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- 【19年7-9月期米GDP】前期比年率+1.9%、ほぼ前期並みの成長を維持、市場予想は上回る
2019年10月31日
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1.結果の概要:成長率は前期並みの成長を維持、市場予想は上回る
7-9月期の成長率を需要項目別にみると、個人消費が前期比年率+2.9%(前期:+4.6%)と堅調な伸びを維持したものの、17年10-12月期(同+4.6%)以来の高水準となった前期からは伸びが鈍化した(図表2)。また、政府支出も+2.0%(前期:+4.8%)と伸びが鈍化した。さらに、民間設備投資が▲3.0%(前期:▲1.0%)と2期連続のマイナス成長となったほか、マイナス幅が拡大した。
一方、前期に成長率を大幅に押下げた在庫投資と外需は、在庫投資の成長率寄与度が▲0.05%ポイント(前期:▲0.91%ポイント)、外需も同▲0.08%ポイント(前期:▲0.68%ポイント)と前期に続きマイナス寄与となったものの、マイナス幅は大幅に縮小した。また、住宅投資は前期比年率+5.1%(前期:▲3.0%)と7期ぶりにプラス成長となった。
当期は、民間設備投資が2期連続のマイナスとなったものの、成長率が前期並みの伸びを維持したほか、個人消費も堅調であったことから、依然として底堅い成長が持続していることを確認した。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
一方、前期に成長率を大幅に押下げた在庫投資と外需は、在庫投資の成長率寄与度が▲0.05%ポイント(前期:▲0.91%ポイント)、外需も同▲0.08%ポイント(前期:▲0.68%ポイント)と前期に続きマイナス寄与となったものの、マイナス幅は大幅に縮小した。また、住宅投資は前期比年率+5.1%(前期:▲3.0%)と7期ぶりにプラス成長となった。
当期は、民間設備投資が2期連続のマイナスとなったものの、成長率が前期並みの伸びを維持したほか、個人消費も堅調であったことから、依然として底堅い成長が持続していることを確認した。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)自動車・自動車部品消費の伸びが大幅に鈍化
7-9月期の個人消費は、財消費が前期比年率+5.5%(前期:+8.6%)、サービス消費も+1.7%(前期:+2.8%)といずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。財消費では、耐久財が+7.6%(前期:+13.0%)と前期の2桁の伸びから鈍化したほか、非耐久財も+4.4%(前期:+6.5%)と伸びが鈍化した。
耐久財では、自動車・自動車部品が前期比年率+0.7%(前期:+16.1%)と、大幅な伸びとなった前期の反動もあって、伸びが大幅に鈍化した。一方、娯楽財・スポーツカーは+17.5%(前期:+17.7%)と前期に続き力強い伸びを維持した。
非耐久財では、食料・飲料が+6.8%(前期:+5.3%)と前期から伸びが加速した一方、衣料・靴が▲0.4%(前期:+14.5%)、ガソリン・エネルギーが▲2.7%(前期:+1.0%)とマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+1.5%(前期:+1.1%)と前期から伸びが加速した一方、医療サービスが+1.7%(前期:+3.4%)、金融サービスが+0.5%(前期:+1.0%)と伸びが鈍化したほか、娯楽サービスが▲0.3%(前期:+6.4%)とマイナスに転じた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.9%(前期:+2.4%)と前期から伸びが加速した(図表4)。貯蓄率は8.1%(前期:8.0%)と前期から小幅ながら上昇した。
7-9月期の個人消費は、財消費が前期比年率+5.5%(前期:+8.6%)、サービス消費も+1.7%(前期:+2.8%)といずれも前期から伸びが鈍化した(図表3)。財消費では、耐久財が+7.6%(前期:+13.0%)と前期の2桁の伸びから鈍化したほか、非耐久財も+4.4%(前期:+6.5%)と伸びが鈍化した。
耐久財では、自動車・自動車部品が前期比年率+0.7%(前期:+16.1%)と、大幅な伸びとなった前期の反動もあって、伸びが大幅に鈍化した。一方、娯楽財・スポーツカーは+17.5%(前期:+17.7%)と前期に続き力強い伸びを維持した。
非耐久財では、食料・飲料が+6.8%(前期:+5.3%)と前期から伸びが加速した一方、衣料・靴が▲0.4%(前期:+14.5%)、ガソリン・エネルギーが▲2.7%(前期:+1.0%)とマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+1.5%(前期:+1.1%)と前期から伸びが加速した一方、医療サービスが+1.7%(前期:+3.4%)、金融サービスが+0.5%(前期:+1.0%)と伸びが鈍化したほか、娯楽サービスが▲0.3%(前期:+6.4%)とマイナスに転じた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.9%(前期:+2.4%)と前期から伸びが加速した(図表4)。貯蓄率は8.1%(前期:8.0%)と前期から小幅ながら上昇した。
(民間投資)建設投資のマイナス幅が拡大
7-9月期の民間設備投資は、知的財産投資が前期比年率+6.6%(前期:+3.6%)と前期から伸びが加速したものの、設備機器投資が▲3.8%(前期:+0.8%)とマイナスに転じたほか、建設投資が▲15.3%(前期:▲11.1%)と、前期からさらにマイナス幅が拡大し、設備投資全体の足を引っ張った(図表5)。
