2019年11月15日

2019~2021年度経済見通し(19年11月)

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
<実質成長率:2019年度0.6%、2020年度0.7%、2021年度0.8%を予想>
 
  1. 2019年7-9-月期の実質GDPは前期比年率0.2%と4四半期連続のプラス成長となったが、消費増税前の駆け込み需要があったことを考慮すれば低い伸びにとどまった。
     
  2. 駆け込み需要の大きさは前回の消費増税前の4割程度にとどまったと試算されるが、増税前の消費の伸びが低かったのは、もともとの消費の基調が弱いことも影響している。消費増税対策によって2014年度のような大幅な落ち込みは避けられるが、実質所得の伸び悩みを主因として消費の低迷は長期化する可能性が高い。
     
  3. 2020年度は東京オリンピック開催に伴う需要の拡大から前半は高めの成長となるが、後半はその反動から景気の停滞色が強まる可能性が高い。実質GDPが潜在成長率とされる1%を上回る伸びとなるのは2021年度後半になるだろう。実質GDP成長率は2019年度が0.6%、2020年度が0.7%、2021年度が0.8%と予想する。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2019年度が0.5%、2020年度が0.4%、2021年度が同0.5%と予想する。消費増税後には需給面からの上昇圧力が弱まること、賃金の伸び悩みが続きサービス価格の上昇率が高まらないことなどから、1%割れの推移が続くだろう。
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1.2019年7-9月期は前期比年率0.2%と4四半期連続のプラス成長
  ・前回増税時との駆け込み需要の比較
  ・消費税率引き上げ後の消費動向
2. 実質成長率は2019年度0.6%、2020年度0.7%、2021年度0.8%を予想
  ・日本経済は消費増税後、オリンピック終了後に正念場を迎える可能性
  ・消費増税後には内需が悪化する見込み
  ・輸出の低迷が続くが、明るい兆しも
  ・消費は低迷が継続
  ・製造業を中心に設備投資の牽引力は弱まる
  ・2018年度第2次補正、2019年度当初予算が公共事業を押し上げ
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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