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- データヘルス改革ー集中改革プラン いよいよPHR システムが稼働
2021年03月05日
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データヘルス改革は、国民の健康寿命のさらなる延伸および効果的・効率的な医療・介護サービスの提供に向け、ICTを活用して健康・医療・介護領域のビッグデータを集約し、利活用するためのプラットフォームを構築しようとするものだ。2025年度に向けた推進計画工程表が公表されている*。
1―2022年度までの集中改革プラン
新型コロナウイルスの感染抑制策において、諸外国と比べて健康・医療関連情報の集約と利活用が遅れている現状を認識することとなった。また、各種手続き等のオンライン化に対する国民の関心が高まっている。こういった状況の中、今後2年間で、特に以下3つのサービスについて、「新たな日常にも対応したデータヘルスの集中改革プラン(集中改革プラン)の構築を図り、実現に向けて議論が進められることになった。
1|全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大
全国どこでも自身の保健医療情報が医師などに安全に共有される仕組みの拡大を目指している。救急や災害時であっても、より適切で迅速な診断や検査、治療等を受けることを可能とすることを目的とする。
医療機関等による情報の閲覧は、患者の同意のもとで行われる予定である。救急時や災害時には、原則として、マイナンバーカードの顔写真により本人確認をし、同意を得た上で医療情報を閲覧する。マイナンバーカードがない場合や本人の同意が得られる状態でない場合の扱いについても検討が続けられている。
2|電子処方箋の仕組みの構築
リアルタイムの処方情報共有、薬局における負担軽減、患者の利便性の向上を実現するものである。
マイナポータルを通じて処方されている薬を閲覧できる等のメリットがあるとされるが、一番の効果は重複投与や過剰投与の改善にあるものと考えられよう。
3|自身の保健医療情報を活用できる仕組み(PHR:Personal HealthRecord)の拡大
マイナポータルを通じて、自分自身の保健医療情報をPCやスマートフォンから閲覧することができる。個人のニーズに応じて、民間の健康医療支援サービス等を受けることも可能となる予定である。
1|全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大
全国どこでも自身の保健医療情報が医師などに安全に共有される仕組みの拡大を目指している。救急や災害時であっても、より適切で迅速な診断や検査、治療等を受けることを可能とすることを目的とする。
医療機関等による情報の閲覧は、患者の同意のもとで行われる予定である。救急時や災害時には、原則として、マイナンバーカードの顔写真により本人確認をし、同意を得た上で医療情報を閲覧する。マイナンバーカードがない場合や本人の同意が得られる状態でない場合の扱いについても検討が続けられている。
2|電子処方箋の仕組みの構築
リアルタイムの処方情報共有、薬局における負担軽減、患者の利便性の向上を実現するものである。
マイナポータルを通じて処方されている薬を閲覧できる等のメリットがあるとされるが、一番の効果は重複投与や過剰投与の改善にあるものと考えられよう。
3|自身の保健医療情報を活用できる仕組み(PHR:Personal HealthRecord)の拡大
マイナポータルを通じて、自分自身の保健医療情報をPCやスマートフォンから閲覧することができる。個人のニーズに応じて、民間の健康医療支援サービス等を受けることも可能となる予定である。
2―今後の展開
1|民間PHR事業者の参入が期待されている
集中改革プランのうちPHRは、医療機関にかかっていない人も含めて、すべての人が接することができる身近なサービスだろう。自分の健診結果や受診歴が集約されることで、利用者が自分の健康に関心を持ち、健康状態の改善に向けた行動に役立ててほしいといった意味があると思われる。
PHRは、健康増進サービスを提供する民間事業者の参入が期待されている分野で、個人が、自分のニーズに応じて、マイナポータルに搭載されている情報を民間サービスと連携することで、より自分に適したサービスを受けられるようにすることが考えられている。
