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欧州保険会社が2019年のSFCR(ソルベンシー財務状況報告書)を公表(3)-SFCRからの具体的内容の抜粋報告(その2)-
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AegonのSCRやMCRの計算方法の説明(の一部)は、以下の通りとなっている。
「Aegonは、会計連結法と控除合算法のソルベンシーIIの下で利用可能なグループ統合手法の組み合わせを適用している。ソルベンシーII資本要件は、主としてEEAベースの保険及び再保険会社に対して、会計連結法を用いて適用される。ローカル要件は(暫定的に)同等な第三国(主として、米国の生命保険会社、バミューダ、日本、メキシコ、ブラジル)からの保険及び再保険会社に対して使用される。」としている。
また、内部モデルの使用については、「Aegonにとって最も重要なリスクタイプは、ソルベンシーII PIMの一部として、内部モデルでカバーされ、あまり重要でないリスクタイプやビジネスユニットは、ソルベンシーII PIMの一部として、標準式でカバーされる。」としている。
ソルベンシーII PIM SCR内の分散化については、「内部モデル内では、過去のデータと専門家の判断を利用して、全てのリスク要因に対して限界確率分布関数が適合されている。」とし、「ソルベンシーII PIMの内部モデルと標準式コンポーネントの間の分散は、ソルベンシーIIの規定に従って、統合テクニック3(IT3)を使用して計算される。 IT3では、内部モデルと標準式の構成要素との間の暗黙の線形相関係数の計算方法について説明している。この相関係数は、平方根公式を使用して合計ソルベンシーII PIM SCRを計算するために使用される。」としている。
E.2ソルベンシー資本要件及び最低資本要件
E.2.1ソルベンシー資本要件
Aegonは、会計連結法と控除合算法のソルベンシーIIの下で利用可能なグループ統合手法の組み合わせを適用している。ソルベンシーII資本要件は、主としてEEAベースの保険及び再保険会社に対して、会計連結法を用いて適用される。ローカル要件は(暫定的に)同等な第三国(主として、米国の生命保険会社、バミューダ、日本、ブラジル)からの保険及び再保険会社に対して使用される。Aegon Bankはグループ・ソルベンシーIIの監督官であるDNB(オランダ国立銀行)によって要求されるように、グループ・ソルベンシー比率からは除かれる。
ソルベンシーII PIMに基づくSCR方法論
Aegonは、ソルベンシーIIの下でEEA保険会社の多数のソルベンシー・ポジションを計算するために、部分内部モデル(PIM)を使用している。Aegonの内部モデルは、内部モデル適用プロセスの一部として監督カレッジによって承認された。Aegonにとって、標準式(SF)方法に含まれている業界全体の概算に対して、Aegon特有のモデリングと感応度を含んでいることから、PIMは実際のリスクのよりよい表現である。内部モデルの目的は、SCRにおいてAegonの実際のリスクプロファイルをより良く反映することにある。Aegonにとって最も重要なリスクタイプは、ソルベンシーII PIMの一部として、内部モデルでカバーされ、あまり重要でないリスクタイプやビジネスユニットは、ソルベンシーII PIMの一部として、標準式でカバーされる。
下記が内部モデルの構造を表している図表である。
(一部、省略)
内部モデルでカバーされていない全てのリスクタイプは、ソルベンシーII PIMの標準式の構成要素の下でカバーされている。ソルベンシーIIPIMの全ての要素で使用されているリスク指標は、1年間に適用される99.5%のリスク値である。欧州委員会委任規則(EU)2015/35(委任法)の附属書XVIII.Dにリストされているように、統合手法3(IT3)を使用して標準式SCRと内部モデルSCRを組み合わせてソルベンシーII PIM SCRを計算する。
ソルベンシーII PIM SCR内の分散効果
ソルベンシーII PIMの下で、Aegonは国単位及びリスクタイプ間の分散効果を計算する。標準式の構成要素内では、規定されたSF相関行列に従って分散化が決定される。
内部モデル内では、過去のデータと専門家の判断を利用して、全てのリスク要因に対して限界確率分布関数が適合されている。組み合わされた全てのリスク要因の全体的な同時確率分布関数は、リスク間の依存構造を考慮に入れる。この共同分布からのサンプルをシミュレートする200万シナリオからの損失は、全体的な経験的損失分布関数を当てはめるために使用され、これから99.5%のポイントを取ることによって200年の1回の損失を導き出す。
シナリオはシナリオジェネレータと依存構造を使用して生成され、リスク間の依存関係(相関)が定義される。市場データと専門家の判断に基づく要因。各シナリオには、金利、株式リターン、死亡率などのリスク要因の値が含まれている。
(分散後の)合計純SCRは、自己資本における200年に1回の損失の平均によって決定される。分散はリスクタイプの独立型SCRの合計と総正味SCRの差として定義される。
ソルベンシーII PIMの内部モデルと標準式コンポーネントの間の分散は、ソルベンシーIIの規定に従って、統合テクニック3(IT3)を使用して計算される。
生命保険及び健康保険改訂リスク、損害保険(健康保険の一部を含む)の保険料及び責任準備金リスクに対しては、標準式で使用されているパラメータの代わりに、監督当局の承認を得て、会社固有のパラメータUSPを用いることができる。
大手5グループのうち、以下の3グループは、USPの使用に関して明示的に記述している。
・Allianzは、Fragonard Assurance S.A.とAGA International.の損害保険の保険料スクの標準偏差に対してUSPを使用している(また、USPの使用によるSCRへの影響は1%未満であるとしている)。
・Generaliは、Europe Assistance会社とイタリアの会社DAS(Difesa Automobilistica Sinistri)のSCRの計算に、USPを使用している。
・Avivaは、SCRの算定にUSPを使用していない。
AXA、Aegonについては文中に明示的な記載はないが、QRTsによれば、USPは使用していない。
Allianzは、標準式の計算におけるカウンターパーティデフォールトリスクモジュールに簡素化を使用している。
その他の会社は、SCRの算出における簡素化は使用していない。
3―まとめ
次回のレポートでは、内部モデルの使用状況及び分散効果の状況等について報告する。
(2020年07月20日「保険・年金フォーカス」)
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