2020年03月19日

EIOPAがソルベンシーIIの2020年レビューに関するCPを公表(14)-グループ監督-

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1―はじめに

ソルベンシーIIに関しては、レビューの第2段階として、ソルベンシーIIの枠組みの見直しが2021年までに行われる予定となっており、その検討が既にスタートしている。欧州委員会は、EIOPA(欧州保険年金監督局)に対して、2019年2月11日に指令2009/138/EC2(ソルベンシーII)のレビューに関する助言要請1を行った。これを受けて、EIOPAが検討を進めていたが、2019年10月15日に、ソルベンシーIIの2020年レビューにおける技術的助言に関するコンサルテーション・ペーパー(以下、「今回のCP」という)を公表2した。

これまで11回のレポートで、今回のCPの具体的内容について報告してきており、前回のレポートでは、「比例性」に関する項目について、報告した。

今回のレポートでは、「グループ監督」に関する項目について、欧州委員会からの助言要請、問題の特定及びEIOPAの助言内容を中心に報告する。  

2―「グループ監督」に関する全体像

2―「グループ監督」に関する全体像

「グループ監督」に関するトピックは、ソルベンシーIIフレームワークの全ての主要な柱を含む幅広いトピックを取り扱っているので、まずはここではその全体像を報告する。
1|欧州委員会からの助言要請
この項目に関する欧州委員会からの助言要請の内容は、以下の通りである。
 

3.14.グループ監督
EIOPAは、2018年12月19日に公表された再保険会社のグループ監督及び資本管理に関する報告書で特定された主要な問題点がどのように是正されるかについて助言を求められる。特に、EIOPAは以下の項目に焦点を当てるよう求められる。

・親会社が同等でない第三国に所在する場合の監督権限を含むグループ監督の適用範囲とグループ内取引の監督
・方法1、方法2又は方法の組合せが使用される場合の、自己資本の要件及び指令2002/87/EC(以下「FICOD」 )との相互作用を含むグループソルベンシーの計算を支配する規則
・グループ内で許容される分散効果の水準への影響を含む、最小連結グループソルベンシー資本要件の計算を管理する規則の適切性
・グループレベルでのガバナンス要件の適用に関する不確実性やギャップ

2|関連法規
グループに適用されるソルベンシーIIの枠組みの関連規定は、本レビューの文脈において、特に以下のように考察される。

1.ソルベンシーII指令 グループ内の保険及び再保険会社の監督に関する条項(第212条から第266条まで)
2.保険グループに適用されるソルベンシーII委任規制(第328条から第342条まで)
3.EIOPA-BoS-14/ 181 EIOPAのグループソルベンシーに関するガイドライン(2014)
4.EIOPA-BoS 15/ 201 同等性の文脈におけるグループソルベンシー計算に関するEIOPAの意見書(2015年9月25日)
5.EIOPA_BoS_16_008 グループソルベンシー計算への方法の組み合わせの適用に関する意見書(2016年1月27日)
6.EIOPA17-648 ソルベンシーII指令に基づくグループ監督の適用に関する欧州委員会への報告書(2017年12月22日)
3|グループ監督の見直し範囲
以下の説明において、以下の用語が使用される。

OF=自己資本、OFS=その他の金融セクター、EOF=適格自己資本、IHC=保険持株会社
MFHC=混合金融持株会社、MAIHC=混合活動保険持株会社
EPIFP=将来の保険料に含まれる期待利益
ASU=補助サービス会社、SPV=特定目的ビークル、IGT=グループ内取引、RC=リスク集中

欧州委員会は、グループ監督の見直しの範囲について助言を求めている。そのような範囲は本質的に広く、助言では3つの主要なセクションに分類される。

i.グループ監督問題、IGTs、RCsの適用範囲
ii.グループソルベンシー(自己資本要件を含む)、指令2002/87/EC「FICOD」との相互作用の計算方法を支配する規則。
iii.最小連結グループSCR(分散効果の水準への影響を含む)の計算を管理するルール
iv.グループレベルでのガバナンス要件
4|グループ監督の政策課題とオプションの概要
グループ監督の政策課題とオプションの概要1
グループ監督の政策課題とオプションの概要2
グループ監督の政策課題とオプションの概要3
グループ監督の政策課題とオプションの概要4
グループ監督の政策課題とオプションの概要5
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中村 亮一

研究・専門分野

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