2019年05月16日

企業物価指数(2019年4月)~川上から川下への上昇圧力が弱まる~

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.国内企業物価はプラスを維持も横ばいの動き

国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移 5月14日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、2019年4月の国内企業物価は前年比1.2%(3月:同1.3%)と上昇率は前月から▲0.1%ポイント低下し、事前の市場予想(QUICK集計:同1.1%、当社予想は同1.2%)を小幅に上回る結果となった。伸び率は28ヵ月連続のプラスとなっている。
国内企業物価指数の前年比寄与度分解 前月比では0.3%(3月:同0.3%)と伸び率は前月から変わらず、3ヵ月連続のプラスとなった。石油・石炭製品(3月:前月比3.1%→4月:同3.3%)は3ヵ月連続のプラスとなった。石油製品を類別に見ると、ガソリン(前月比1.9%)、灯油(同3.2%)、軽油(同3.2%)などが原油価格の上昇に伴ってプラスとなった他、ナフサ(同15.3%)やC重油(同:12.1%)などが高い伸びとなった。石油・石炭製品の前月比寄与度は0.22%ポイント(3月:0.19%ポイント)となり、企業物価指数を押し上げた。年末にかけて下落していた原油価格の動きが遅れて反映される電力・都市ガス・水道(前月比▲0.6%、寄与度は▲0.04%ポイント)は6ヵ月ぶりに下落(夏季電力料金調整後ベース)に転じたが、化学製品(同0.6%、寄与度は0.05%ポイント)は6ヵ月ぶりにプラスとなった。また、非鉄金属(3月:前月比1.5%→4月:同0.1%)は銅価格の国際市況が横ばい圏で推移していることから、上昇幅を大きく縮小させた。

2.輸入物価は3ヵ月連続の上昇も先行きは不透明

4月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比0.2%(3月:同1.0%)と3ヵ月連続で上昇したものの、上昇幅は縮小した。また、4月のドル円相場は、前月比0.4%の円安水準になったことから、円ベースでは前月比0.5%(3月:同1.6%)と輸入物価を押し上げた。前年比(円ベース)は1.8%(3月:同2.5%)と2ヵ月連続でプラスとなった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースでみると、電気・電子機器(3月:前月比▲0.6%→4月:同0.3%)は1年ぶりに上昇した。電子部品・デバイス(3月:前月比▲1.0%→4月:同1.3%)の1年ぶりのプラス伸展が大きく影響している。また、金属・同製品(3月:前月比1.5%→4月:同0.7%)は、非鉄金属(同▲0.1%)が3ヵ月ぶりに下落に転じたものの、金属素材(同1.8%)などのプラスの下支えによって3ヵ月連続で上昇している。石油・石炭・液化天然ガス(3月:前月比▲3.1%→4月:同0.1%)は、天然ガス(同:▲9.0%)が大きく下落しているものの、原油価格の上昇による石油・同製品(同4.2%)のプラス寄与などから2ヵ月連続で上昇した。

原油価格は、アメリカがイラン原油全面禁輸の経済制裁を発表し、一時急上昇したものの、米中貿易摩擦による景気の先行き不透明感から足もとで下落に転じている。さらに、足もとのドル円相場も米中貿易摩擦の影響から円高水準で推移しており、今後の輸入物価は下落に転じる可能性が高い。

3.先行きは川上から川下への上昇圧力が弱まる

需要段階別指数の推移 4月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比4.4%(3月:同5.4%)、中間材が前年比1.5%(3月:同1.9%)、最終財が前年比0.3%(3月:同▲0.1%)と全ての段階でプラスとなった。川上にあたる素原材料の上昇を受けて、川下の最終財への価格転嫁の動きが進み、最終財は6ヵ月ぶりに上昇に転じた。

消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比0.3%(3月:同▲0.2%)と6ヵ月ぶりのプラスとなった。

ただし、米中貿易摩擦の激化による世界経済への先行き懸念から国際商品市況は頭打ちとなっている。前年比でみた素原材料は伸び率が鈍化していき、先行きは川上から川下への上昇圧力が弱まってくると見込まれる。
 
 

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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2019年05月16日「経済・金融フラッシュ」)

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