- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融政策 >
- 日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは9ポイント上昇の14と予想、非製造業との格差は拡大へ
2021年06月17日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 6月短観では、大企業製造業で景況感の順調な回復が続いていることが確認されると予想する。海外経済回復に伴う輸出の増加や円安基調の継続が追い風になる。一方、非製造業では、社会のオンライン化に伴う情報通信サービス需要増加や、製造業からの物流・法人向けサービス需要増加などが追い風になるものの、3度目の緊急事態宣言発令による対面サービス需要の低迷等を受けて、景況感が伸び悩むと予想。製造業・非製造業間の景況感格差がさらに拡大することになりそうだ。
- 先行きの景況感は総じてやや改善すると予想。内外でワクチンの接種が進み、経済活動が回復に向かうことが期待されるためだ。ただし、コロナ変異株や原材料コストのさらなる増加への警戒が重荷になる。東京五輪については見方が交錯し、影響が限られるだろう。
- 今年度の設備投資計画は前年度比3.7%増へ上方修正されると予想。例年、6月調査では上方修正される傾向が強いうえ、製造業を中心に投資余力が回復したことや、設備の過剰感が緩和していることがその理由となる。ただし、対面サービス業の投資意欲低迷が重荷となるため、上方修正幅は近年の平均値を下回るだろう。今回は計画の上方修正によって企業の設備投資意欲の持ち直しが確認されるものの、前年度の大幅な減少の後にしては反発力に欠け、慎重姿勢が未だ残っていることも垣間見える結果になると見ている。
- 今回の短観で景況感や設備投資計画以外でまず注目されるのは仕入価格判断DIだ。資源価格高騰によるコスト増加が利益を圧迫しているとみられるだけに、その影響度合いがポイントとなる。また、資金繰り判断DIも注目点になる。民間金融機関による実質無利子無担保融資制度が終了したうえ、コロナ関連融資の返済も一部で始まっているとみられるだけに、対面サービス業を中心に資金繰りが悪化していないかがポイントとなる。
■目次
6月短観予測:製造業は外需・円安が追い風に、非製造業は緊急事態宣言が重荷に
・大企業製造業の景況感は2年半ぶりの高水準へ
・今年度設備投資計画は上方修正へ
・注目ポイント:仕入価格判断DI、資金繰り判断DIなど
・日銀金融政策への影響は殆どなし
6月短観予測:製造業は外需・円安が追い風に、非製造業は緊急事態宣言が重荷に
・大企業製造業の景況感は2年半ぶりの高水準へ
・今年度設備投資計画は上方修正へ
・注目ポイント:仕入価格判断DI、資金繰り判断DIなど
・日銀金融政策への影響は殆どなし
(2021年06月17日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは9ポイント上昇の14と予想、非製造業との格差は拡大へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日銀短観(6月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは9ポイント上昇の14と予想、非製造業との格差は拡大へのレポート Topへ