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2020年02月19日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(6)-EIOPAの2019年報告書の概要報告-
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(3-3 ) NSAs がソルベンシーIIへの円滑な移行を確実にするために必要であるかどうかを移行措置の承認において考慮したかどうか
様々なアプローチが観察された。
・6つのNSAsは、承認プロセスにおいて、会社の申請に移行期間が必要かどうかを明確に検討したと述べた。
・他のNSAsもまた、移行措置の実施が会社にとってどの程度必要であるかを評価した。2つのNSAsは、移行措置を適用する動機として、潜在的に不利な将来の状況に対する耐性力の増加を挙げた。別のNSAは、ソルベンシーIIへの移行を成功させるための適切かつ必要な手段であると考えている。ソルベンシーIIが導入される以前は、承認プロセスにおいて、この管轄区域はソルベンシーIIの下での会社のソルベンシーポジションに焦点を当てていなかった。このNSAはまた、多くの会社が移行措置なしではSCRを満たさなかったことを認めた。
様々なアプローチが観察された。
・6つのNSAsは、承認プロセスにおいて、会社の申請に移行期間が必要かどうかを明確に検討したと述べた。
・他のNSAsもまた、移行措置の実施が会社にとってどの程度必要であるかを評価した。2つのNSAsは、移行措置を適用する動機として、潜在的に不利な将来の状況に対する耐性力の増加を挙げた。別のNSAは、ソルベンシーIIへの移行を成功させるための適切かつ必要な手段であると考えている。ソルベンシーIIが導入される以前は、承認プロセスにおいて、この管轄区域はソルベンシーIIの下での会社のソルベンシーポジションに焦点を当てていなかった。このNSAはまた、多くの会社が移行措置なしではSCRを満たさなかったことを認めた。
(3-4) 2016年1月1日以降の移行措置の適用の開始
2016年1月1日以降の移行措置の適用開始については、2016年1月1日以降も移行措置が承認される可能性があるかという質問を行っている。
・過半数(16)のNSAsが肯定的な回答を示した。しかしながら、大部分のNSAsは、彼らの国ではTTPの遅延適用の事例はまだ発生していないと述べた。
・14のNSAsは、移行措置の遅延適用を認めていない。
・2018年末には、2つの国から新たに4つの会社に対して移行措置の適用が認められた。
遅延申請の動機となる可能性のある理由として、NSAsは以下の理由を挙げている。
・グループ内の全ての会社への拡張。措置の適用は当初、ごく少数の会社のみが要求しており、ソルベンシー比率を計算するためにグループ間で同種のアプローチに移行した。
・例えば、より高い金利のボラティリティに備えて、追加の資本準備金を保有する意図
・ポートフォリオの譲渡
2018年中に適用された資本アドオンの新たな事例を報告したNSAsはなかった。
2016年1月1日以降の移行措置の適用開始については、2016年1月1日以降も移行措置が承認される可能性があるかという質問を行っている。
・過半数(16)のNSAsが肯定的な回答を示した。しかしながら、大部分のNSAsは、彼らの国ではTTPの遅延適用の事例はまだ発生していないと述べた。
・14のNSAsは、移行措置の遅延適用を認めていない。
・2018年末には、2つの国から新たに4つの会社に対して移行措置の適用が認められた。
遅延申請の動機となる可能性のある理由として、NSAsは以下の理由を挙げている。
・グループ内の全ての会社への拡張。措置の適用は当初、ごく少数の会社のみが要求しており、ソルベンシー比率を計算するためにグループ間で同種のアプローチに移行した。
・例えば、より高い金利のボラティリティに備えて、追加の資本準備金を保有する意図
・ポートフォリオの譲渡
2018年中に適用された資本アドオンの新たな事例を報告したNSAsはなかった。
(4)全体的な評価
不平等な競争環境は、上記のようにLTG措置と株式リスク措置の異なる適用から生じる可能性がある。措置自体が国内市場間で差別化されている場合にも、不平等な競争環境が生じる可能性がある。それは、ソルベンシーIのような最小調和システムからソルベンシーIIのような最大調和システムへの移行のための当然のケースである。
