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- ノー・ブレグジット(離脱撤回)という選択肢-経済合理性はあるが、分断は解消しないおそれ
2019年07月19日
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■要旨
メイ首相の協定案は、結局、19年1月15日に歴史的大差で否決、その後、2度にわたり否決され、期限は19年10月31日に延期された。期限通りの離脱を実現できなかった保守党の支持率は大きく低下、メイ首相は4度目の採決に向け野党の妥協を引き出すべく、新たな提案を試みたものの、野党の支持を得られないばかりでなく、与党内からも強い反発も招き、辞任が避けられない見通しとなった。
足もとでは協定に基づく「合意あり離脱」の可能性は大きく低下し、保守党の新党首に強硬派がつくことで、EUが否定する「アイルランドのバックストップを見直さなければ合意なしで離脱する」といった瀬戸際戦略を採る可能性は高まった。
保守党内も含めて、多数の議員が反対する「合意なき離脱」へと振り子が触れることで、ノー・ブレグジットの可能性が高まる展開も考えられる。
本稿執筆から5カ月が経った今も有力なシナリオがない悩ましさは変わっていない。
■目次
1――はじめに−未だ不透明な離脱の道筋、将来の関係-
2――メイ首相の協定案
−期限通り秩序立った離脱を実現する唯一の選択肢がなぜ支持されないか−
1|背景としての議会の分裂
2|アイルランド国境管理のバックストップの恒久化への懸念
3|将来の関係の曖昧さへの不安
3――英国議会が協定案を否決した場合の選択肢
1|ノー・ディール(合意なき離脱)
2|ノルウェー・プラス(単一市場、関税同盟残留)
3|ノー・ブレグジット(離脱撤回)
4――おわりに-世論調査が示す深い分断-
※本稿は2018年12月27日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。
メイ首相の協定案は、結局、19年1月15日に歴史的大差で否決、その後、2度にわたり否決され、期限は19年10月31日に延期された。期限通りの離脱を実現できなかった保守党の支持率は大きく低下、メイ首相は4度目の採決に向け野党の妥協を引き出すべく、新たな提案を試みたものの、野党の支持を得られないばかりでなく、与党内からも強い反発も招き、辞任が避けられない見通しとなった。
足もとでは協定に基づく「合意あり離脱」の可能性は大きく低下し、保守党の新党首に強硬派がつくことで、EUが否定する「アイルランドのバックストップを見直さなければ合意なしで離脱する」といった瀬戸際戦略を採る可能性は高まった。
保守党内も含めて、多数の議員が反対する「合意なき離脱」へと振り子が触れることで、ノー・ブレグジットの可能性が高まる展開も考えられる。
本稿執筆から5カ月が経った今も有力なシナリオがない悩ましさは変わっていない。
19年5月23日
■目次
1――はじめに−未だ不透明な離脱の道筋、将来の関係-
2――メイ首相の協定案
−期限通り秩序立った離脱を実現する唯一の選択肢がなぜ支持されないか−
1|背景としての議会の分裂
2|アイルランド国境管理のバックストップの恒久化への懸念
3|将来の関係の曖昧さへの不安
3――英国議会が協定案を否決した場合の選択肢
1|ノー・ディール(合意なき離脱)
2|ノルウェー・プラス(単一市場、関税同盟残留)
3|ノー・ブレグジット(離脱撤回)
4――おわりに-世論調査が示す深い分断-
※本稿は2018年12月27日発行「基礎研レポート」を加筆・修正したものである。
(2019年07月19日「ニッセイ基礎研所報」)
03-3512-1832
経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
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