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2019年06月04日
市場の拡大が続くインドネシアの生保市場-インドネシアの生命保険市場(2017)-
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4――市場参入の状況 会社数の推移
収入保険料で計算した2017年のシェア(表3)を見ると、内国会社のシェアが45.8%、外資合弁会社のシェアが54.2%で、市場の半分を外資合弁会社が押さえている。しかし外資合弁会社のシェアは前年の2016年には6割を超えていたので、内国会社のシェア増加が著しい。
収入保険料上位20社を見ると、上位に外資合弁会社が数多くランクインしている。
2018年5月、ジョコ・ウィドド大統領が保険会社への外資出資比率の上限を80%とするという規則に署名した。80%の上限規制は上場保険会社や当該規則発効以前に、すでに外資の比率が上限を超えている会社には適用されず、これらの会社が外資の出資比率を引き下げることを強制されることはない。20社以上の保険会社の外資出資比率が80%を超えていると言われ、この既得権が認められないと大きな摩擦が引き起こされると案じられていたが、インドネシア当局は外資の果たしている役割を評価して、既得権を認める方向を採用した。
収入保険料上位20社を見ると、上位に外資合弁会社が数多くランクインしている。
2018年5月、ジョコ・ウィドド大統領が保険会社への外資出資比率の上限を80%とするという規則に署名した。80%の上限規制は上場保険会社や当該規則発効以前に、すでに外資の比率が上限を超えている会社には適用されず、これらの会社が外資の出資比率を引き下げることを強制されることはない。20社以上の保険会社の外資出資比率が80%を超えていると言われ、この既得権が認められないと大きな摩擦が引き起こされると案じられていたが、インドネシア当局は外資の果たしている役割を評価して、既得権を認める方向を採用した。
今後、インドネシア経済の発展とともに国民の間に生命保険へのニーズが高まることが予想されるが、その際には、イスラム教徒の一定割合の人々がイスラムの教義に則ったシャリア生命保険に加入することを選択すると考えられる。そのためシャリア生命保険事業の将来性は明るいと見られており、シャリア生命保険事業の発展を見越して多くの生命保険会社が取組を開始した。
OJKはビジネスユニットの一つとしてシャリア生命保険事業を行っている生命保険会社に対し、シャリア生命保険部門を分社化することを求めている。これに応じ2016年と2017年に1社ずつのシャリア生命保険専業会社が発足した。
OJKはビジネスユニットの一つとしてシャリア生命保険事業を行っている生命保険会社に対し、シャリア生命保険部門を分社化することを求めている。これに応じ2016年と2017年に1社ずつのシャリア生命保険専業会社が発足した。
5――さいごに
以上、数値を2017年のものに更新する形で、インドネシア生命保険市場の状況変化を見てきた。インドネシアの生保市場は、2016年までの好調を2017年も持続し、期待通りの成長を見せたが、2018年については伸び悩みの傾向が見られるとの報道もある。とは言え、インドネシア生保市場のキャパシティが高いこと、長期的に大きな成長が見込める市場であることには異論がない。これからも、外資のインドネシア生保市場への参入は続くだろう。ただし主立った保険先進国の代表的な保険会社が顔を揃え、地場の生保会社とともに覇を競うインドネシア生保市場は、まさに生保オリンピックの様相を呈しており、魅力ある市場であるとともに、生保会社の経営力を問われる場ともなりつつある。競争の中では撤退を選ぶ会社も出てくる。例えばオーストラリアのコモンウェルス銀行は2018年10月に、インドネシア生保子会社の株式80%をFWDに売却すると発表した。
今後とも、継続的にインドネシア生保市場のフォローを続けていくこととしたい。
今後とも、継続的にインドネシア生保市場のフォローを続けていくこととしたい。
(2019年06月04日「保険・年金フォーカス」)
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