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- 貿易統計19年12月-輸入の大幅減少を主因として10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%程度のプラスに
2020年01月23日
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1.輸入の減少幅が大きく縮小
財務省が1月23日に公表した貿易統計によると、19年12月の貿易収支は▲1,525億円の赤字となり、ほぼ事前の市場予想(QUICK集計:▲1,510億円、当社予想は▲776億円)通りの結果となった。輸出が前年比▲6.3%(11月:同▲7.9%)と減少が続く中、消費税率引き上げ後の国内需要の落ち込みや原油価格の下落から前年比で二桁の大幅減少となっていた輸入の減少幅が11月の前年比▲15.7%から同▲4.9%へと大きく縮小したため、貿易収支は前年に比べ▲968億円の悪化となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲1.9%(11月:同▲5.0%)、輸出価格が前年比▲4.6%(11月:同▲3.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比1.2%(11月:同▲8.1%)、輸入価格が前年比▲6.0%(11月:同▲8.2%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲1.9%(11月:同▲5.0%)、輸出価格が前年比▲4.6%(11月:同▲3.1%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比1.2%(11月:同▲8.1%)、輸入価格が前年比▲6.0%(11月:同▲8.2%)であった。
2.輸出はアジア向けが持ち直す一方、欧米向けが大きく落ち込む
19年12月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲11.4%(11月:同▲9.7%)、EU向けが前年比▲6.8%(11月:同▲8.3%)、アジア向けが前年比0.5%(11月:同▲2.7%)となった。
19年10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲5.7%(7-9月期:同▲5.3%)、EU向けが前期比▲3.8%(7-9月期:同3.7%)、アジア向けが前期比0.9%(7-9月期:同▲1.0%)、全体では前期比▲1.4%(7-9月期:同1.1%)となった。18年後半以降の輸出低迷の主因となっていたアジア向けの輸出はIT関連品目の持ち直しから下げ止まりの動きが見られるが、米国向け、EU向けの輸出が大幅に減少している。特に、米国向けは米国内の設備投資や自動車販売の低迷を受けて、資本財、自動車関連の落ち込みが顕著となっている。
一方、19年10-12月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、消費税率引き上げ後の国内需要の落ち込みを反映し、前期比▲1.8%(7-9月期:0.4%)の低下となった。
19年10-12月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲5.7%(7-9月期:同▲5.3%)、EU向けが前期比▲3.8%(7-9月期:同3.7%)、アジア向けが前期比0.9%(7-9月期:同▲1.0%)、全体では前期比▲1.4%(7-9月期:同1.1%)となった。18年後半以降の輸出低迷の主因となっていたアジア向けの輸出はIT関連品目の持ち直しから下げ止まりの動きが見られるが、米国向け、EU向けの輸出が大幅に減少している。特に、米国向けは米国内の設備投資や自動車販売の低迷を受けて、資本財、自動車関連の落ち込みが顕著となっている。
一方、19年10-12月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は、消費税率引き上げ後の国内需要の落ち込みを反映し、前期比▲1.8%(7-9月期:0.4%)の低下となった。
3.10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%程度のプラスに
12月までの貿易統計と11月までの国際収支統計の結果を踏まえて、19年10-12月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比▲0%台半ばの減少、輸入が前期比▲2%台の減少となった。輸出は引き続き低迷したが、消費税率引き上げ後の国内需要の落ち込みを反映し、輸入が輸出以上に大きく減少したため、10-12月期の外需寄与度は前期比0.3%(7-9月期:同▲0.2%)と3四半期ぶりのプラスとなることが予想される。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで19年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が3四半期ぶりに成長率を押し上げるものの、消費税率引き上げの影響などから民間消費、設備投資を中心に国内需要が急速に落ち込むことが見込まれるため、前期比年率▲4%程度のマイナス成長を予想している。
当研究所では、鉱工業生産、建築着工統計等の結果を受けて、1/31のweeklyエコノミストレターで19年10-12月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が3四半期ぶりに成長率を押し上げるものの、消費税率引き上げの影響などから民間消費、設備投資を中心に国内需要が急速に落ち込むことが見込まれるため、前期比年率▲4%程度のマイナス成長を予想している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年01月23日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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