2019年10月25日

低金利が住宅市場の追い風に-住宅ローン金利の低下が住宅需要を押上げ。ただし、住宅供給制約が回復の重石に

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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■要旨
  1. GDPにおける住宅投資は19年4-6月期が前期比年率▲3.0%と、18年1-3月期から6期連続のマイナス成長となっており、住宅市場の低迷が長期化している。もっとも、住宅着工・許可件数ともに足元で回復傾向を示しており、7-9月期の住宅投資は7期ぶりにプラス成長に転じる可能性が高い。
     
  2. また、住宅販売は新築、中古住宅ともに19年に入ってから増加基調が持続しており、新築住宅は07年以来の水準まで回復したほか、足元で建設業者の販売見込みも大幅な改善がみられる。もっとも、新築、中古ともに在庫不足が続いており、住宅販売の回復に一定程度重石となっている。
     
  3. 住宅価格は需給の逼迫を背景に中古住宅価格の上昇が持続している一方、新築住宅価格が頭打ちとなっていることもあって、住宅価格の伸びには鈍化がみられる。
     
  4. 中古住宅価格の上昇が続いているものの、住宅ローン金利が大幅に低下した結果、中古住宅のローン返済額と所得を比較した住宅取得能力指数は足元改善に転じており、住宅ローン金利の低下が住宅市場に追い風となっている状況を示している。
     
  5. 労働市場の回復持続によって雇用不安が後退する中、住宅ローン金利の低下を追い風に住宅購入意欲は高まっており、今後も住宅需要は堅調が見込まれる。しかしながら、建設業界では熟練労働力が不足する状況に歯止めが掛かっておらず、住宅供給の大幅な増加は見込めないため、引き続き住宅供給面の制約が住宅市場回復の重石となろう。
(図表1)住宅着工件数と実質住宅投資の伸び率
■目次

1.はじめに
2.米国住宅市場の動向
  (住宅着工・許可件数)
   :着工件数は19年1月、許可件数は19年7月以降、増加基調が持続
  (住宅販売):新築、中古ともに19年以降、増加基調が持続
  (住宅価格):住宅価格の伸びは鈍化。中古住宅価格が新築に比べて割高な状況が持続
  (住宅ローン):住宅ローン金利の低下に伴い、住宅ローン需要が増加
  (住宅取得能力):住宅ローン金利低下が追い風
3.住宅市場見通し
  (住宅需要):住宅ローン金利の低下を背景に住宅需要は旺盛
  (住宅供給)
   :建材価格上昇に伴う建設コスト上昇は一服も、労働力不足が住宅供給のネックに
  (まとめ):住宅市場は目先回復も、住宅供給制約が回復の重石に
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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