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- 法人企業統計18年10-12月期-自然災害による供給制約解消後も、企業収益は悪化
2019年03月01日
1.10四半期ぶりの減益
製造業は、輸出の低迷を主因として売上高が前年比3.9%(7-9月期:同4.3%)と前期から伸びが低下する中、売上高経常利益率が17年10-12月期の7.4%から6.4%へと低下したことが収益の悪化につながった。売上高経常利益率を要因分解すると、人件費要因、金融費用要因は利益率を押し上げたが、既往の原油高の影響で変動費が前年比6.2%と売上高の伸びを上回ったことが、利益率の悪化要因となった。変動費要因だけで売上高経常利益率は前年から▲1.7%ポイント悪化した。
非製造業は、売上高が前年比3.7%(7-9月期:同6.6%)と前期から伸びが大きく鈍化する中、売上高経常利益率が17年10-12月期の5.2%から4.8%へと低下した。製造業と同様に既往の原油高に伴う変動費の上昇が利益率の悪化要因となった。
非製造業は、売上高が前年比3.7%(7-9月期:同6.6%)と前期から伸びが大きく鈍化する中、売上高経常利益率が17年10-12月期の5.2%から4.8%へと低下した。製造業と同様に既往の原油高に伴う変動費の上昇が利益率の悪化要因となった。
2.経常利益(季節調整値)の水準は9四半期ぶりの20兆円割れ
季節調整済の経常利益は前期比▲5.1%(7-9月期:同▲14.5%)と2四半期連続で減少した。製造業(7-9月期:前期比▲21.1%→10-12月期:同▲11.2%)、非製造業(7-9月期:前期比▲10.2%→10-12月期:同▲1.5%)ともに2四半期連続で減少した。
経常利益(季節調整値)は19.5兆円となり、16年7-9月期以来9四半期ぶりに20兆円を割り込んだ。特に、製造業は直近2四半期で利益水準が3割低下した。
18年10-12月期は、7-9月期の経済活動を大きく押し下げた自然災害による供給制約はほぼ解消されたにもかかわらず、経常利益が一段と落ち込んだ。企業収益は実態として悪化したと考えられる。
先行きについては、18年後半の収益を大きく悪化させた原油高の影響がなくなる一方、海外経済の減速を背景とした輸出の低迷が製造業を中心に売上高を下押しすることが見込まれる。現時点では、19年1-3月期の経常利益は18年10-12月期から持ち直すと予想しているが、そのペースは緩慢なものにとどまる可能性が高い。
18年10-12月期は、7-9月期の経済活動を大きく押し下げた自然災害による供給制約はほぼ解消されたにもかかわらず、経常利益が一段と落ち込んだ。企業収益は実態として悪化したと考えられる。
先行きについては、18年後半の収益を大きく悪化させた原油高の影響がなくなる一方、海外経済の減速を背景とした輸出の低迷が製造業を中心に売上高を下押しすることが見込まれる。現時点では、19年1-3月期の経常利益は18年10-12月期から持ち直すと予想しているが、そのペースは緩慢なものにとどまる可能性が高い。
3.設備投資は堅調を維持も先行きは減速へ
設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比5.7%と9四半期連続で増加し、7-9月期の同4.5%から伸びを高めた。非製造業(7-9月期:前年比4.2%→10-12月期:同2.7%)は前期から伸びが鈍化したが、製造業(7-9月期:前年比5.1%→10-12月期:同10.9%)の伸びが加速した。
季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比3.3%(7-9月期:同▲4.4%)と2四半期ぶり増加した。非製造業は前期比0.2%(7-9月期:同▲2.7%)とほぼ横ばいにとどまったが、製造業が前期比8.8%(7-9月期:同▲7.4%)と高めの伸びとなった。
企業収益が大きく悪化する一方、設備投資は前期から伸びを高めたが、7-9月期に自然災害による供給制約の影響で実施できなかった投資が後ズレした可能性があることを割り引いてみる必要がある。また、足もとの設備投資の堅調は、企業収益が好調だった時期に策定された計画が実行に移されたことを反映した動きと考えられる。足もとの企業収益の悪化、景気の先行き不透明感の高まりなどを受けて、これから策定される19年度の設備投資計画は慎重なものとなることが予想される。人手不足対応の省力化投資、東京五輪関連の建設投資、訪日外国人急増に伴うホテル建設などが引き続き下支え要因となるものの、先行きの設備投資は減速に向かう可能性が高いだろう。
季節調整済の設備投資(ソフトウェアを除く)は前期比3.3%(7-9月期:同▲4.4%)と2四半期ぶり増加した。非製造業は前期比0.2%(7-9月期:同▲2.7%)とほぼ横ばいにとどまったが、製造業が前期比8.8%(7-9月期:同▲7.4%)と高めの伸びとなった。
企業収益が大きく悪化する一方、設備投資は前期から伸びを高めたが、7-9月期に自然災害による供給制約の影響で実施できなかった投資が後ズレした可能性があることを割り引いてみる必要がある。また、足もとの設備投資の堅調は、企業収益が好調だった時期に策定された計画が実行に移されたことを反映した動きと考えられる。足もとの企業収益の悪化、景気の先行き不透明感の高まりなどを受けて、これから策定される19年度の設備投資計画は慎重なものとなることが予想される。人手不足対応の省力化投資、東京五輪関連の建設投資、訪日外国人急増に伴うホテル建設などが引き続き下支え要因となるものの、先行きの設備投資は減速に向かう可能性が高いだろう。
4.10-12月期・GDP2次速報は小幅上方修正を予想
本日の法人企業統計の結果等を受けて、3/8公表予定の18年10-12月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.4%(前期比年率1.6%)となり、1次速報の前期比0.3%(前期比年率1.4%)から若干上方修正されると予測する。
設備投資は前期比2.4%から同2.6%へと小幅な上方修正となるだろう。設備投資の需要側推計に用いられる法人企業統計の設備投資(ソフトウェアを除く)は前年比5.5%と7-9月期の同2.5%から伸びを高めた。法人企業統計ではサンプル替えや四半期毎の回答企業の差によって断層が生じるが、当研究所でこの影響を調整すると前年比で3%台の伸びとなった。一方、金融保険業の設備投資は前年比▲11.0%(7-9月期:同▲16.8%)と2四半期連続の二桁減少となった。GDP1次速報時点の設備投資の需要側推計値は前年比1.2%の低い伸びとなっているため、本日の法人企業統計の結果は設備投資の上方修正要因と考えられる。
また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.2%から同▲0.1%へと上方修正されるだろう。その他の需要項目では、公的固定資本形成は12月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲1.2%から同▲1.8%へ下方修正されると予想する。
また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.2%から同▲0.1%へと上方修正されるだろう。その他の需要項目では、公的固定資本形成は12月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲1.2%から同▲1.8%へ下方修正されると予想する。
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2019年03月01日「経済・金融フラッシュ」)
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