- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 円高が思いのほか進まないワケ~マーケット・カルテ6月号
2019年05月23日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

米国の年内利下げ観測は7割まで高まっており、円高圧力になっている反面、利下げ観測が内外株価を下支えすることでリスクオフの円買いを和らげ、円高進行を抑えている。リスクオフに伴って、多くの通貨に対してドルが買われていることも、円高ドル安を抑制している。
今後3カ月の方向感はやや円安と予想。米中問題は難航しそうだが、その点は市場でも織り込み済みだ。むしろ、最悪の事態が回避されることでリスクオフの緩和や利下げ観測の後退に伴ってドル円はやや持ち直すだろう。3カ月後の水準は112円前後と予想している。ただし、市場のマインドが改善する前にFRBの情報発信などによって利下げ観測が後退してしまうと、内外株価の下落を通じてリスクオフの円買いが進みかねない点には注意が必要になる。
5月入り後のユーロ円は、リスクオフの円買いや欧州議会選・英EU離脱への警戒に伴うユーロ売りによってユーロ安に振れており、足元では123円付近にある。ユーロ圏の経済指標は相変わらず冴えないが、既に市場の期待が下がっているうえ、投機筋のユーロ売りポジションも積み上がっているため、底堅さもみられる。今後はリスクオフの緩和に伴って持ち直しに向い、3カ月後の水準は126円前後になると予想している。
長期金利は、5月に入り、米中摩擦の緊迫化や米利下げ観測に伴って若干低下し、足元は▲0.06%付近にある。今後も大幅な上昇は見込み難いものの、リスクオフの緩和や米利下げ観測の後退に伴ってやや持ち直すだろう。日銀もタイミングを見計らって国債買入れ減額を試みるはずだ。3ヵ月後の水準は0.0%付近と予想している。
(執筆時点:2019/5/23)
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年05月23日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【円高が思いのほか進まないワケ~マーケット・カルテ6月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
円高が思いのほか進まないワケ~マーケット・カルテ6月号のレポート Topへ