- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- アジア経済 >
- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(4月号)~輸出は旧正月の連休時期の影響で一時的に上振れ
2020年04月08日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
20年2月のASEAN主要6カ国の輸出(ドル建て、通関ベース)は前年同月比11.7%増(前月:同3.8%減)と大きく上昇し、2ヵ月ぶりに増加した(図表1)。輸出は米中貿易摩擦を背景とする世界経済の鈍化により18年後半から減少傾向で推移していたが、昨年末には半導体サイクルの回復や米中通商協議の第一段階の合意といった明るい材料が出るなど、輸出に底入れの動きがみられる。2月は前年同月に中華圏の旧正月があったことによる反動増で輸出が上昇した一方、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に物流網が混乱して輸入が前月から落ち込んだ。3月以降は国内外で実施された移動制限措置の影響も重なり、輸出が押し下げられるだろう。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、2月は北米向け(同16.7%増)に加え、EU向け(同11.7%増)、東南アジア向け(同11.7%増)が二桁増となった。中国向け輸出の底堅い増加が続く東アジア向け(同7.4%増)も2ヵ月ぶりにプラスとなった(図表2)。
ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、2月は北米向け(同16.7%増)に加え、EU向け(同11.7%増)、東南アジア向け(同11.7%増)が二桁増となった。中国向け輸出の底堅い増加が続く東アジア向け(同7.4%増)も2ヵ月ぶりにプラスとなった(図表2)。
タイの20年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比4.5%減(前月:同3.3%増)と低下して2ヵ月ぶりのマイナスとなった。輸出の伸び率は昨年、米中貿易摩擦や世界経済の減速、通貨バーツの上昇を受けて減少傾向が続いたが、足元では持ち直しの動きがみられる。2月の輸出は前年同月に大幅に増加した武器輸出の反動減により減少した。一方、輸入額は前年同月比4.3%減(前月:同7.9%減)と2カ月連続で減少した結果、貿易収支は39.0億ドルとなり、前月から54.5億ドル改善した(図表3)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同5.2%減(前月:同5.2%増)と低下して2ヵ月ぶりのマイナスとなった(図表4)。工業製品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同1.2%増)と電子機器(同5.0%増)、非貨幣用金(同185.5%増)、家電製品(同4.2%増)は増加したものの、機械・装置(同6.3%減)と石油化学製品(同12.9%減)が低迷した。また農産物・加工品は同3.0%減(前月:同6.3%減)と低迷した。畜産物(同55.6%増)や天然ゴム(同6.2%増)、ゴム製品(同8.1%増)が増加する一方、品種改良が停滞しているコメ(同26.6%減)、タピオカ(同13.7%減)が大きく減少するなど、品目毎のバラつきがみられた。このほか鉱業・燃料は同6.6%増(前月:同7.3%増)となり、前年同期に停止していた製油所が生産を再開したため、石油製品(同1.1%増)を中心に2カ月連続で増加した。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同5.2%減(前月:同5.2%増)と低下して2ヵ月ぶりのマイナスとなった(図表4)。工業製品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同1.2%増)と電子機器(同5.0%増)、非貨幣用金(同185.5%増)、家電製品(同4.2%増)は増加したものの、機械・装置(同6.3%減)と石油化学製品(同12.9%減)が低迷した。また農産物・加工品は同3.0%減(前月:同6.3%減)と低迷した。畜産物(同55.6%増)や天然ゴム(同6.2%増)、ゴム製品(同8.1%増)が増加する一方、品種改良が停滞しているコメ(同26.6%減)、タピオカ(同13.7%減)が大きく減少するなど、品目毎のバラつきがみられた。このほか鉱業・燃料は同6.6%増(前月:同7.3%増)となり、前年同期に停止していた製油所が生産を再開したため、石油製品(同1.1%増)を中心に2カ月連続で増加した。
ベトナムの20年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比50.3%増(前月:同17.4%減)と急上昇した。輸出の伸び率は昨年、繊維関連製品と電気製品・同部品の拡大によって概ね好調に推移したが、今年1-2月は旧正月の連休時期が前年から前倒しされたことによる影響で1月に落ち込み、2月はサムスン電子の発売した新型スマホの輸出開始が重なって大幅増となった。また輸入額も前年同月比26.6%増(前月:同13.7%減)と上昇した結果、貿易収支は10.0億ドルとなり、2カ月ぶりに黒字化した(図表5)。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同40.9%増(前月:同18.0%減)、電気製品・同部品が同54.7%増(前月:同8.2%増)とそれぞれ大きく上昇して二桁成長となった(図表6)。また繊維関連では、織物・衣類が同71.2%増(前月:同25.0%減)、履物が同59.7%増(前月:同20.9%減)となり、それぞれ上昇した。農林水産物を見ると、コメ(同104.2%増)をはじめとして、コーヒー(同47.3%増)、水産物(同34.9%増)、天然ゴム(同7.8%増)、野菜(同10.9%増)など軒並み大幅増となった。 輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が42.8%増(前月:同20.7%減)、地場企業が同70.3%増(前月:同10.7%増)となり、それぞれ上昇した。