- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 中国経済の見通し-来たる2020年は6%維持も、2021年は5.5%へ
中国経済の見通し-来たる2020年は6%維持も、2021年は5.5%へ

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 中国経済は18年以降、「債務圧縮(デレバレッジ)」や「米中対立」で景気が減速すると、中国政府が景気対策を繰り出して、減速に歯止めを掛けるという展開が続いている(下左図)。一方、消費者物価はアフリカ豚コレラの影響で抑制目標である「3%前後」を上回ってきたものの、食品・エネルギーを除くコアは前年比1.5%上昇に留まるなど、それ以外は概ね安定している。
- 個人消費の代表的な指標である小売売上高は、19年1-10月期に前年比8.1%増と18年通期の同9.0%増を0.9ポイント下回った。今後は所得税減税などによる名目可処分所得の押し上げ効果が薄れてくるため減速は避けられないものの、中間所得層の増加がサービス消費を拡大し、ネット販売化が新たな消費を喚起する流れが続いているため、底堅い伸びを予想している。
- 投資の代表的な指標である固定資産投資は、19年1-10月期に前年比5.2%増と18年通期の同5.9%増を0.7ポイント下回った。今後も米中対立による不透明感が足かせとなるが、ITサイクルが最悪期を脱したのに加え、インフラ投資も増えて、2020年の伸びは高まりそうだ。但し、第14次5ヵ年計画に入る2021年以降はデレバレッジを再開するため、減速すると見ている。
- 19年1-10月期の輸出(ドルベース)は前年比0.2%減と、18年通期の同9.9%増を大幅に下回り、ほぼ前年並みの水準で推移している。輸出の先行指標となる新規輸出受注指数は拡張・収縮の境界線となる50%を17ヵ月連続で割り込んでおり、米中対立は「第一段階」の合意に至ったとしても覇権争いの長期化は避けられないため、輸出の持続的な回復は期待できない。
- 以上のような中国経済の現状と政策動向を踏まえると、2020年の成長率は6.0%を維持するものの、2021年には5.5%へ鈍化すると予想している(下右図)。2020年には、ITサイクルが持ち直し、インフラ投資も次第に勢いを増すため、純輸出や個人消費の鈍化を補うものの、第14次5ヵ年計画に入る2021年以降はデレバレッジを再開すると見ているため、インフラ投資と不動産開発投資の伸びが鈍化して、5%台の経済成長が新常態になると予想している。
(2019年11月22日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済の見通し-来たる2020年は6%維持も、2021年は5.5%へ】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済の見通し-来たる2020年は6%維持も、2021年は5.5%へのレポート Topへ