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中国経済:景気指標の総点検(2019年夏季号)~5月の景気インデックスは6.30%と再び減速!

三尾 幸吉郎
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1.中国経済の概況

18年に中国経済が減速した要因のひとつに債務圧縮(デレバレッジ)がある。中国政府がデレバレッジに舵を切ったのは、17年の党大会後に開催された中央経済工作会議でのことで、2020年までの中期的な目標とされている。中国の非金融企業が抱える債務残高はGDP比約150%とG20諸国で最大、このまま放置すれば将来に大きな禍根を残すと考えたからだ。債務が拡大した発端はリーマンショック後の4兆元の景気対策にあるが、15年に株価が急落した時の景気対策でも債務が上乗せされた。そして、中国政府がデレバレッジを推進した18年、インフラ投資は急減速し、15年10月に導入された小型車減税が17年末で期限切れとなったことも自動車販売の足かせとなった。しかし、19年に入ると、18年12月の中央経済工作会議で打ち出された景気対策が徐々に効果を発揮し始め、インフラ投資はボトムアウトすることとなった。
一方、19年1-5月期の消費者物価は前年比+2.2%、食品・エネルギーを除くコア部分では同+1.8%となり、抑制目標「3%前後」を下回っている。5月には家畜伝染病「アフリカ豚コレラ」の蔓延で、豚肉価格が前年比で18.2%上昇したが、食品以外は今のところ安定している(図表-3)。
2.景気10指標の点検
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
個人消費の代表指標である小売売上高の動きを確認すると、4-5月期は前年比7.8%増(推定)と1-3月期の同8.3%増を0.5ポイント下回った(図表-8)。一定規模以上の統計で内訳を見ると、化粧品は伸びを高めたものの、飲食、衣類、日用品、家電などの伸びが鈍化した。なお、1-5月期の電子商取引(EC、商品とサービス)は、前年比17.8%増とその勢いはやや鈍ってきたものの、BAT(百度、阿里巴巴、騰訊)などプラットフォーマーが新たな消費を生み出す流れを背景に、全体を上回る高い伸びを維持している。今後は、調査失業率の上昇や株価反落が足かせとなるため、多くは期待できないものの、消費者信頼感指数や住宅価格が堅調なため失速する恐れは小さい。
一方、もうひとつの経済の柱である輸出(ドルベース)の動きを確認すると(図表-11)、4-5月期は前年比0.8%減と1-3月期の同1.3%増からマイナスに転じた。先行指標となる新規輸出受注は12ヵ月連続で50%を割り込んでおり、輸出の先行きは引き続き楽観できない状況にある。
(2019年06月21日「Weekly エコノミスト・レター」)
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