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- 家族計画の変化に見る、新型コロナの少子化への影響(4)-結婚意欲の高まりについて-
家族計画の変化に見る、新型コロナの少子化への影響(4)-結婚意欲の高まりについて-

保険研究部 准主任研究員 岩﨑 敬子
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1―― はじめに
1 「被用者の働き方と健康に関する調査」、2021年2月-3月に、18歳-64歳の被用者を対象として行われたWEBアンケート調査(n=5,808、うち40歳以下の回答は2,603件。)。調査方法や対象の詳細は、岩﨑敬子, 2021年5月31日「家族計画の変化に見る、新型コロナの少子化への影響(1)-イントロダクション-」基礎研レター(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67876?site=nli)を参照。
2―― 新型コロナ拡大によって結婚したいと思うようになった人は約17%
3―― 結婚したいと思った理由は「自分の人生について考えた」から
2 本調査では、1つ目の質問として「新型コロナ感染症の拡大によって、あなたの家族計画(結婚・離婚・出産計画や将来持ちたい子どもの数等)に変化はありましたか。」という質問で、「結婚したいと感じた」「離婚したいと感じた」「一時的にコロナ禍では妊娠を控えたいと思った」「将来的に持ちたい子どもの数が減った」「将来的に持ちたい子どもの数が増えた」「その他」「上記のような家族計画の変化はなかった」の選択肢から複数選択形式で選択頂いた後、2つ目の質問として「上記のような家族計画の変化はなかった」以外を選択した人に対して、再度複数選択形式で、「その理由はなんですか」と質問している。そのため、理由の分布については、1つ目の質問で複数の変化を選ばれている場合は、「結婚したいと思った」こと以外の理由も含まれている可能性がある点に、ご留意頂きたい。
4―― 結婚したいと思った人の特徴
5―― おわりに
コロナ禍で自分の人生について考えるとなぜ結婚したいように思うようになるのかといった要因については、今後の課題としてさらに検証していく必要がある。考えられる可能性としては、在宅勤務によって結婚意欲が高まる傾向がみられることから、人との直接的な交流が減ることで、家庭を持ちたいと思うようになるのかもしれない。また、男性は収入に変化があると、結婚したくなり、女性は仕事量に変化があると結婚したくなるという傾向は、男女の役割意識の違いを表している可能性があることに加えて、コロナ禍での仕事の状況の変化が、結婚意欲へ影響を与えるきっかけになっている可能性があることを示唆する。そのため、どういった仕事の状況や役割意識が結婚意欲と関係しているのか、具体的に検証していくことが、より効果的な少子化対策を検討していく上で、必要と考えられる。
いずれにしても、新型コロナ拡大によって、結婚意欲が高まった人が一定割合いると考えられることから、その意欲の高まりを活かしつつ、コロナ禍での出会いの難しさを克服するような対策を考えていくことが、少子化対策として重要だろう。
3 株式会社ネクストベル2020年6月15日,「新型コロナウイルスの流行により結婚に対する意識にどう変化が生じたか」(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000032757.html, 2021年5月25日アクセス)
4 厚生労働省「人口動態統計速報(令和2年12月分)」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2020/dl/202012.pdf, 2021年5月25日アクセス)
5「第15回出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、結婚持続期間5年未満の夫婦で、交際期間が1年未満の割合は12%。
(2021年06月02日「基礎研レター」)

03-3512-1882
- 【職歴】
2010年 株式会社 三井住友銀行
2015年 独立行政法人日本学術振興会 特別研究員
2018年 ニッセイ基礎研究所 研究員
2021年7月より現職
【加入団体等】
日本経済学会、行動経済学会、人間の安全保障学会
博士(国際貢献、東京大学)
2022年 東北学院大学非常勤講師
2020年 茨城大学非常勤講師
岩﨑 敬子のレポート
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