- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- ドル円相場の膠着はまだ続く?~マーケット・カルテ4月号
2019年03月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

ドル円の動きは米金融政策への見方とリスクオン・オフでほぼ説明できるが、今後も基本的に膠着状況が続きそうだ。FRBは3月FOMCで改めて利上げを当面見合わせて様子見する姿勢を示すとみられ、利上げ観測も利下げ観測も台頭しづらい状況が続くだろう。一方、リスクオン・オフに関しては、懸案の米中交渉が4月以降に合意に向うと期待され、リスクオンの円売り発生が見込まれる。ただし、米中交渉に目処が付けば、次は日本とEUが米国の標的にされることになる。米政権による強硬姿勢が警戒され、一方的なリスクオンにはなりづらい。従って、しばらくドル円の上昇はかなり限定的に留まり、3ヵ月後の水準は112円前後と予想する。ドル円に明確な方向性が出るには、米金融政策への見方が利上げか利下げに大きく傾く必要があるだろう。
ユーロ円は、3月上旬のECB理事会で金融引き締めに慎重な姿勢が示されたことでややユーロ安に振れた後、英EU離脱延期観測から持ち直し、足元は126円台で推移している。今後、英EU離脱延期によって合意なき離脱の可能性が低下すると見込まれること、米中の合意が期待されることはユーロ円の上昇圧力になる。ただし、ECBのマイナス金利縮小が遠のくなか、5月の欧州議会選や米欧・日米通商協議への警戒がユーロ円の下落に働く。3ヵ月後はほぼ横ばいの126円前後と見ている。
長期金利は、米金利の低迷や良好な国債需給を受けて低下し、足元では▲0.0%台半ばに差し掛かっている。今後は、(国債価格の)高値警戒感や米中合意に伴う安全資産需要の減少によってやや上昇すると見ているが、米利上げ観測の低迷、日銀追加緩和への思惑などから上昇余地は限られる。3ヵ月後の水準は0.0%付近と予想している。
(執筆時点:2019/3/20)
(2019年03月20日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/18 | トランプ関税発の円高は止まるか?~マーケット・カルテ5月号 | 上野 剛志 | 基礎研マンスリー |
2025/04/11 | 貸出・マネタリー統計(25年3月)~貸出金利は上昇中だが、貸出残高は増勢を維持、現金・普通預金離れが進む | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/04/07 | トランプ関税と円相場の複雑な関係~今後の展開をどう見るか? | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/04/01 | 日銀短観(3月調査)~日銀の言う「オントラック」を裏付ける内容だが、トランプ関税の悪影響も混在 | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
新着記事
-
2025年05月02日
金利がある世界での資本コスト -
2025年05月02日
保険型投資商品等の利回りは、良好だったが(~2023 欧州)-4年通算ではインフレ率より低い。(EIOPAの報告書の紹介) -
2025年05月02日
曲線にはどんな種類があって、どう社会に役立っているのか(その11)-螺旋と渦巻の実例- -
2025年05月02日
ネットでの誹謗中傷-ネット上における許されない発言とは? -
2025年05月02日
雇用関連統計25年3月-失業率、有効求人倍率ともに横ばい圏内の動きが続く
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【ドル円相場の膠着はまだ続く?~マーケット・カルテ4月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
ドル円相場の膠着はまだ続く?~マーケット・カルテ4月号のレポート Topへ