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- 年金改革ウォッチ 2020年3月号~ポイント解説:厚生年金の適用徹底
2020年03月03日
1 ―― 先月までの動き
資金運用部会では、厚労相がGPIFに発出する中期目標の案と、GPIFが厚労相に提出する中期計画の骨子とが議論された。中期目標案は前回までの意見交換結果をまとめたもので、次回は今回の意見を踏まえた中期目標案の諮問・答申と具体的な中期計画案の議論が行われる予定である。年金事業管理部会では、前回に引き続いて日本年金機構の令和2年度計画が議論され、概ね了承された。
○社会保障審議会 資金運用部会
2月5日(第13回) GPIFの次期中期目標案、中期計画骨子
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09299.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
2月20日(第48回) 日本年金機構の令和2年度計画の策定、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo48_00002.html (資料)
○社会保障審議会 資金運用部会
2月5日(第13回) GPIFの次期中期目標案、中期計画骨子
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09299.html (資料)
○社会保障審議会 年金事業管理部会
2月20日(第48回) 日本年金機構の令和2年度計画の策定、その他
URL https://www.mhlw.go.jp/stf/kanribukai-siryo48_00002.html (資料)
2 ―― ポイント解説:厚生年金の適用徹底
先月の年金事業管理部会で了承された日本年金機構の年度計画では、厚生年金の適用徹底が重点取組施策となっている。本稿では、現在の通常国会に法案が提出される予定の次期年金改革も考慮しながら、厚生年金の適用徹底の経緯と課題を確認する。
近年の適用徹底は、関係機関と連携して行われており、その1つは、関係機関が持っている事業所の情報と、厚生年金に加入している事業所の情報との照合である。2002年度から雇用保険、2012年度から法人登記簿、2014年度からは国税庁の源泉徴収の情報、と照合されている。特に国税庁の情報は効果的で、適用徹底が大きく進んでいる。
もう1つは、国土交通省による取り組みである。運輸業者や建設業者の届出などの際に厚生年金を含む社会保険の加入状況を確認するほか、社会保険に加入していない建設作業員の現場入場を認めないガイドラインの制定や、その徹底に取り組んでいる*1。これを受けて、社会保険に未加入の建設業者を入札に参加させない自治体もある。
もう1つは、国土交通省による取り組みである。運輸業者や建設業者の届出などの際に厚生年金を含む社会保険の加入状況を確認するほか、社会保険に加入していない建設作業員の現場入場を認めないガイドラインの制定や、その徹底に取り組んでいる*1。これを受けて、社会保険に未加入の建設業者を入札に参加させない自治体もある。
3|今後の課題:小規模事業所への徹底に向けた予防策を
上記の取り組みにより厚生年金の適用徹底は進み、従業員5人以上の法人事業所を中心に、加入指導等の対象となる事業所は減少した。今後は、従業員5人未満の法人事業所や個人事業所への加入徹底策を検討する必要がある。
加入指導の対象となる従業員5人未満の法人事業所数の多さを考えれば、国税庁等の情報を利用した事後的な加入指導だけでは対応が難しい。前述した建設業のように事業の実施に必要な届出や更新の際に厚生年金の加入を要件に加えたり、電子申請で他の手続きと厚生年金の適用手続きを一括して行えるようにするなど、適用漏れを予防する工夫が重要になろう。
昨年末に取りまとめられた社会保障審議会年金部会の報告書(議論の整理)には、従業員5人未満の個人事業所への適用拡大が盛り込まれなかった。まずは従業員5人未満の法人事業所への加入徹底が効率的に進み、近い将来に同規模の個人事業所への適用拡大が検討されることを期待したい。
上記の取り組みにより厚生年金の適用徹底は進み、従業員5人以上の法人事業所を中心に、加入指導等の対象となる事業所は減少した。今後は、従業員5人未満の法人事業所や個人事業所への加入徹底策を検討する必要がある。
加入指導の対象となる従業員5人未満の法人事業所数の多さを考えれば、国税庁等の情報を利用した事後的な加入指導だけでは対応が難しい。前述した建設業のように事業の実施に必要な届出や更新の際に厚生年金の加入を要件に加えたり、電子申請で他の手続きと厚生年金の適用手続きを一括して行えるようにするなど、適用漏れを予防する工夫が重要になろう。
昨年末に取りまとめられた社会保障審議会年金部会の報告書(議論の整理)には、従業員5人未満の個人事業所への適用拡大が盛り込まれなかった。まずは従業員5人未満の法人事業所への加入徹底が効率的に進み、近い将来に同規模の個人事業所への適用拡大が検討されることを期待したい。
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経歴
- 【職歴】
1995年 日本生命保険相互会社入社
2001年 日本経済研究センター(委託研究生)
2002年 ニッセイ基礎研究所(現在に至る)
(2007年 東洋大学大学院経済学研究科博士後期課程修了)
【社外委員等】
・厚生労働省 年金局 年金調査員 (2010~2011年度)
・参議院 厚生労働委員会調査室 客員調査員 (2011~2012年度)
・厚生労働省 ねんきん定期便・ねんきんネット・年金通帳等に関する検討会 委員 (2011年度)
・生命保険経営学会 編集委員 (2014年~)
・国家公務員共済組合連合会 資産運用委員会 委員 (2023年度~)
【加入団体等】
・生活経済学会、日本財政学会、ほか
・博士(経済学)
(2020年03月03日「保険・年金フォーカス」)
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