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中国経済:景気指標の総点検(2020年秋季号)~景気インデックスは前年比4.9%増まで回復
三尾 幸吉郎
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- 新型コロナ禍で経済活動を大胆に停止した1-3月期、中国の国内総生産(GDP)は前年比6.8%減に落ち込んだが、4-6月期には同3.2%増とV字回復した。宿泊飲食業は依然として大幅マイナスだったが、製造業と建築業がV字回復し、新型コロナ禍が追い風の情報通信・ソフトウェア・ITの実質成長率は同15.7%増に達した。一方、消費者物価は長江・淮河流域の洪水などで食品は高止まりしたものの、交通通信費などが下落し、全体としては落ち着いている。
- 景気10指標を見ると(下表)、需要面では小売売上高は“○”と“×”が交互に生じ一進一退、固定資産投資は3ヵ月連続で“×”と陰りがあり、輸出金額は5ヵ月連続で“○”と順調に回復している。供給面では製造業PMIが2ヵ月連続で“○”、非製造業PMIも4ヵ月連続で“○”と回復傾向にあるが、工業生産が3ヵ月連続で“×”となるなど陰りが見え始めた。また、電力消費量は5ヵ月連続で“○”、道路貨物輸送量は5ヵ月連続で“〇”、工業生産者出荷価格も4ヵ月連続で“〇”と景気回復を示唆した一方、通貨供給量(M2)は2ヵ月連続の“×”となり、新型コロナ禍で導入した金融のモラトリアム措置は曲がり角を迎えた。
- 最後に「景気インデックス(工業生産、サービス業生産、建築業PMIの3つを合成加工したもので、月次の景気指標を実質成長率に換算するとどの程度かを表示)」の推移をみると、2月には新型コロナ禍で前年比9.8%減まで落ち込んだが、4月には同0.7%増とプラスに転じ、8月には同4.9%増まで回復した。そして、10月19日に公表される7-9月期の実質成長率が前四半期(前年比3.2%増)を上回るのはほぼ確実で、同5%前後に上昇する可能性もある。
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