- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- 現代消費文化を斬る-若者が映画館から離れた「4つの理由」
現代消費文化を斬る-若者が映画館から離れた「4つの理由」
生活研究部 研究員 廣瀬 涼
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
4――価格から見る消費者の映画館利用における3つの比較
またレディースデイやレイトショー、映画の日など正規料金よりも大幅に割り引かれるサービスが提供されており、割引料金で上映を行えるのならば、正規料金に対してなぜ割引料金で上映できないのかという、正規料金に対して「適正料金ではない」という疑いが生まれる。
次に消費者が行っている比較は、(3)映画を見るための手段との比較である。映画館以外で当該映画を見る方法はある。ブルーレイやDVDの販売を待つ、レンタルされるのを待つ、サブスクリプション・サービスを利用するという映画に対して対価を支払う方法もある。最新映画であれば飛行機で上映されているケースもあるため、他のサービスに付随するサービスとして鑑賞することも可能である。ここで比較されているのは「映画に対する関心度」と「手段にかかるコスト」の比較である。
彼らは「映画をみたいから」映画館やレンタルショップやサブスクリプション・サービスを利用している。そして、どの手段で「映画を観る」のかは、その映画に対する関心度によって決まるのである。その映画に対する関心度が高ければ高いほど、スクリーンが大きかったり、音響システムのよい映画館を利用する。関心度が低い映画に関しては、映画館が選好されることは少なく、他の手段が利用される。その手段を選好する際に「その手段にかかるコスト」が比較される。
5――映画デートの真意‐本当に映画がみたいのか‐
このとき彼らが比較しているのは、映画館以外の代替サービス(施設)である。彼らの目的は映画を見ることではなく、「二人で時間を共有することにある」。2人で「時間を使うことができる場所」という数ある選択肢の中で、その利便性から映画館が選ばれてはいるが、もし他のカフェが空いていればカフェでもいいといえる。カフェならば1900円あればコーヒーにケーキをつけてもおつりが返ってくる。
8 対象者都内大学生2014年11月22日~12月17日まで実施(女性269人、男性231人)
(2019年10月01日「基礎研レポート」)
03-3512-1776
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
廣瀬 涼のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2025/10/21 | 選択と責任──消費社会の二重構造(2)-欲望について考える(3) | 廣瀬 涼 | 基礎研レター |
| 2025/10/17 | 選択と責任──消費社会の二重構造(1)-欲望について考える(2) | 廣瀬 涼 | 基礎研レター |
| 2025/09/25 | 情報・幸福・消費──SNS社会の欲望の三角形-欲望について考える(1) | 廣瀬 涼 | 基礎研レター |
| 2025/09/12 | 「イマーシブ」の消費文化論-今日もまたエンタメの話でも。(第7話) | 廣瀬 涼 | 基礎研レター |
新着記事
-
2025年11月04日
今週のレポート・コラムまとめ【10/28-10/31発行分】 -
2025年10月31日
交流を広げるだけでは届かない-関係人口・二地域居住に求められる「心の安全・安心」と今後の道筋 -
2025年10月31日
ECB政策理事会-3会合連続となる全会一致の据え置き決定 -
2025年10月31日
2025年7-9月期の実質GDP~前期比▲0.7%(年率▲2.7%)を予測~ -
2025年10月31日
保険型投資商品の特徴を理解すること(欧州)-欧州保険協会の解説文書
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【現代消費文化を斬る-若者が映画館から離れた「4つの理由」】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
現代消費文化を斬る-若者が映画館から離れた「4つの理由」のレポート Topへ