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同40.9%増(前月:同18.0%減)、電気製品・同部品が同54.7%増(前月:同8.2%増)とそれぞれ大きく上昇して二桁成長となった(図表6)。また繊維関連では、織物・衣類が同71.2%増(前月:同25.0%減)、履物が同59.7%増(前月:同20.9%減)となり、それぞれ上昇した。農林水産物を見ると、コメ(同104.2%増)をはじめとして、コーヒー(同47.3%増)、水産物(同34.9%増)、天然ゴム(同7.8%増)、野菜(同10.9%増)など軒並み大幅増となった。 輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が42.8%増(前月:同20.7%減)、地場企業が同70.3%増(前月:同10.7%増)となり、それぞれ上昇した。
マレーシアの20年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比9.5%増(前月:同0.6%減)と上昇、19年の旧正月が2月だったことによる反動でプラスとなった。輸出の基調は昨年から主力の電気・電子製品やパーム油、原油を中心に低迷が続いたが、足元では循環的底入れの動きがみられる。また輸入額も前年同月比9.0%増(前月:同1.5%減)と上昇した結果、貿易収支は30.3億ドルとなり、前月から0.8億ドル改善した(図表7)。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同1.5%減(前月:同3.0%減)と、主力の電気・電子製品(同4.8%減)を中心に7ヵ月連続で減少した(図表8)。また鉱物性燃料は同4.2%増(前月:同7.6%増)と原油の出荷減少を受けて鈍化した。天然ガス(同4.8%増)と石油製品(同19.2%増)は増加したものの、原油(同13.5%減)が大きく減少した。一方、動植物性油脂は同13.0%増(前月:同0.6%増)、化学製品は同8.2%増(前月:同11.4%減)となり、それぞれプラスとなった。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同1.5%減(前月:同3.0%減)と、主力の電気・電子製品(同4.8%減)を中心に7ヵ月連続で減少した(図表8)。また鉱物性燃料は同4.2%増(前月:同7.6%増)と原油の出荷減少を受けて鈍化した。天然ガス(同4.8%増)と石油製品(同19.2%増)は増加したものの、原油(同13.5%減)が大きく減少した。一方、動植物性油脂は同13.0%増(前月:同0.6%増)、化学製品は同8.2%増(前月:同11.4%減)となり、それぞれプラスとなった。
インドネシアの20年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比11.0%増(前月:同2.1%減)と上昇、中華圏の旧正月の影響を受けて約1年半ぶりの二桁増となった。輸出の伸び率は昨年、世界的な需要減退と商品価格の下落を背景に主力の資源関連が振るわず低迷したが、年末から循環的底入れの動きがみられる。一方、輸入額は前年同月比5.1%減(前月:同4.8%減)とマイナス幅が拡大した結果、貿易収支は23.4億ドルとなり、前月から29.7億ドル改善した(図表9)。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同14.6%増(前月:同1.0%増)と大きく上昇する一方、石油ガス輸出が同26.5%減(前月:同33.9%減)と低迷した(図表10)。品目別に見ると、電気機械(同33.1%増)と機械類(同15.6%増)が大幅に増加、自動車・同部品と動植物製油脂(同20.9%増)、化学製品(同3.9増)がプラスに転じた一方、主力の鉱産物(同6.3%減)は減少した。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同14.6%増(前月:同1.0%増)と大きく上昇する一方、石油ガス輸出が同26.5%減(前月:同33.9%減)と低迷した(図表10)。品目別に見ると、電気機械(同33.1%増)と機械類(同15.6%増)が大幅に増加、自動車・同部品と動植物製油脂(同20.9%増)、化学製品(同3.9増)がプラスに転じた一方、主力の鉱産物(同6.3%減)は減少した。
シンガポールの20年2月の輸出額(石油と再輸出除く、ドル建て、通関ベース)は前年同月比0.4%増(前月:同3.0%減)と上昇、19年の旧正月が2月だったことによる反動で増加した。輸出の伸び率は昨年から電子製品や化学製品といった主力の輸出品が落ち込んで低迷していたが、足元では循環的底入れの動きがみられる。なお、総輸出額は前年同月比0.2%減(前月:同5.0%減)と小幅に減少した一方、総輸入額は同6.6%増(前月:同0.6%減)と増加した。結果として、貿易収支が9.7億ドルとなり、前月から2.4億ドル改善した(図表11)。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同0.1%減(前月:同12.7%減)と小幅のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同4.9%増)とPC部品(同8.8%増)が増加したものの、主力のIC(同13.9%減)とPC(同33.2%減)が低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同2.6%増(前月:同11.4%減)と上昇して9カ月ぶりのプラスとなった。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品(同22.6%減)が大幅減となった一方、医薬品(同20.5%増)が急増した。このほか、食品(同3.8%増)とその他製造品(同24.1%増)は増加傾向を維持して輸出全体を下支えした。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同0.1%減(前月:同12.7%減)と小幅のマイナスとなった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、通信機器(同4.9%増)とPC部品(同8.8%増)が増加したものの、主力のIC(同13.9%減)とPC(同33.2%減)が低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同2.6%増(前月:同11.4%減)と上昇して9カ月ぶりのプラスとなった。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品(同22.6%減)が大幅減となった一方、医薬品(同20.5%増)が急増した。このほか、食品(同3.8%増)とその他製造品(同24.1%増)は増加傾向を維持して輸出全体を下支えした。
