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- 中国経済の見通し-コロナ禍をいち早く克服したかに見える中国、これからどうなるのか?
2020年11月27日
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■要旨
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が武漢で広まって1年が経過した。中国政府が防疫を優先し武漢を都市封鎖するなど経済活動を強力に制限したため、1-3月期の成長率は実質で前年比6.8%減まで落ち込んだ。しかし、その後の回復は順調で、4-6月期には同3.2%増、7-9月期には同4.9%増と持ち直してきた(下左図)。そして、10-12月期の成長率はさらに加速し(筆者予想は同6.6%増)、20年通期では前年比2.0%増とプラスを維持できる見通しである。なお、消費者物価は抑制目標(3.5%前後)を下回る水準で安定している。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表指標である小売売上高は1-2月期に前年比20.5%減まで落ち込んだあとゆっくり回復し10月には同4.3%増まで持ち直してきた。投資の代表指標である固定資産投資(除く農家の投資)は1-2月期に前年比24.5%減まで落ち込んだあと6月には景気対策で同13.1%増まで急回復したが、その後はやや息切れ気味である。他方、輸出は1-2月期に前年比17.1%減まで落ち込んだあと10月には同11.4%増まで回復したものの、欧米先進国では再びコロナ禍が猛威を振るい始め、輸出には暗雲が垂れ込めてきた。
- 以上を踏まえて、20年の成長率は実質で前年比2.0%増、21年は同6.7%増、22年は同5.3%増と予想している(下右表)。景気対策の効果には息切れ感があり、欧米の感染再拡大で輸出の先行きも暗いが、国内ではコロナ禍が収束するとともに恐怖心が薄れて“リベンジ消費”が増えるとともに、“新型インフラ”の建設が呼び水となって民間投資も増えるため、21年は今年を上回る高成長となるだろう。その後の中国経済は、財政金融政策が引き締め気味に運営されることを背景に潜在成長力(5~6%)の下限に近い水準で推移すると予想している。
(2020年11月27日「Weekly エコノミスト・レター」)
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