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GoToトラベル・イートの利用意向-第2回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査
基礎研REPORT(冊子版)12月号[vol.285]
生活研究部 主任研究員 久我 尚子
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1―9月末のGoTo利用状況
「利用した/予約済み」に「具体的に検討中」をあわせた『利用積極層』は、トラベルは21.3%、イートは9.4%で、さらに「今後、検討予定」をあわせた『利用意向あり』層は、トラベルは47.2%、イートは50.8%を占める。
つまり、現在のところ、トラベルもイートも積極的に利用する消費者は少数派だが、約半数には利用意向がある。
2―GoTo利用積極層の特徴
3―GoToを利用しない最大の理由は感染がおさまっていないため
なお、当初、東京は、感染が再拡大したためにGoToトラベルの対象地域から除外されていた。しかし、このことを理由に利用していない割合は1割未満にとどまる。
一方、イートを利用していない理由は「キャンペーンの内容が分かりにくいため」が2番目に多いが、これは周知状況の影響だろう。
トラベルは全国的に感染が再拡大した時期に開始したため、その賛否も相まって、メディアでの注目度が高く、消費者が具体的な仕組みを知る機会も多かった。一方、イートはそういった機会が少なかった印象がある。なお、イートの仕組みは、対象となる飲食店予約サイトから予約をすれば、支払い時にポイントが付与されるといったもので、難しいものではないだろう。
4―感染状況が改善すれば、消極層の過半数に利用意向あり
この利用消極層に対して、どうなれば利用するかをたずねると、トラベルでは「国内の感染状況が収束したら」(22.2%)や「国内の感染状況が落ち着いたら」(21.5%)、「居住地域の感染状況が今より落ち着いたら」(9.3%)をあわせた『感染状況の改善』が過半数(53.0%)を占める。ただし、30.8%は、感染状況が収束せずとも、今より「落ち着いたら」利用意向がある。
イートでも『感染状況の改善』が過半数(59.7%)を占めるが、今より「落ち着いたら」利用意向がある層は40.0%であり、トラベルを大きく上回る(+9.2%pt)。やはり、身近な場所で、短時間でも楽しむみやすい飲食は、旅行と比べればコロナ禍でも利用しやすいのだろう。
一方で、感染状況によらず「利用したいと思わない」(『超消極層』)は、トラベルでは利用消極層の31.0%、イートは26.7%を占める。この超消極層の特徴を見ると、低所得層が多く、感染不安について「どちらともいえない」・「不安ではない」と回答する割合が高い。つまり、超消極層では、感染不安が強いために外出を控えているというよりも、旅行や外食を楽しむ経済的余裕がないために「利用したいと思わない」という消費者が多いようだ。
5―おわりに~ GoTo東京追加の効果と今後の懸念は
現在のところ、新型コロナウイルスのワクチンや特効薬は開発段階にあり、コロナ禍はしばらく続きそうだ。また、今後はインフルエンザとの同時流行の懸念もある。よって、東京が追加されたとはいえ、短期間での観光業の劇的な回復は期待しにくいだろう。
一方で、コロナ禍における消費者の経験値は上がり、企業の創意工夫も至るところに見られるようになってきた。
例えば、旅行者や地元の安心・安全を担保するためにPCR検査付きの旅行プランが登場したり、レストランではソーシャルディスタンスを保つために使わない座席にぬいぐるみを配置するなど、楽しさというゆとりを持った感染対策を実施する事例も増えてきた。今後とも、消費者の安心感が醸成されるような企業の取り組みに期待したい。
一方で、懸念されるのは低所得層だ。現在、飲食業や観光業など、新型コロナによって経営に打撃を受けた業種における立場の弱い労働者から、雇い止めなどの影響があらわれている*2。GoToキャンペーンを利用したくてもできない、利用するどころではないという生活者も徐々に増えているだろう。
これらの層に対しては、消費喚起策とは別途、生活支援策が必要だ。「特別定額給付金」は迅速さの観点から、国民1人当たり一律10万円の給付となったが、今後は生活困窮世帯に対して、就業状況や家族構成などの各自の事情に合わせた手厚い支援策が継続的に必要だろう。
*1 調査時期は2020年9月25~28日、調対象は全国の20~69歳男女、インターネット調査、株式会社マクロミルのモニターを利用、有効回答2,066。
*2 久我尚子「家計消費で見る足元の消費」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レター(2020/8/24)
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03-3512-1878
(2020年12月08日「基礎研REPORT(冊子版)」)
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