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中国経済の現状と今後の見通し-景気対策は息切れ、輸出の先行きには暗雲、それでも回復の流れはしばらく止まらない
三尾 幸吉郎
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- 中国経済の回復が鮮明になってきた。コロナ禍で混乱した20年1-3月期には経済が急収縮したが、コロナ禍が収束に向かうとともに持ち直し、コロナ前の成長トレンド(年率6%強)まであと一歩のところまで漕ぎ着けた(左下図)。一方、インフレ動向をみると、アフリカ豚熱の影響が峠を越すとともに、コロナ禍による需要減を背景に交通通信、居住、衣類などが下落してきたため、消費者物価は今年の抑制目標(3.5%前後)を下回る水準で推移している。
- 需要項目別に見ると、個人消費の代表指標である小売売上高は1-2月期に前年比20.5%減まで落ち込んだあと、コロナ禍が収束に向かうにつれて持ち直し、ネット販売(商品とサービス)の好調にも支えられて、9月には前年比3.3%増まで回復してきた。他方、投資の代表指標である固定資産投資は1-2月期に前年比24.5%減まで落ち込んだあと、景気対策でV字回復したものの、足元では景気対策の効果に息切れ感が見られる(右下図)。但し、“新型インフラ”が呼び水となったデジタル投資にはスピードアップする気配もある。また、輸出は1-2月期に前年比17.1%減まで落ち込んだあと、農民工(農村からの出稼ぎ労働者)が職場復帰するにつれて持ち直し、欧米先進国の経済活動再開とともに伸びを高めたが、欧州で再び経済活動の制限が強化されたため、輸出の先行きには暗雲が垂れ込めてきている。
- 中国経済の現状を見ると、景気対策が息切れし、輸出の先行きには暗雲が垂れ込めてきている。しかし、コロナ禍に対する国民の恐怖心が薄れてきているため“リベンジ消費”の増加が期待できる。また、“新型インフラ”の建設を背景に民間企業がデジタル投資をさらに増やすと期待できるため、景気回復の流れはしばらく止まらないだろう。そして、20年10-12月期の成長率は前年比6%前後、21年1-3月期は前年比12%超と予想している。
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