7-9月期の民間設備投資は、知的財産投資が前期比年率+6.6%(前期:+3.6%)と前期から伸びが加速したものの、設備機器投資が▲3.8%(前期:+0.8%)とマイナスに転じたほか、建設投資が▲15.3%(前期:▲11.1%)と、前期からさらにマイナス幅が拡大し、設備投資全体の足を引っ張った(図表5)。

設備機器投資では、産業機器が+7.0%(前期:+1.6%)と前期から伸びが加速した一方、輸送機器が▲9.9%(前期:▲9.3%)とマイナス幅が拡大したほか、コンピュータ・周辺機器が▲30.9%(前期:+34.7%)と前期から大幅なマイナスに転じたこともあって、情報処理関連全体でも▲7.4%(前期:+6.9%)とマイナスに転じた。
知的財産投資では、ソフトウエアが+8.2%(前期:+5.8%)、研究・開発も+5.5%(前期:+2.7%)となり、前期から伸びが加速した。
最後に住宅投資は、集合住宅が前期比年率▲3.3%(前期+3.7%)と前期からマイナスに転じたものの、戸建てが+5.3%(前期:▲3.7%)と6期ぶりにプラスに転じ、全体を押上げた。
(貿易)自動車関連輸出が増加
7-9月期の輸出入の内訳をみると、輸入が前期比年率+1.2%(前期:横這い)と前期から伸びが加速したものの、輸出が+0.7%(前期:▲5.7%)と前期からプラスに転じており、当期は輸出の拡大が貿易赤字を縮小させた(図表7、8)。
輸出を仔細にみると、サービス輸出が前期比年率▲0.8%(前期:▲5.1%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、財輸出+1.6%(前期:▲5.9%)とプラスに転じ、輸出全体を押上げた(図表7)。
財輸出では、食料・飲料が前期比年率▲8.2%(前期:+38.1%)と3期ぶりにマイナスに転じたものの、資本財(自動車関連除く)が▲2.5%(前期:▲16.7%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、消費財(食料・自動車関連を除く)が+0.8%(前期:▲12.9%)、工業用原料が+4.5%(前期:▲0.1%)、自動車関連が+14.0%(前期:▲10.9%)と、いずれもプラスに転じた。とくに、自動車関連は前期の反動もあって大幅な伸びとなった。
輸入は、サービス輸入が前期比年率+4.4%(前期:▲0.7%)と前期からプラスに転じたほか、財輸入が+0.4%(前期:+0.1%)と小幅ながら伸びが加速した(図表8)。財輸入では自動車関連が▲4.5%(前期:+8.1%)と前期からマイナスに転じたほか、資本財(自動車関連除く)が▲2.0%(前期:▲1.6%)、工業原料も▲4.6%(前期:▲4.4%)とマイナス幅が拡大した。一方、消費財(食料・自動車関連を除く)が+5.8%(前期:▲4.4%)とプラスに転じたほか、食料・飲料が+9.8%(前期:+2.1%)と伸びが加速した。
7-9月期の輸出入の内訳をみると、輸入が前期比年率+1.2%(前期:横這い)と前期から伸びが加速したものの、輸出が+0.7%(前期:▲5.7%)と前期からプラスに転じており、当期は輸出の拡大が貿易赤字を縮小させた(図表7、8)。
輸出を仔細にみると、サービス輸出が前期比年率▲0.8%(前期:▲5.1%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、財輸出+1.6%(前期:▲5.9%)とプラスに転じ、輸出全体を押上げた(図表7)。
財輸出では、食料・飲料が前期比年率▲8.2%(前期:+38.1%)と3期ぶりにマイナスに転じたものの、資本財(自動車関連除く)が▲2.5%(前期:▲16.7%)と前期からマイナス幅が縮小したほか、消費財(食料・自動車関連を除く)が+0.8%(前期:▲12.9%)、工業用原料が+4.5%(前期:▲0.1%)、自動車関連が+14.0%(前期:▲10.9%)と、いずれもプラスに転じた。とくに、自動車関連は前期の反動もあって大幅な伸びとなった。
輸入は、サービス輸入が前期比年率+4.4%(前期:▲0.7%)と前期からプラスに転じたほか、財輸入が+0.4%(前期:+0.1%)と小幅ながら伸びが加速した(図表8)。財輸入では自動車関連が▲4.5%(前期:+8.1%)と前期からマイナスに転じたほか、資本財(自動車関連除く)が▲2.0%(前期:▲1.6%)、工業原料も▲4.6%(前期:▲4.4%)とマイナス幅が拡大した。一方、消費財(食料・自動車関連を除く)が+5.8%(前期:▲4.4%)とプラスに転じたほか、食料・飲料が+9.8%(前期:+2.1%)と伸びが加速した。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+1.5%、前年同期比+1.4%(前期:+2.4%、+1.4%)と前年同期比は前期から横這いとなったものの、前期比年率では伸びが鈍化した(図表10)。また、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前期比年率+2.2%、前年同期比+1.7%(前期:+2.2%、+1.6%)と、こちらは前期比、前年同期比ともに前期から伸びが加速した。
この結果、PCE価格指数、コアPCE価格指数ともに前年同期比は、FRBが物価目標とする2%を18年10-12月期から4期連続で下回った。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
この結果、PCE価格指数、コアPCE価格指数ともに前年同期比は、FRBが物価目標とする2%を18年10-12月期から4期連続で下回った。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年10月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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