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はじめに
まずは、「過剰数」及び「不足数」とは
「過剰数」とは、「自分自身を除くその約数の総和が元の数より大きい自然数」のことをいう。例えば、12の約数は、1,2,3,4,6,12であるが、12以外の約数の和は、16(=1+2+3+4+6)となり、これは12より大きいので、12は過剰数となる。
「不足数」とは、これとは逆に「自分自身を除くその約数の総和が元の数より小さい自然数」のことをいう。例えば、10の約数は、1,2,5,10であるが、10以外の約数の和は、8(=1+2+5)となり、これは10より小さいので、10は不足数となる。
因みに、以前紹介したように、「自分自身を除くその約数の総和が元の数に等しい自然数」は「完全数」と呼ばれている。
従って、自然数は、「完全数」、「過剰数」、「不足数」のいずれかに分類されることになる。
「過剰数」及び「不足数」について
12, 18, 20, 24, 30, 36, 40, 42, 48, 54, 56, 60, 66, 70, 72, 78, 80, 84, 88, 90, 96, 100
これによれば、100以下の数の中では、過剰数は22個存在することになる。
一方で、不足数について、小さい方から列挙すると、以下の通りとなる。
1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 9, 10, 11, 13, 14, 15, 16, 17, 19, 21, 22, 23, 25, 26, 27, 29, 31 ・・・・・
このように、過剰数に比べて、不足数は数多く存在している。
因みに、100以下の完全数は、6と28の2つだけなので、100以下の不足数は76個存在することになる。
「不思議数」とは
「擬似完全数」とは、「その数自身を除くいくつかの約数の和が元の数に等しい数」のことをいう。もちろん、全ての約数の和が元の数に等しい場合は、「完全数」になる。
従って、「不思議数」とは、「過剰数のうち、約数を(重複させずに)どのように選んでも、その和は元の数には一致しない数」ということになる。
具体的には、70は不思議数となる。
70の約数は、1,2,5,7,10,14,35,70であるが、これらの約数をどのように選んで和を計算しても、70とはならない。これは、1 + 2 + 5 + 7 + 10 + 14 + 35 = 74 であることから、簡単に検証できる。
一方で、例えば、60は不思議数ではない。
60の約数は、1,2,3,4,5,6,10.12.15.20,30,60であるが、これらの約数のうち、例えば10と20と30の和が60となる(もちろん、それ以外に、1+2+3+4=10 なので、10の代わりに、1,2,3,4を用いる組み合わせによっても、60とすることができる)。
実は、70は最も小さい不思議数である。また、不思議数を小さい方から列挙すると、以下の通りとなる。
70, 836, 4030, 5830, 7192, 7912, 9272, 10430, 10570, 10792 ・・・・
このように、「不思議数」はかなりまばらに分布している。
直感的には、むしろ「疑似完全数(その数自身を除くいくつかの約数の和が元の数に等しい数)」であることの方が珍しいのではないかと思われるかもしれない。実は全くの逆で、大多数の過剰数は「疑似完全数」となり、むしろ「疑似完全数でない」ことの方が稀ということになる。
「不思議数」は無数存在する
ただし、先に列挙した不思議数をみて、お気付きの方もおられると思うが、奇数の不思議数は発見されていない。「奇数の不思議数が存在するのか」は未解決問題となっている。
なぜ「不思議数」という名前が付与されたのか
不思議数は、いわば、過剰数の中で、「自分自身の約数の和で自分自身を表現できない数」ということになるのだが、先に述べたように、それが「不思議な」ことなのだ、ということ自体が一見すると「不思議(?)」に思われるかもしれない。ただし、その数が(無数に存在するとはいえ)相対的に限定されていることから、過剰数である限りにおいては、少なくとも「自分自身の約数の和で自分自身を表現できる」のが自然である、ということになる。
再び、「過剰数」について
その定義から明らかなように、過剰数の倍数は全て過剰数であるので、「偶数の過剰数も奇数の過剰数も無数に存在する」ことになる。さらに、繰り返しになるが、全ての擬似完全数は完全数又は過剰数であり、殆どの過剰数は擬似完全数でもあり、そうでない過剰数が「不思議数」と呼ばれることになる。
さて、「自分自身を除く約数の総和が、自分自身+1」となる数は過剰数となるが、このような数は「準完全数(quasiperfect number)」と呼ばれる。ただし、準完全数はいまだ発見されていない。
再び、「不足数」について
「自分自身を除く約数の総和が、自分自身-1」となる数は不足数であり、「概完全数(almost perfect number)」と呼ばれる。2n+1 の形の自然数はこの条件を満たしている(その約数は、1,2,22,… 2n で、その和は2n+1―1 となる)。ただし、この形の自然数以外の概完全数が存在するのかどうかは知られていない。
不思議数は、社会でどのように役立っているのか
将来的に、これらの概念に関する未解決問題が解決されて、その構造等が明らかになっていけば、何らかの形で社会でも利用されていくことになるのかもしれないので、これについても今後の楽しみということと思っていたい。
まとめ
いずれにしても、不思議数が、過剰数でありながら「自分自身の約数の和で自分自身を表現できない数」であるとの性質が、一体全体どのような意味合いを有しているのかについて、今後どういう形でさらなる解明等が行われていくことになるのかについては、大変興味深いと思われるが、いかがなものだろうか。
中村 亮一
研究・専門分野
(2019年06月24日「研究員の眼」)
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