TTPとTRFRの移行調整は、ソルベンシーIの評価規則を参照して計算される。これらの規則は統一されていないため、加盟国によって異なり、国内市場全体で技術的準備金の金額及び割引率が異なる。従って、同じ負債とリスクを有するが異なる加盟国に所在する2つの会社は、両者がTTP又はTRFRを適用する場合、異なる技術的準備金を有する可能性がある。
あるNSAは、LTG措置がポートフォリオの移転、合併、買収に影響を与える可能性があると述べた。買い手と売り手の間の交渉では、買い手は、保険会社が負債の削減を可能にする措置を適用できるならば、保険会社の株式に対してより多く支払う、すなわち、負債の移転のためにより少ない資金を要求することをいとわない。VAを適用する場合、参照ポートフォリオとの整合性を高めるために、資産のリスク・プロファイルが上昇する可能性もある。参照ポートフォリオとの整合性を高めることは、自己資本のボラティリティを低下させ、これはまた株主の視点からも価値を生み出すと考えられるが、資産リスクの増大は保険契約者の視点からは有益ではない。
不平等な競争環境は、上記のようにLTG措置と株式リスク措置の異なる適用から生じる可能性がある。措置自体が国内市場間で差別化されている場合にも、不平等な競争環境が生じる可能性がある。それは、ソルベンシーIのような最小調和システムからソルベンシーIIのような最大調和システムへの移行のための当然のケースである。
TTPとTRFRの移行調整は、ソルベンシーIの評価規則を参照して計算される。これらの規則は統一されていないため、加盟国によって異なり、国内市場全体で技術的準備金の金額及び割引率が異なる。従って、同じ負債とリスクを有するが異なる加盟国に所在する2つの会社は、両者がTTP又はTRFRを適用する場合、異なる技術的準備金を有する可能性がある。
あるNSAは、LTG措置がポートフォリオの移転、合併、買収に影響を与える可能性があると述べた。買い手と売り手の間の交渉では、買い手は、保険会社が負債の削減を可能にする措置を適用できるならば、保険会社の株式に対してより多く支払う、すなわち、負債の移転のためにより少ない資金を要求することをいとわない。VAを適用する場合、参照ポートフォリオとの整合性を高めるために、資産のリスク・プロファイルが上昇する可能性もある。参照ポートフォリオとの整合性を高めることは、自己資本のボラティリティを低下させ、これはまた株主の視点からも価値を生み出すと考えられるが、資産リスクの増大は保険契約者の視点からは有益ではない。
4―LTG措置等の金融安定性への影響
1|調査概要
ソルベンシーII指令第77条第3項(j)によれば、LTG措置と株式リスク措置のレビューは、金融安定性に対する措置の効果を分析しなければならない。その目的のために、EIOPAはNSAsに、金融の安定性に関連したLTG措置に関する彼らの経験について尋ねた。
ソルベンシーII指令第77条第3項(j)によれば、LTG措置と株式リスク措置のレビューは、金融安定性に対する措置の効果を分析しなければならない。その目的のために、EIOPAはNSAsに、金融の安定性に関連したLTG措置に関する彼らの経験について尋ねた。
2|調査結果
アンケートに回答した32のNSAsのうち10のNSAsは、金融の安定性に関する質問は当てはまらないと回答した。例えば、LTGやその他の措置の影響は無視できるかゼロである。これに対し、13のNSAsは、LTG措置は金融の安定性に全く影響を及ぼさないと回答した。21の NSAsは、LTG措置の全てについて金融安定性への影響は見られないと回答した。
(1)VAとMA
4つのNSAsは、2018年について、予想されていた通り、MAとVAによる金融安定性への影響はなかったとしている。これは、市場環境が依然として安定しており、信用スプレッドは全体的に比較的低い水準にとどまっているためである。このように、MAとVAは2018年にはあまり変化せず、大きな影響はなかった。
(2) オーバーシュートVA
あるNSAは、VAを適用することは、比較的長期の負債と比較的少ないそして比較的よりリスクのない債券投資を行っている会社のための自己資本にオーバーシュートの影響を与えるとコメントした。スプレッドが拡大した場合、それらの会社によるVAの適用は、それらの投資における価値の減少よりも技術的準備金の評価の大幅な減少を意味する。そのため、信用スプレッドが拡大すると、これらの会社の自己資本が増加する。
(3) 単一ユーロ圏内の国に影響を与えるスプレッド拡大の場合のユーロVAの動き
