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- 鉱工業生産19年12月-10-12月期は前期比▲4.0%と前回の消費増税後を上回る大幅減産
2020年01月31日
1.10-12月期は2四半期連続の減産
経済産業省が1月31日に公表した鉱工業指数によると、19年12月の鉱工業生産指数は前月比1.3%(11月:同▲1.0%)と3ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比0.7%、当社予想は同1.4%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比0.0%の横ばい、在庫指数は前月比1.6%と2ヵ月ぶりに上昇した。
12月の生産を業種別に見ると、輸出、国内販売ともに低迷が続く自動車が前月比▲4.3%と大きく落ち込み、自動車産業の波及が大きい鉄鋼も同▲1.4%と6ヵ月連続で低下したが、台風19号による供給制約の解消から生産用機械(前月比15.9%)、汎用・業務用機械(同6.5%)が大幅増産となったことが生産全体を大きく押し上げた。
19年10-12月期の生産は前期比▲4.0%と2四半期連続の低下となり、7-9月期の同▲0.5%からマイナス幅が大きく拡大した。減産幅は前回の消費増税後(14年4-6月期:前期比▲2.9%)を上回った。業種別には、グローバルなITサイクルの底入れや新型スマートフォン向けの需要拡大から、電子部品・デバイスが前期比2.4%と2四半期連続の増産となったが、輸出の低迷に消費増税後の国内販売の落ち込みが加わったことから、輸送機械が前期比▲7.2%の大幅減産となったほか、世界的な設備投資低迷に伴う資本財輸出の弱さを反映し、生産用機械(前期比▲3.5%)、汎用・業務用機械(同▲6.9%)も大きく落ち込んだ。
12月の生産を業種別に見ると、輸出、国内販売ともに低迷が続く自動車が前月比▲4.3%と大きく落ち込み、自動車産業の波及が大きい鉄鋼も同▲1.4%と6ヵ月連続で低下したが、台風19号による供給制約の解消から生産用機械(前月比15.9%)、汎用・業務用機械(同6.5%)が大幅増産となったことが生産全体を大きく押し上げた。
19年10-12月期の生産は前期比▲4.0%と2四半期連続の低下となり、7-9月期の同▲0.5%からマイナス幅が大きく拡大した。減産幅は前回の消費増税後(14年4-6月期:前期比▲2.9%)を上回った。業種別には、グローバルなITサイクルの底入れや新型スマートフォン向けの需要拡大から、電子部品・デバイスが前期比2.4%と2四半期連続の増産となったが、輸出の低迷に消費増税後の国内販売の落ち込みが加わったことから、輸送機械が前期比▲7.2%の大幅減産となったほか、世界的な設備投資低迷に伴う資本財輸出の弱さを反映し、生産用機械(前期比▲3.5%)、汎用・業務用機械(同▲6.9%)も大きく落ち込んだ。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は19年7-9月期の前期比2.9%の後、10-12月期は前期比▲6.3%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は19年7-9月期の前期比▲0.4%の後、10-12月期は同▲3.8%となった。
19年7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比1.8%となった。国内需要の底堅さを背景に非製造業は増加を続けているが、輸出の減少に伴う企業収益の悪化を受けて製造業は弱い動きとなっている。また、7-9月期の高い伸びの一因は、簡易課税制度を採用する中小企業を中心とした駆け込み需要であり、10-12月期にはその反動が生じることが見込まれる。10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの減少となる可能性が高いだろう。
19年7-9月期のGDP統計の設備投資は前期比1.8%となった。国内需要の底堅さを背景に非製造業は増加を続けているが、輸出の減少に伴う企業収益の悪化を受けて製造業は弱い動きとなっている。また、7-9月期の高い伸びの一因は、簡易課税制度を採用する中小企業を中心とした駆け込み需要であり、10-12月期にはその反動が生じることが見込まれる。10-12月期の設備投資は3四半期ぶりの減少となる可能性が高いだろう。
2.1-3月期は増産見込みも下振れリスクが大きい
製造工業生産予測指数は、20年1月が前月比3.5%、2月が同4.1%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(12月)、予測修正率(1月)はそれぞれ▲1.6%、▲0.7%であった。
19年12月の生産指数を20年1、2月の予測指数で先延ばし(3月は横ばいと仮定)すると、20年1-3月期の生産は前期比6.9%となる。ただし、生産実績が計画を下回る傾向が続いていること、予測調査が1/10時点で新型コロナウィルスによる肺炎の影響が織り込まれていないことを考慮すれば、実際の伸びはこれを大きく下回る可能性が高い。
消費税率引き上げ後の生産は、輸出の低迷に国内需要の悪化が加わったことから極めて弱い動きとなっている。先行きについては、駆け込み需要の反動が和らぐことで国内需要は徐々に持ち直すものの、輸出は当面弱い動きが続くことが見込まれる。新型肺炎の感染拡大による中国工場の操業停止が長期化すれば、ITサイクルの底打ちに伴い持ち直しつつあった中国向けの輸出が再び大きく落ち込むことにより、20年1-3月期も減産となる可能性が否定できない。
19年12月の生産指数を20年1、2月の予測指数で先延ばし(3月は横ばいと仮定)すると、20年1-3月期の生産は前期比6.9%となる。ただし、生産実績が計画を下回る傾向が続いていること、予測調査が1/10時点で新型コロナウィルスによる肺炎の影響が織り込まれていないことを考慮すれば、実際の伸びはこれを大きく下回る可能性が高い。
消費税率引き上げ後の生産は、輸出の低迷に国内需要の悪化が加わったことから極めて弱い動きとなっている。先行きについては、駆け込み需要の反動が和らぐことで国内需要は徐々に持ち直すものの、輸出は当面弱い動きが続くことが見込まれる。新型肺炎の感染拡大による中国工場の操業停止が長期化すれば、ITサイクルの底打ちに伴い持ち直しつつあった中国向けの輸出が再び大きく落ち込むことにより、20年1-3月期も減産となる可能性が否定できない。
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(2020年01月31日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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