2020年11月13日

英国GDP(2020年7-9月期)-主要国の中での出遅れが目立つ

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:前年同期比▲9.6%と依然として低い

11月12日、英国国家統計局(ONS)はGDPの一次速報値(first quarterly estimate)および月次GDPを公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【2020年7-9月期実質GDP、季節調整値)】
前期比は15.5%、予想1(15.8%)より下振れ、前期(▲19.8%)から改善した(図表1・2)
前年同期比は▲9.6%、予想(▲9.4%)より下振れ、前期(▲21.5%)から改善した

【月次実質GDP(7-9月)】
前月比は7月+6.3%、8月+2.2%、9月+1.1%となり、改善は続いているもののペースは鈍化している

(図表1)英国の実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)英国・ユーロ圏主要国の7-9月期GDP伸び率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想も同様。

2.結果の詳細:月次伸び率は6月をピークに鈍化傾向

英国の7-9月期成長率は、新型コロナの影響を大きく受けた4-6月期の前期比▲21.5%から反発し、前期比+15.5%(年率換算+78.0%)となった。4-6月期の落ち込みが深かったため、前期比ベースの伸び率は高いが前年同期比で見ると▲9.6%と低い。ユーロ圏各国では7-9月期の回復が早かったため、比べ出遅れ感が目立つ結果だったと言える(前掲図表2)。特に、英国はユーロ圏主要国で最も回復が遅かったスペイン(前年同期比▲8.7%)よりも低い伸び率となった。
(図表3)英国の月次GDPの推移 次に月次GDPで単月でのデータの動きを追うと、6月の前月比+9.1%の改善をピークに伸び率が鈍化し、9月は前月比+1.1%まで低下している(図表3)。前月比での伸び率としては平時と比較し高水準ではある2ものの、9月の月次GDPの水準はコロナ禍前(2月)と比較して▲8.2%とまだかなり低い水準にもかかわらず減速が鮮明になった形と言える。
図表4には細かい産業分類における月次GDPの水準(19年末対比)をプロットしている。活動の底だった4月および最新の9月を記載しており、9月時点では水道業(+1.4%)や政府サービス(+1.3%)、卸・小売(+0.7%)といった一部業種で昨年末の水準を超える改善を見せたことが分かる。一方、多くの業種ではまだマイナス圏にあり、特にサービス産業のうち芸術・娯楽(▲25.5%)、事務サービス(▲23.1%)、住居・飲食(▲22.5%)、その他サービス(▲23.1%)については、依然として昨年対比で2割以上低い水準に留まっている。
(図表4)業種別のGDP水準(4月・9月)
成長率を需要項目別に確認すると、7-9月期では、個人消費が前期比+17.9%(前年同期比▲13.1%)、政府支出が同+7.8%(▲10.9%)、投資が同+15.1%(▲12.2%)、輸出が同+5.1%(▲15.0%)、輸入が同+13.2%(▲20.3%)となった。なお、在庫等は前年同期比寄与度で+1.52%ポイント(前期は▲1.83ポイント)、純輸出は同+1.72%(前期は+4.51%ポイント)だった(前掲図表1)。
(図表5)英国の名目GDP(所得別) 最後に名目GDPを確認すると、7-9月期は前期比+12.6%(前年同期比▲3.7%)となった。所得別に確認すると(図表5)、4-6月期に大きく減っていた税・補助金が回復し、コロナ禍前の45%程度まで増加している。ただし各種の政府支援策は継続されており、8月には外食への補助金など追加の政策も実施されている。結果として営業余剰および雇用者報酬はコロナ禍前の水準(19年10-12月期)よりも増加し、名目ベースでは企業の収益や家計の所得はむしろ増えていたことが分かる。
 
2 2019年の成長率(暦年ベースの成長率では1.3%成長)を月次成長率に換算すると前月比+0.08%のペースとなる。
 
 
 

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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2020年11月13日「経済・金融フラッシュ」)

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