ユーロ圏のVAについて、他のNSAは、その地域の単一の国に影響が及ぶスプレッドの拡大の場合、技術的準備金、自己資本及びソルベンシー比率のボラティリティに関して、全てのユーロ圏の国々に影響するいくつかの望ましくない影響が観察される可能性があると述べた。
特に、スプレッド拡大の影響を受けている国では、国独自の増加が反映されないため、この措置は国の監督当局によって期待される安定化を提供しない。スプレッド値がトリガーポイントの周辺にある場合、月次VA計算の国別コンポーネントは、バイナリーのアクティブ化メカニズムのためにクリフ効果を示す。これにより、通貨と国のVAが切り替わるため、総VAは高い(ローカルの)ボラティリティを持つ非線形関数になる。そのVAの動きは1つの四半期内で起こったので、それは技術的準備金の計算を拘束するようになった一連の四半期毎のVAには反映されなかった。
他のユーロ圏諸国では、単一加盟国のスプレッドの拡大は、必ずしもユーロ圏全体の財務状況の悪化と相関しないユーロVAの拡大を意味する(オーバーシュート効果)。
この場合、他のユーロ圏諸国では、必ずしも資産価値の低下や会社の資産収益率の増加によって相殺されるわけではないが、技術的準備金の低下が生じる。このような状況は予期せぬ過度の資本救済の事例につながる可能性がある。
(4) TTP
2つのNSAsは、TTPがソルベンシーIIへの円滑な移行を支援し、保険市場の耐性力を強化しているとの回答をした。
(5) 株式リスクの対称調整
あるNSAは、2018年末に株価が下落した際には、株式リスクの対称調整によって、SCRが約9%削減され、資本要件が適切に引き下げられた、と回答した。
(6) 補外
あるNSAは、ユーロ通貨の補外の現在のパラメータ化は技術的準備金の価値を安定させると回答した。別のNSAは、技術的準備金の評価は安定しているかもしれないが、現在のパラメータ化のために自己資本の量は不安定になるかもしれないとコメントした。自己資本の金額が安定しているかどうかは、金利ヘッジ及びキャッシュフローマッチングの程度によって異なる4。
4 LLP(Last Liquid Point:最終流動性点)を超えた負債のキャッシュフローと大部分マッチしている会社は、LLPを超えた負債のキャッシュフローとあまりマッチしていない会社よりも、自己資本のボラティリティが高くなる。これは、現在のパラメータ化が技術準備金の評価の目的でのみ金利のボラティリティをLLPを超えて減少させる一方で、市場価値が利用可能な資産の価値はLLPを超えた市場金利のボラティリティに完全に敏感なままであるという事実によって説明できる。自己資本のボラティリティを最小限に抑えるキャッシュフローマッチングの量は、他の側面の中でも、LLPを超えたキャッシュフローの相対量、及びリスクフリー金利期間構造のレベルと形状によって異なる。大部分がマッチしている会社は、例えば、より遅いLLPのような異なるパラメータ化で自己資本のボラティリティが低くなる。比較的少ないマッチしかしていない会社は、より遅いLLPの場合、自己資本のボラティリティが高まることになる。
アンケートに回答した32のNSAsのうち10のNSAsは、金融の安定性に関する質問は当てはまらないと回答した。例えば、LTGやその他の措置の影響は無視できるかゼロである。これに対し、13のNSAsは、LTG措置は金融の安定性に全く影響を及ぼさないと回答した。21の NSAsは、LTG措置の全てについて金融安定性への影響は見られないと回答した。
(1)VAとMA
4つのNSAsは、2018年について、予想されていた通り、MAとVAによる金融安定性への影響はなかったとしている。これは、市場環境が依然として安定しており、信用スプレッドは全体的に比較的低い水準にとどまっているためである。このように、MAとVAは2018年にはあまり変化せず、大きな影響はなかった。
(2) オーバーシュートVA
あるNSAは、VAを適用することは、比較的長期の負債と比較的少ないそして比較的よりリスクのない債券投資を行っている会社のための自己資本にオーバーシュートの影響を与えるとコメントした。スプレッドが拡大した場合、それらの会社によるVAの適用は、それらの投資における価値の減少よりも技術的準備金の評価の大幅な減少を意味する。そのため、信用スプレッドが拡大すると、これらの会社の自己資本が増加する。
(3) 単一ユーロ圏内の国に影響を与えるスプレッド拡大の場合のユーロVAの動き
