圏失業率(2024年11月)-失業率・若年失業率ともに横ばい推移 | 高山 武士 | 経済・金融フラッシュ |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年01月21日
気候変動 保険活用への影響-保険の“3つのA”はどのような影響を受けるか? -
2025年01月21日
EUにおけるソルベンシーIIのレビューを巡る動向2024-ソルベンシーIIの改正指令が最終化- -
2025年01月21日
「人生会議」とは何か?~アドバンス・ケア・プラニング(ACP)は、最期まで自分らしく生き抜くためのキーワードか~ -
2025年01月21日
ベトナム生命保険市場(2023年版) -
2025年01月21日
今週のレポート・コラムまとめ【1/14-1/20発行分】
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【ユーロ圏消費者物価(6月)-エネルギーによる物価の押し上げが続く】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ユーロ圏消費者物価(6月)-エネルギーによる物価の押し上げが続くのレポート Topへ