民間PHR事業者によるサービスが充実している国は多い。特に、糖尿病、心疾患、禁煙プログラム、メンタルヘルス、がんの通院治療等、次の受診日までの生活をサポートする内容のサービスが多く、日常における血圧や血糖値、体重、睡眠情報、運動情報などのバイタルデータのほか、医療データ利用が活発な国では個人から提供された医療情報を活用している。患者は、次の受診までの間にサポートを受けると同時に、民間PHRサービスの利用状況を医療機関に提示することで、医療機関からもより適切な治療を受けることが可能となる等のメリットがある。医療機関も受診時以外の患者の状況を把握するツールとなる。
2|医療情報を活用することへの理解が得られるか
データヘルス改革の効果を享受するためには、マイナンバーを使って医療関連データを連結し、閲覧できるようにすることへの国民の理解と、マイナンバーカードの普及という課題を克服する必要がある。
マイナンバーカードの申請が国の計画から大幅に遅れていることを踏まえれば、健診情報や医療情報を確認できる仕組みができたとしても、情報提供の同意や利活用には慎重な人が多い懸念がある。
国が提供する全国で医療情報を確認できる仕組みやPHRシステム、および民間PHR事業者によるサービスが魅力的なものであれば、自分自身の健康情報の利活用に対する抵抗感の払拭やマイナンバーカードの普及が進むきっかけとなるのではないだろうか。
*村松容子「医療・介護分野のデータ利活用による新たなサービスが2020 年度稼働~「データヘルス改革」の進捗と展望」ニッセイ基礎研究所、保険年金フォーカス2019 年9月24日
集中改革プランのうちPHRは、医療機関にかかっていない人も含めて、すべての人が接することができる身近なサービスだろう。自分の健診結果や受診歴が集約されることで、利用者が自分の健康に関心を持ち、健康状態の改善に向けた行動に役立ててほしいといった意味があると思われる。
PHRは、健康増進サービスを提供する民間事業者の参入が期待されている分野で、個人が、自分のニーズに応じて、マイナポータルに搭載されている情報を民間サービスと連携することで、より自分に適したサービスを受けられるようにすることが考えられている。
民間PHR事業者によるサービスが充実している国は多い。特に、糖尿病、心疾患、禁煙プログラム、メンタルヘルス、がんの通院治療等、次の受診日までの生活をサポートする内容のサービスが多く、日常における血圧や血糖値、体重、睡眠情報、運動情報などのバイタルデータのほか、医療データ利用が活発な国では個人から提供された医療情報を活用している。患者は、次の受診までの間にサポートを受けると同時に、民間PHRサービスの利用状況を医療機関に提示することで、医療機関からもより適切な治療を受けることが可能となる等のメリットがある。医療機関も受診時以外の患者の状況を把握するツールとなる。
2|医療情報を活用することへの理解が得られるか
データヘルス改革の効果を享受するためには、マイナンバーを使って医療関連データを連結し、閲覧できるようにすることへの国民の理解と、マイナンバーカードの普及という課題を克服する必要がある。
マイナンバーカードの申請が国の計画から大幅に遅れていることを踏まえれば、健診情報や医療情報を確認できる仕組みができたとしても、情報提供の同意や利活用には慎重な人が多い懸念がある。
国が提供する全国で医療情報を確認できる仕組みやPHRシステム、および民間PHR事業者によるサービスが魅力的なものであれば、自分自身の健康情報の利活用に対する抵抗感の払拭やマイナンバーカードの普及が進むきっかけとなるのではないだろうか。
*村松容子「医療・介護分野のデータ利活用による新たなサービスが2020 年度稼働~「データヘルス改革」の進捗と展望」ニッセイ基礎研究所、保険年金フォーカス2019 年9月24日
(2021年03月05日「基礎研マンスリー」)

03-3512-1783
経歴
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/02/26 | がん検診で「要精密検査」でも受診しない理由 | 村松 容子 | 基礎研レター |
2025/02/12 | がん検診で「要精密検査」は何%? | 村松 容子 | 基礎研レター |
2025/01/28 | 保障ニーズを知ることの意義:生命保険 能動的加入者の視点から | 村松 容子 | 保険・年金フォーカス |
2024/12/20 | がんに関する知識とがん検診受診率・がんに関する備え | 村松 容子 | 基礎研レポート |
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【データヘルス改革ー集中改革プラン いよいよPHR システムが稼働】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
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