ユーロ圏のVAについて、他のNSAは、その地域の単一の国に影響が及ぶスプレッドの拡大の場合、技術的準備金、自己資本及びソルベンシー比率のボラティリティに関して、全てのユーロ圏の国々に影響するいくつかの望ましくない影響が観察される可能性があると述べた。
特に、スプレッド拡大の影響を受けている国では、国独自の増加が反映されないため、この措置は国の監督当局によって期待される安定化を提供しない。スプレッド値がトリガーポイントの周辺にある場合、月次VA計算の国別コンポーネントは、バイナリーのアクティブ化メカニズムのためにクリフ効果を示す。これにより、通貨と国のVAが切り替わるため、総VAは高い(ローカルの)ボラティリティを持つ非線形関数になる。そのVAの動きは1つの四半期内で起こったので、それは技術的準備金の計算を拘束するようになった一連の四半期毎のVAには反映されなかった。
他のユーロ圏諸国では、単一加盟国のスプレッドの拡大は、必ずしもユーロ圏全体の財務状況の悪化と相関しないユーロVAの拡大を意味する(オーバーシュート効果)。
この場合、他のユーロ圏諸国では、必ずしも資産価値の低下や会社の資産収益率の増加によって相殺されるわけではないが、技術的準備金の低下が生じる。このような状況は予期せぬ過度の資本救済の事例につながる可能性がある。
(4) TTP
2つのNSAsは、TTPがソルベンシーIIへの円滑な移行を支援し、保険市場の耐性力を強化しているとの回答をした。
(5) 株式リスクの対称調整
あるNSAは、2018年末に株価が下落した際には、株式リスクの対称調整によって、SCRが約9%削減され、資本要件が適切に引き下げられた、と回答した。
(6) 補外
あるNSAは、ユーロ通貨の補外の現在のパラメータ化は技術的準備金の価値を安定させると回答した。別のNSAは、技術的準備金の評価は安定しているかもしれないが、現在のパラメータ化のために自己資本の量は不安定になるかもしれないとコメントした。自己資本の金額が安定しているかどうかは、金利ヘッジ及びキャッシュフローマッチングの程度によって異なる4。
4 LLP(Last Liquid Point:最終流動性点)を超えた負債のキャッシュフローと大部分マッチしている会社は、LLPを超えた負債のキャッシュフローとあまりマッチしていない会社よりも、自己資本のボラティリティが高くなる。これは、現在のパラメータ化が技術準備金の評価の目的でのみ金利のボラティリティをLLPを超えて減少させる一方で、市場価値が利用可能な資産の価値はLLPを超えた市場金利のボラティリティに完全に敏感なままであるという事実によって説明できる。自己資本のボラティリティを最小限に抑えるキャッシュフローマッチングの量は、他の側面の中でも、LLPを超えたキャッシュフローの相対量、及びリスクフリー金利期間構造のレベルと形状によって異なる。大部分がマッチしている会社は、例えば、より遅いLLPのような異なるパラメータ化で自己資本のボラティリティが低くなる。比較的少ないマッチしかしていない会社は、より遅いLLPの場合、自己資本のボラティリティが高まることになる。
(7) 耐性力の非構築
あるNSAは、LTG措置は対称的ではなく、市場の悪化の影響を弱めることはあるが、好況期に耐性力を高めるインセンティブにはならない、と回答した。
(8) 過小積立
あるNSAは、補外などの現実的な期間構造が不十分であるために、技術的準備金の現実的な評価が不十分であることは、それ自体が金融の安定性にとってリスクであるだけでなく、会社が規制上の自己資本の増加によってリスクを増大させることを可能にすると述べた。総合的に見て、より高いリスクは一般的に金融の安定性にとって有害である。
あるNSAは、LTG措置は対称的ではなく、市場の悪化の影響を弱めることはあるが、好況期に耐性力を高めるインセンティブにはならない、と回答した。
(8) 過小積立
あるNSAは、補外などの現実的な期間構造が不十分であるために、技術的準備金の現実的な評価が不十分であることは、それ自体が金融の安定性にとってリスクであるだけでなく、会社が規制上の自己資本の増加によってリスクを増大させることを可能にすると述べた。総合的に見て、より高いリスクは一般的に金融の安定性にとって有害である。
5―まとめ
以上、今回のレポートでは、EIOPAの報告書の第2のセクションに記載されているLTG措置や株式リスク措置が直接的に会社の財務状況に与える影響以外の項目のうち、「消費者及び商品に与える影響」、「EU保険市場における競争と公平な競争の場」及び「金融安定性に与える影響」について報告した。