フィリピンの20年2月の輸出額(ドル建て、通関ベース)は前年同月比2.8%増と、前月の同9.4%増から鈍化した。輸出の基調は18年12月から19年1月にかけて短期的に落ち込んだが、その後は電子製品が増加を支えに概ねプラス圏の伸びが続いている。また輸入額は前年同月比11.6%減(前月:同2.8%減)と大きく減少した。結果として、貿易収支は11.6億ドルの赤字となり、前月から18.5億ドル改善した(図表13)。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同3.4%増と、前月の同15.8%増から鈍化した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同8.7%減)が2ヵ月連続で減少したほか、主力の半導体デバイス(同7.0%増)とオフィス機器(同29.8%増)の増勢が鈍化した。その他9品目のうち、その他製造品(同45.0%増)と生鮮バナナ(同29.6%増)、その他鉱物製品(13.2%増)、機械・輸送用機器(同11.7%増)、金(同6.0%増)が増加する一方、製錬銅(同25.4%減)と金属部品(同11.7%減)、イグニッションワイヤーセット(同2.5%減)となり、概ね増加した品目が多かった。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同3.4%増と、前月の同15.8%増から鈍化した(図表14)。電子製品の内訳を見ると、電子データ処理機(同8.7%減)が2ヵ月連続で減少したほか、主力の半導体デバイス(同7.0%増)とオフィス機器(同29.8%増)の増勢が鈍化した。その他9品目のうち、その他製造品(同45.0%増)と生鮮バナナ(同29.6%増)、その他鉱物製品(13.2%増)、機械・輸送用機器(同11.7%増)、金(同6.0%増)が増加する一方、製錬銅(同25.4%減)と金属部品(同11.7%減)、イグニッションワイヤーセット(同2.5%減)となり、概ね増加した品目が多かった。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年04月08日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
関連レポート
- 【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(3月号)~輸出は欧米向けを中心に減少、新型コロナウイルスの影響は2月以降に反映
- 【アジア・新興国】東南アジア経済の見通し~新型コロナと原油安の影響を受けて2020年前半に大幅な景気下振れを予想
- 【タイGDP】10-12月期は前年同期比+1.6%増~輸出低迷と予算執行の遅れにより、5年ぶりの低成長を記録
- 【マレーシア】10-12月期GDPは前年同期比+3.6%-資源関連が落ち込み、10年ぶりの+3%台の成長に
- 【インドネシアGDP】10-12月期は前年同期比4.97%増~4期連続の内需縮小、通年では4年ぶりの低成長に
- 【フィリピンGDP】10-12月期は前年同期比6.4%増~政府支出拡大で景気持ち直しも、19年の成長率は8年ぶりの6%割れで政府目標未達に

03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/03/13 | インド消費者物価(25年2月)~2月のCPI上昇率は半年ぶりの4%割れ | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/03/06 | インド経済の見通し~農村部の回復と所得減税により民間消費が景気をけん引、当面は+6%台後半の成長持続 | 斉藤 誠 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/02/17 | タイ経済:24年10-12月期の成長率は前年同期比3.2%増~純輸出と政府支出が拡大、2期連続で+3%台の成長に | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
2025/02/14 | マレーシア経済:24年10-12月期の成長率は前年同期比+5.0%~内需が好調で堅調な成長ペースを維持 | 斉藤 誠 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年03月19日
日銀短観(3月調査)予測~大企業製造業の業況判断DIは2ポイント低下の12と予想、トランプ関税の影響度に注目 -
2025年03月19日
孤独・孤立対策の推進で必要な手立ては?-自治体は既存の資源や仕組みの活用を、多様な場づくりに向けて民間の役割も重要に -
2025年03月19日
マンションと大規模修繕(6)-中古マンション購入時には修繕・管理情報の確認・理解が大切に -
2025年03月19日
貿易統計25年2月-関税引き上げ前の駆け込みもあり、貿易収支(季節調整値)が黒字に -
2025年03月19日
米住宅着工・許可件数(25年2月)-着工件数(前月比)は悪天候から回復し、前月から大幅増加、市場予想も上回る
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(4月号)~輸出は旧正月の連休時期の影響で一時的に上振れ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(4月号)~輸出は旧正月の連休時期の影響で一時的に上振れのレポート Topへ