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【東南アジア経済】ASEANの貿易統計(1月号)~輸出はアジア向け、欧州向けを中心に低迷
経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠
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ASEAN6カ国の仕向け地別の輸出動向を見ると、11月は北米向け(同13.1%増)が加速する一方、米中貿易摩擦の長期化を背景に東南アジア向け(同5.6%減)と東アジア向け(同4.8%減)、製造業景況感が悪化しているEU向け(同6.6%減)がそれぞれ低迷した(図表2)。
輸出を品目別に見ると、全体の約8割を占める主要工業製品は同6.4%減(前月:同2.6%減)と低下し、2ヵ月連続のマイナスとなった(図表4)。工業製品の内訳を見ると、主力の自動車・部品(同12.7%減)と家電製品(同0.9%減)がそれぞれ3ヵ月ぶりに減少したほか、機械・装置(同10.5%減)と石油化学製品(同10.3%減)、電子機器(同1.2%減)が低迷した。また鉱業・燃料は同36.0%減(前月:同34.5%減)となり、石油精製所のメンテナンスの影響を受けた石油製品(同44.3%減)を中心に低迷した。さらに農産物・加工品も同3.6%減(前月:同4.2%減)と4ヵ月連続のマイナスとなった。加工食品(同10.0%増)や果物(同9.1%増)、畜産物(同39.6%増)など一部の品目は大きく増加したが、品種改良が停滞しているコメ(同31.4%減)や輸出制限終了によって価格が急落した天然ゴム(同18.4%減)、ゴム製品(同3.2%減)が落ち込むなど、総じて低調だった。
輸出を品目別に見ると、まず輸出全体の約2割を占める電話・部品が同5.7%減(前月:同10.0%増)と低下し、10ヵ月ぶりのマイナスとなった。一方、コンピュータ・電子部品は同28.5%増(前月:同24.1%増)と好調に推移し、9ヵ月連続の二桁成長となった(図表6)。繊維関連では、履物が同11.4%増(前月:同15.0%増)と、二桁成長を続ける一方、織物・衣類が同1.7%増(前月:同1.4%減)と上昇したものの、小幅のプラスに止まった。農林水産物を見ると、コメ(同12.6%減)が落ち込んだほか、コーヒー(同24.6%減)と水産物(同3.6%減)が低迷した。一方、天然ゴム(同17.1%増)と野菜(同16.6%増)が二桁増まで上昇するなど、品目毎のバラつきがみられた。
輸出を資本別に見ると、全体の7割を占める外資系企業が同3.3%減(前月:同1.5%増)と減少する一方、地場企業が同25.2%増(前月:同22.2%増)と好調に推移した。
輸出を品目別に見ると、全体の約4割を占める機械・輸送用機器は同8.5%減(前月:同2.6%減)と、主力の電気・電子製品(同11.0%減)を中心に4ヵ月連続で減少した(図表8)。また鉱物性燃料は同22.9%減(前月:同29.4%減)と4ヵ月連続の二桁減少となった。原油(同22.9%減)と石油製品(同18.5%減)、天然ガス(同35.5%減)がそれぞれ減少した。さらに動植物性油脂が同2.1%減(前月:同10.0%減)とパーム油を中心に低迷したほか、化学製品が同3.4%減(前月:同12.7%減)と10ヵ月連続のマイナス成長となった。
全体の9割を占める非石油ガス輸出が同4.7%減(前月:同2.4%減)と低迷、石油ガス輸出が同15.8%減(前月:同40.7%増)とマイナス幅が縮小した(図表10)。品目別に見ると、宝飾品(同41.2%増)と電気機械(同4.3%増)は大きく増加したが、これまで好調だった自動車・同部品(同1.8%増)と鉄・鉄鋼(同1.8%増)が鈍化したほか、鉱産物(同22.0%減)や織物類(同5.9%減)、機械類(同4.7%減)、動植物製油脂(同1.0%減)など幅広い品目の減少傾向が続いた。
輸出(石油と再輸出除く)を品目別に見ると、まず全体の約3割を占める電子製品が同22.5%減(前月:同15.9%減)と落ち込み、12ヵ月連続の減少となった(図表12)。電子製品の内訳を見ると、主力のIC(同35.9%減)をはじめ、PC(同24.4%減)、PC部品(同1.7%減)などが低迷した。また電子製品と並び全体の約3割を占める化学は同14.8%減(前月:同25.6%減)と6ヵ月連続で減少した。化学製品の内訳を見ると、石油化学製品(同14.2%減)と医薬品(同15.5%減)がそれぞれ大きく減少した。
輸出シェア上位10品目を見ると、まず輸出全体の5割強を占める電子製品は同1.4%増と、前月の同7.1%増から低下したものの、8ヵ月連続のプラスとなった(図表14)。電子製品の内訳を見ると、家電製品(同37.6%増)が好調に推移した一方、主力の半導体デバイス(同2.2%増)と電子データ処理機(同0.8%減)はそれぞれ低下した。その他9品目は総じて増加した品目が多かった。その他鉱産物(同74.9%増)とその他製造品(同41.5%増)、製錬銅(同36.0%増)、生鮮バナナ(同11.1%増)、金属部品(同3.0%増)、化学(同0.1%増)が増加した一方、イグニッションワイヤーセット(同23.7%減)と機械・輸送用機器(同21.7%減)、電子機器・部品(同20.5%増)が大きく減少した。
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(2020年01月10日「経済・金融フラッシュ」)
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