具体的には、2018年の報告書では、約半数の国・地域で、長期保証付きの伝統的な生命保険商品の利用可能性が減少及びユニットリンク契約の利用可能性の増加を観測している。昨年この傾向を観察した全ての管轄区域は、この傾向は今年も続いていると回答している。この主な要因として、低金利環境及び低金利環境下におけるソルベンシーIIによる資本規制の影響も挙げられている。
ただし、昨年と同様に、大多数のNSAsは、長期保証付き商品の入手可能性の現在の傾向が消費者保護の問題を引き起こしていないことを認めている。
一方で、EU保険市場における競争と公平な競争の場への影響については、EU各国の監督当局等でのLTG措置等の具体的な適用基準の差異や移行措置によるソルベンシーIの影響の存在等から、同一の財務状況下にある会社間で比較可能な形での整合的な取扱が行われておらず、不平等な競争環境が生じる可能性があると指摘されている。
また、金融安定性への影響は、措置毎にその意味合いは異なってくることが報告されている。
今回のEIOPAによる報告書は、ソルベンシーIIがスタートして3年間を経ての数値や状況に基づく4回目の報告書となっている。EIOPAはこれらの報告書等で得られたLTG措置及び株式リスク措置の適用状況等も踏まえて、2019年10月15日に、ソルベンシーIIの2020年レビューにおける技術的助言に関するコンサルテーション・ペーパーを公表5している。この内容については、これまで別の保険年金フォーカスのシリーズで報告してきている。
これらのCPで検討されているように、LTG措置及び株式リスク措置については、多くの課題も指摘されてきている。これらの課題については、必ずしも今回のレビュー等で全面的に解決されていくものではなく、さらなる実態等を踏まえて引き続き継続的に検討が必要になってくるものも含まれている。その意味で、こうした実態を観察していくためにも、EIOPAによるLTG措置や株式リスク措置に関する報告書については、今後も継続されていくものと想定されることから、引き続き継続的に注視していくこととしたい。
具体的には、2018年の報告書では、約半数の国・地域で、長期保証付きの伝統的な生命保険商品の利用可能性が減少及びユニットリンク契約の利用可能性の増加を観測している。昨年この傾向を観察した全ての管轄区域は、この傾向は今年も続いていると回答している。この主な要因として、低金利環境及び低金利環境下におけるソルベンシーIIによる資本規制の影響も挙げられている。
ただし、昨年と同様に、大多数のNSAsは、長期保証付き商品の入手可能性の現在の傾向が消費者保護の問題を引き起こしていないことを認めている。
一方で、EU保険市場における競争と公平な競争の場への影響については、EU各国の監督当局等でのLTG措置等の具体的な適用基準の差異や移行措置によるソルベンシーIの影響の存在等から、同一の財務状況下にある会社間で比較可能な形での整合的な取扱が行われておらず、不平等な競争環境が生じる可能性があると指摘されている。
また、金融安定性への影響は、措置毎にその意味合いは異なってくることが報告されている。
今回のEIOPAによる報告書は、ソルベンシーIIがスタートして3年間を経ての数値や状況に基づく4回目の報告書となっている。EIOPAはこれらの報告書等で得られたLTG措置及び株式リスク措置の適用状況等も踏まえて、2019年10月15日に、ソルベンシーIIの2020年レビューにおける技術的助言に関するコンサルテーション・ペーパーを公表5している。この内容については、これまで別の保険年金フォーカスのシリーズで報告してきている。
これらのCPで検討されているように、LTG措置及び株式リスク措置については、多くの課題も指摘されてきている。これらの課題については、必ずしも今回のレビュー等で全面的に解決されていくものではなく、さらなる実態等を踏まえて引き続き継続的に検討が必要になってくるものも含まれている。その意味で、こうした実態を観察していくためにも、EIOPAによるLTG措置や株式リスク措置に関する報告書については、今後も継続されていくものと想定されることから、引き続き継続的に注視していくこととしたい。
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(2020年02月19日「保険・年金フォーカス」)
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