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- 鉱工業生産19年6月-2四半期ぶりの増産も、力強さに欠ける
2019年07月30日
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1.4-6月期は2四半期ぶりの増産
経済産業省が7月30日に公表した鉱工業指数によると、19年6月の鉱工業生産指数は前月比▲3.6%(5月:同2.0%)と3ヵ月ぶりに低下し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比▲1.9%、当社予想は同▲2.2%)を大きく下回る結果となった。出荷指数は前月比▲3.3%と3ヵ月ぶりの低下、在庫指数は前月比0.3%と2ヵ月連続の上昇となった。
6月の生産を業種別に見ると、4月(前月比3.1%)、5月(同5.2%)と高い伸びとなっていた自動車がその反動から前月比▲8.8%の大幅減産となったほか、半導体製造装置の輸出減少が続いていることを反映し生産用機械も同▲6.9%と大きく落ち込んだ。
19年4-6月期の生産は前期比0.5%と2四半期ぶりに上昇したが、1-3月期の大幅減産(前期比▲2.5%)の後としては戻りが弱い。業種別には、世界的なIT関連需要の落ち込みを受けて電子部品・デバイスが前期比▲2.4%(1-3月期:同▲9.6%)と2四半期連続の減産となったが、国内販売の好調を受けて自動車が前期比2.9%(1-3月期:同▲1.4%)の増産となった。
6月の生産を業種別に見ると、4月(前月比3.1%)、5月(同5.2%)と高い伸びとなっていた自動車がその反動から前月比▲8.8%の大幅減産となったほか、半導体製造装置の輸出減少が続いていることを反映し生産用機械も同▲6.9%と大きく落ち込んだ。
19年4-6月期の生産は前期比0.5%と2四半期ぶりに上昇したが、1-3月期の大幅減産(前期比▲2.5%)の後としては戻りが弱い。業種別には、世界的なIT関連需要の落ち込みを受けて電子部品・デバイスが前期比▲2.4%(1-3月期:同▲9.6%)と2四半期連続の減産となったが、国内販売の好調を受けて自動車が前期比2.9%(1-3月期:同▲1.4%)の増産となった。
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は19年1-3月期の前期比▲7.4%の後、4-6月期は同2.5%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は19年1-3月期の前期比▲1.8%の後、4-6月期は同0.5%となった。19年4-6月期のGDP統計の設備投資は3四半期連続の増加となる可能性が高い。
2.7-9月期も増産が見込まれるが、基調は弱い
4-6月期の生産は2四半期ぶりに前期比プラスとなったが、鉱工業生産は平日が少ないほど季節調整値が高くなるような調整が施されていることには注意が必要だ。今年の5月はGW10連休の影響で昨年に比べて平日が2日少なかったため、4-6月期の季節指数が昨年よりも▲1%程度低く、季節調整値が高めに出やすくなっている1。鉱工業生産を原指数でみると4-6月期は前年比▲2.4%と1-3月期の同▲1.7%からマイナス幅が拡大している。季節調整値の前期比の伸びは割り引いてみる必要があり、鉱工業生産は基調としては低迷が続いていると判断される。

19年6月の生産指数を7、8月の予測指数で先延ばし(9月は横ばいと仮定)すると、19年7-9月期は前期比1.3%となる。実際の生産は計画を下回る傾向が続いているが、10月の消費税率引き上げ前の駆け込み需要に向けた増産が見込まれるため、7-9月期の生産は4-6月期に続き前期比プラスとなることが予想される。ただし、生産の基調が弱いことに加え、駆け込み需要の規模もそれほど大きくならないことが見込まれることから、前回の消費増税前のような高い伸び(14年1-3月期:前期比2.0%)とはならないだろう。
1 季節調整値=原指数÷季節指数
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年07月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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