- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 波乱含みの金融市場、円安進行の余地は?~マーケット・カルテ3月号
2019年02月20日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大

世界経済の行方を左右する米中通商交渉は山場を迎えており、金融市場は波乱含みだ。ただし、3月初旬に向けて部分合意もしくは継続交渉となり、関税引き上げが延期されるという展開がメインシナリオになる。トランプ大統領は支持率に悪影響を及ぼす株安を避けるために、交渉決裂を回避する可能性が高いためだ。この結果を受けたドル円の反応としてはリスクオンの円売りが予想されるが、既に両政権の前向きな情報発信によって織り込みが進んでいること、決裂回避を受けた対人民元でのドル安がドル円でもドルの上値を抑えることから、円安進行は限定的になりそうだ。4月以降は米経済が堅調を維持するもとで6月の利上げ観測が台頭し、ドルがやや買われると見ている。3ヵ月後の水準は112円台を予想している。一方、もし米中交渉が決裂して関税が引き上げられれば、大幅な円高が進むだろう。
ユーロ円は、欧州の景気減速懸念によるユーロ売りとリスクオンの円売りが交錯する形で一進一退の推移が続き、足元は125円台後半にある。米中交渉の決裂回避(関税引き上げ延期)はユーロ円でも円安材料になるが、低調な景気を背景にECBがハト派色を強めることがユーロ安材料となり、ユーロ円はもみ合いが続くだろう。5月下旬に控える欧州議会選への警戒もユーロの上値を抑える。3ヵ月後は126円台と見ている。ユーロが大きく持ち直すには、ECBによる年内のマイナス金利縮小観測が台頭する必要がある。
長期金利は、米金利の低迷や良好な国債需給を受けて低下し、足元では▲0.0%台半ばに差し掛かっている。今後は、3月に米中摩擦が緩和、4月以降に米利上げ観測が台頭することでごく緩やかに持ち直すと見ている。3ヵ月後は0.0%台前半と予想している。
(執筆時点:2019/2/20)
(2019年02月20日「基礎研マンスリー」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
上野 剛志のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/09 | 貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
2025/07/08 | ドル円の膠着はいつまで?~ドル安でも円安是正は足踏み | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/07/01 | 日銀短観(6月調査)~トランプ関税の悪影響は今のところ限定的だが、早期の利上げには直結せず | 上野 剛志 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/06/27 | 資金循環統計(25年1-3月期)~個人金融資産は2195兆円と伸びが大きく鈍化、家計のリスク資産投資は加速 | 上野 剛志 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着 -
2025年07月09日
景気ウォッチャー調査2025年6月~気温上昇で夏物商材の売れ行きが好調、現状判断DIは2ヵ月連続の上昇~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【波乱含みの金融市場、円安進行の余地は?~マーケット・カルテ3月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
波乱含みの金融市場、円安進行の余地は?~マーケット・カルテ3月号のレポート Topへ