2019年07月11日

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■要旨

近年、SDGs(持続可能な開発目標)が国際社会全体の目標として示され、総合的な課題解決が重要とされ、また、投資家が投資先企業にESG(環境・社会・ガバナンス)への配慮を求める動きが世界的に拡大している。他方、我が国では、人口減少・少子高齢化、インフラ老朽化などが喫緊の課題となっており、これらの社会・地域課題の解決には、SDGs やESG投資の観点なども踏まえ、官だけでなく、産業界など多様な組織やステークホルダーによる取組が必要不可欠となっている。

国土交通省土地・建設産業局は、このような背景を踏まえて作成した『企業による不動産の利活用ハンドブック-地方から始まる新しい活用のかたち-』を5月24日に公表した。同ハンドブックは、地方における不動産活用の促進の観点から、特に企業が所有する不動産(CRE:Corporate Real Estate)の利活用によって、地域貢献・地域活性化に寄与した事例など(13件)を集めたものであり、様々な地域課題解決に向け、産業界など多様な組織、ステークホルダーによる不動産利活用の取組を促進することを目的としている。様々な組織による活用の場である不動産、とりわけCREの利活用による社会的価値の創出に着目した画期的な事例集である。

ところで、筆者は、同ハンドブックの巻頭に「寄稿 ハンドブック発刊によせて/地域活性化に向けた不動産の利活用」と題した論考を寄稿する、大変光栄な機会を得、CREの有効な利活用を促進するためのポイントや留意点などを解説した。そこで本稿では、同ハンドブックの構成、国土交通省のこれまでのCREへの主な取組と筆者の関わりについて簡単に触れた上で、筆者が執筆した寄稿文について概要を紹介したい。

■目次

1――はじめに~国交省が『企業による不動産の利活用ハンドブック』を作成・公表
2――国土交通省『企業による不動産の利活用ハンドブック』の構成
3――国土交通省のこれまでのCREへの主な取り組みと筆者の関わり
4――筆者によるハンドブック寄稿文「地域活性化に向けた不動産の利活用」の概要
  1|地方圏での不動産市場の課題
  2|CSRやESGの推進に向けて求められる産学官民連携の推進
  3|地方における企業の不動産戦略の在り方~「三種の神器」の導入を!
5――むすび
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社会研究部   上席研究員

百嶋 徹 (ひゃくしま とおる)

研究・専門分野
企業経営、産業競争力、産業政策、イノベーション、企業不動産(CRE)、オフィス戦略、AI・IOT・自動運転、スマートシティ、CSR・ESG経営

経歴
  • 【職歴】
     1985年 株式会社野村総合研究所入社
     1995年 野村アセットマネジメント株式会社出向
     1998年 ニッセイ基礎研究所入社 産業調査部
     2001年 社会研究部門
     2013年7月より現職
     ・明治大学経営学部 特別招聘教授(2014年度~2016年度)
     
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員
     ・(財)産業研究所・企業経営研究会委員(2007年)
     ・麗澤大学企業倫理研究センター・企業不動産研究会委員(2007年)
     ・国土交通省・合理的なCRE戦略の推進に関する研究会(CRE研究会) ワーキンググループ委員(2007年)
     ・公益社団法人日本ファシリティマネジメント協会CREマネジメント研究部会委員(2013年~)

    【受賞】
     ・日経金融新聞(現・日経ヴェリタス)及びInstitutional Investor誌 アナリストランキング 素材産業部門 第1位
      (1994年発表)
     ・第1回 日本ファシリティマネジメント大賞 奨励賞受賞(単行本『CRE(企業不動産)戦略と企業経営』)

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レポート紹介

【地域活性化に向けた不動産の利活用-国土交通省『企業による不動産の利活用ハンドブック』へ寄稿】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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