2019年07月10日

企業物価指数(2019年6月)~前年比で30ヵ月ぶりのマイナスに転じる~

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.企業物価指数は2016年12月以来の下落

国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移 7月10日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年6月の国内企業物価指数は前年比▲0.1%(5月:同0.6%)と2016年12月以来のマイナスとなり、事前の市場予想(QUICK集計:前年比0.3%、当社予想は0.0%)を大きく下回る結果となった。

原油価格の下落により、石油・石炭製品が前年比▲5.5%(5月:同1.0%)と大幅に下落したことが影響した。前年比寄与度では▲0.38%ポイントと企業物価指数を大きく押し下げた。
国内企業物価指数の前月比寄与度分解 国内企業物価指数の前月比は▲0.5%(5月:同▲0.1%)と2ヵ月連続のマイナスとなり、下落幅を拡大させた。内訳をみると、非鉄金属は、中国の景気減速を背景とした銅やアルミニウムの国際価格の下落を受けて前月比▲2.3%(5月:同▲2.4%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。石油・石炭製品は原油価格の下落により前月比▲4.5%(5月:同1.4%)と大幅に下落した。石油製品を類別に見ると、ガソリン(前月比▲4.6%)、灯油(同▲8.4%)、軽油(同▲7.7%)がいずれも5ヵ月ぶりの下落となった。また、原油価格の動きが半年ほど遅れて反映される電力・都市ガス・水道(夏季電力料金調整後ベース)は前月比▲0.6%(5月:同▲0.7%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。

国内企業物価の前月比寄与度をみると、石油・石炭製品のマイナス寄与が最も大きかったが、当研究所の分類する項目(非鉄金属、素材(その他)、機械類、電力・都市ガス・水道、石油・石炭製品、鉄鋼・建材関連、その他)すべてでマイナス寄与となった。

2.輸入物価は国際市況を反映し下落

6月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲0.7%(5月:同0.8%)と5ヵ月ぶりのマイナス、円ベースでは前月比▲1.8%(5月:同▲0.6%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースでみると、石油・石炭・液化天然ガスは、原油価格の下落を受けて前月比▲1.2%(5月:同2.6%)と下落した。内訳をみると、原油(前月比▲1.7%)や液化石油ガス(同▲8.8%)のマイナスが押し下げ要因となった。また、金属・同製品は国際市況の落ち込みを反映し前月比1.9%(5月:同1.0%)と5ヵ月ぶりの下落となった。内訳をみると、中国の需要の落ち込みによる銅の国際価格の下落から、非鉄金属(前月比▲1.6%)や銅鉱(同▲7.0%)などを含む金属素材(同▲3.2%)がマイナスとなった。電気・電子機器は前月比▲0.2%(5月:同▲0.3%)と14ヵ月連続のマイナスが続いている。

為替レート(月中平均)は6月に108.1円、前月比▲1.6%の円高水準で推移していたが、足元では円高の進行が一服している。しかし、原油価格の下落や銅価格の下落など、世界経済の減速により国際商品市況は軟調に推移しており、先行きの輸入物価指数はマイナス圏での推移が続くと予想する。

3.川上から川下への下押し圧力が強まる

需要段階別指数の推移 6月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲5.3%(5月:同0.2%)、中間財が前年比▲0.9%(5月:同0.3%)、最終財が前年比▲1.1%(5月:同▲0.5%)となった。最終財は前月に引き続きマイナスとなり、素原材料及び中間財は2016年末以来のマイナスとなった。素原材料は国際商品市況を反映しやすく、原油や非鉄金属などの資源価格の下落が影響している。当面は素原材料の下落が後ズレして中間財、最終財の価格に波及するだろう。

また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比▲1.3%(5月:同▲0.4%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。

国際商品市況が軟調に推移する中、国内企業物価指数は今後も弱い動きが続くと予想される。 
 
 

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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2019年07月10日「経済・金融フラッシュ」)

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