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分断が顕著な米国世論ー米国が直面する諸問題に対して、支持政党による考え方の違いが顕著
基礎研REPORT(冊子版)3月号[vol.276]
経済研究部 主任研究員 窪谷 浩
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一方、「財政赤字」、「テロ」、「薬物中毒」など、支持政党による乖離幅が1桁に留まっている項目はあるものの、世論調査が対象とした11項目の平均乖離幅は27%ポイントにも上っている。
このような中で民主党、共和党支持者ともに「非常に大きな問題」との回答割合が過半数を超える項目は、「薬物中毒」、「医療費負担」、「財政赤字」の3項目となっており、これらの項目では重点的に超党派での対応が求められていると言えよう。
実際に「薬物中毒」問題では、病院で処方される麻薬系鎮痛薬であるオピオイドが原因の中毒患者や中毒死の急増に対して、中毒患者の治療や回復支援、中毒の予防などを盛り込んだ法律を超党派の圧倒的な支持で成立させた例があり、議会は一定の成果を上げている。
もっとも、「非常に大きな問題」との認識で一致していても、必ずしも超党派で解決策を合意できるとは限らない。例えば、「医療費負担」に関しては負担軽減のために、製薬会社に対して薬価の引き下げを求める点は、与野党問わず概ね合意されているものの、医療費負担に密接に関連する医療保険制度改革に対する考え方は支持する政党によって大きな違いがある。
共和党支持者の70%が国民皆保険は「政府の責任ではない」と回答した一方、民主党支持者の83%が「政府の責任である」と回答した[図表2]。
これまでみたように米国が直面する諸問題の捉え方は支持政党によって分断されている。また、同じ政党の支持者でも、特定の問題では意見の相違がみられており、多くの国民が納得する形で政策を実現することは容易でないだろう。
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- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2020年03月06日「基礎研マンスリー」)
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