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1―相次ぐ異常気象
アフリカでは降水量が減少して気温が上昇しているだけではなく、干ばつが広がって民族対立の原因にもなっているという。欧州では地球温暖化問題に対する危機意識が高まっているようだが、日本では危機感は今ひとつだ。夏は高温多湿で冬はかなり寒いため、家屋が多少の暑さ寒さには対処できるようにできていることも、その原因の一つかも知れない。
2―不確実の中での意思決定
実験や観測できちんとした証拠を示せば全ての人を納得させられると考えるのは楽観的過ぎる。多くの科学者が温室効果ガスの発生が地球温暖化の最大の要因だと判断しているとされるが、めったに起こらないことが続けて起こる可能性はゼロではないので、温暖化ガスの影響を疑問視する科学者もいるのは確かだ。
温室効果ガスによって地球の気候が大きな影響を受けていることが誰の眼にも確実とは言えない中で我々は対応を決めなくてはならない。もしも、省エネルギー化や再生エネルギーへの転換に多大な労力を注ぎ込んだものの、後々温室効果ガス主因説が間違っていたことが判明すれば、多くの努力は無駄になる。しかし、我々が気候変動への対策を十分に行わなかったが、やはり温室効果ガス主因説は正しかったということになった時には、地球の環境が既に簡単には修復できない状態になっていて、我々の子孫は大変な苦しみを味わうことになるだろう。
対応を誤ったときに直面する危険の大きさを考えれば、無駄に終わる可能性があるとしても温室効果ガスを削減する努力をするというのが、常識的な判断ではないだろうか。
3―進んでいない日本の対応
日本では東日本大震災で起きた電力不足を契機に、電力消費量の少ないLED照明への転換が進むなど一段と省エネルギー化が進んだが、石炭火力発電所の増加が続いたため、非化石電源比率は2010年度の36%から2013年度には12%にまで低下した。主要な温室効果ガスである二酸化炭素の日本の排出量は、京都議定書で基準年とされている1990年度からほぼ横ばいで推移しており、人口一人当たりでみれば、むしろ増加している状況だ。特に家庭の利用のために発生した二酸化炭素は、1990年度に比べて2017年度は約2割も増加している。
地球環境問題への対応は長期戦であり、生活を大きく変えようとしたり、無理をしたりすると長続きせず失敗してしまう。いきなり大きなことをしようとするよりも、小さなことであっても、とにかくまず何か行動することが大切だ。日常生活で不必要なエネルギー消費を抑えるために、灯りをこまめに消すなど簡単にできることからはじめようではないか。
櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
研究・専門分野
(2019年09月06日「基礎研マンスリー」)
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