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中国経済の見通し-新型肺炎で1-3月期の成長率は急減速も、その後はV字回復となり、20年は5.6%と予想
三尾 幸吉郎
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3.新型肺炎(COVID-19)の影響
中国経済が日本経済に与える影響は、2002年11月に発生したSARS(重症急性呼吸器症候群)の時より格段に大きくなった。世界における中国経済のシェアを見ると、名目GDPに占める割合は、SARSに見舞われた2003年の4.3%から、現在は15.7%にまで増えている。また、日本から見た相対的な大きさも変化している。2003年の中国経済は日本の約38%に過ぎなかったが現在は約2.66倍となっており、日本経済に与える影響は約7倍となった1。
日本にいる誰もが実感する影響としては中国人旅行者の減少が挙げられる。中国本土からの海外旅行者数は、2003年には2022万人だったが、2018年には1億6199万人に増えており、約8倍になった(図表-9)。中国の国際収支統計を見ると、SARSの影響がピークに達した2003年4-6月期の旅行支出は約28億ドルで、前年同期の約45億ドルよりも37.9%減少した(図表-10)。今回も当時と同じ減少率だったとすると、2018年の旅行支出は2773億ドル(日本円換算で約30兆円)に増えているので、この減少率が1年継続したとすると1050億ドル(日本円換算で約11.5兆円)減少する計算となる。そうなった場合、日本にもその影響の一部(7000億円前後)が及んでくる。
その効果は数字にも表れてきた。中国国家衛生健康委員会が公表したデータを見ると、新たに感染が確認された人数を、治療を終えて退院する人数が上回り、現存の感染者数は2月17日をピークに減少し始めた。こうした状況を背景に、中国政府は生産体制の正常化に舵を切った。前出の劉小明副部長は、2月下旬までに約1億2千万人を、3月以降に約1億人を、それぞれ元の勤務地に戻すとしている。したがって、新型肺炎が深刻な湖北省以外では3月にも、湖北省でも4月には生産態勢が正常化する道筋が見えてきている。但し、現存の感染者数が農民工などのUターンで再び増加してしまう恐れは排除できない。
1 世界における名目GDPシェアがSARS発生時と現在でどう変化したかに関しては、「中国経済の現状と今後の注目点~新型ウイルス肺炎の影響など4つの注目点」Weekly エコノミスト・レター 2020/01/27に掲載しております。
4.中国経済の見通し
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年02月28日「Weekly エコノミスト・レター」)
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