2019年10月18日

【9月米住宅着工、許可件数】着工件数は125.6万件と、前月(138.6万件)、市場予想(132.0万件)を大幅に下回る結果

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

文字サイズ

1.結果の概要:許可件数は小幅ながら予想を上回るも、着工件数は大幅に予想を下回る

10月17日、米国センサス局は9月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は125.6万件(前月改定値:138.6万件)と136.4万件から上方修正された前月値を下回ったほか、市場予想の132.0万件(Bloomberg集計の中央値)も大幅に下回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は138.7万件(前月改定値:142.5万件)と、こちらは141.9万件から上方修正された前月値は下回ったものの、市場予想の135.0万件は小幅ながら上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:9月は軟調も、GDPの住宅投資は7-9月期が7期ぶりにプラスの見通し

住宅着工件数の伸びは、前月比▲9.4%(前月:+15.1%)と2桁の増加となった前月からマイナスに転じた(図表3)。戸建てが+0.3%(前月:+5.1%)と小幅ながらプラスを維持した一方、集合住宅が▲28.2%(前月:+41.4%)と大幅なマイナスに転じて全体を押下げた(図表4)。

前年同月比では+1.6%(前月:+8.4%)と4ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅が▲5.1%(前月:+20.8%)と6ヵ月ぶりにマイナスに転じたものの、戸建てが+4.3%(前月:+2.9%)とこちらは4ヵ月連続でプラスを維持し全体を押上げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が▲0.4%(前月:▲0.6%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、北東部が▲4.1%ポイント(前月:+5.8%ポイント)、中西部が▲2.8%ポイント(前月:+2.7%ポイント)、南部も▲2.0%ポイント(前月:+7.1%ポイント)といずれも前月からマイナスに転じており、9月は全ての地域でマイナスとなった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲2.7%(前月:+8.2%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+0.8%(前月:+5.5%)と5ヵ月連続でプラスを維持したものの、集合住宅が▲8.2%(前月:+12.7%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じ全体を押下げた(図表6)。

前年同月比は+7.7%(前月:+12.5%)と3ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+2.8%(前月:+5.5%)と2ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+17.4%(前月:+25.6%)とこちらも3ヵ月連続のプラスとなった。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率 一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で9月がそれぞれ+8.7%(6月:+14.8)、+36.4%(6月:▲7.0%)となった(図表7)。足元で住宅着工、許可件数ともにプラスを維持しているほか、許可件数の回復が6月から顕著となっていることが分かる。

GDPにおける住宅投資は4-6月期に前期比年率▲3.0%(前期:▲1.0%)と6期連続のマイナス成長となっているが、住宅ローン金利の低下が住宅市場には追い風となっており、10月30日に発表が予定されている7-9月期の住宅投資は7期ぶりにプラス成長となる可能性が高いとみられる。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

(2019年10月18日「経済・金融フラッシュ」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【【9月米住宅着工、許可件数】着工件数は125.6万件と、前月(138.6万件)、市場予想(132.0万件)を大幅に下回る結果】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

【9月米住宅着工、許可件数】着工件数は125.6万件と、前月(138.6万件)、市場予想(132.0万件)を大幅に下回る結果のレポート Topへ