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- 働く女性の管理職希望-正規雇用者の2割弱。挑戦できる環境作りと意識改革が必要。
働く女性の管理職希望-正規雇用者の2割弱。挑戦できる環境作りと意識改革が必要。

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 女性正規雇用者(非管理職)で管理職に興味がある割合は17.1%であり、30歳代でやや高まり、40歳代以降は低下する。大学院卒や高年収、体力に自信のあるほど、また、キャリア志向や女性の権利重視志向などが強い女性ほど管理職に興味がある。一方、短大卒や義理の実家と同居している女性で管理職への希望は弱い。
- 管理職に興味がある理由は収入増が圧倒的に多く、責任や権限が得られる、マネジメントへの興味ややりがいなどが続く。年齢とともに組織への貢献や裁量・責任への興味が高まり、大学院卒では専門性による貢献、高年収女性では周囲からの期待やキャリア実績などが理由に上がることが特徴的だ。
- 管理職に興味がない理由はストレスや仕事の責任が増えること、忙しさ、休みの取りにくさ、リーダーシップを取ることの苦手さなどがあがる。30歳代は家庭との両立負担、50歳代は現状満足が特徴的だ。属性別には、短大卒は期待されていない、大学院卒は専門性への対価が見合わない、高年収はマネジメントにやりがいを感じない、義理の実家と同居や既婚で子のいる女性は両立負担などが特徴的だ。
- 管理職に興味がない理由が解決しても管理職に興味がある割合は2割弱だ。休暇や経験の充実、両立負担の軽減等への期待がある一方、忙しさというデメリットは収入増ややりがいといった魅力を上回るようだ。現在、両立環境の整備が進んでいるが、企業規模や雇用形態等で状況は異なり、家庭で妻の負担が大きいという問題もある。
- 女性の管理職希望は2割弱だが、興味を持たない原因が解決すれば3割を超える。有給休暇取得の義務化や残業時間の上限規制などにより、状況は改善傾向にある。管理職登用へ向けた教育の充実が進み、ロールモデルが増えることも期待したい。一方、職制や性別の違いによらず優秀な人材が登用されるような環境作りが必要だ。また女性自身の改革も必要だろう。
■目次
1――はじめに~政府の2020年の女性管理職3割目標達成は厳しい状況、産業による差も
2――働く女性の管理職への興味
~過半数は興味なし、大学院卒・高収入女性で興味ありが多い
1|働く女性の管理職への興味
~興味ありは正規雇用者の2割弱。興味が高まるのは40歳前後。
2|属性による管理職への興味の違い
~大学院卒や高年収、体力あり、キャリア志向が強いと興味あり
3――働く女性が管理職に興味を持つ理由
~収入増、大学院卒で専門性、高年収で周囲の期待と実績
4――働く女性が管理職に興味を持たない理由~ストレスと責任、仕事と家庭の両立負担
1|管理職に興味を持たない理由
~ストレスと責任が圧倒的、30歳代で両立負担、50歳代で現状満足
2|属性別に見た管理職に興味を持たない理由~義理の実家と同居で両立負担、
大学院卒で対価が見合わない、高年収でマネジメントに興味なし・現状満足
3|管理職に興味を持たない原因が解決したら?
~でも「どちらともいえない」が過半数、興味ありは2割弱
5――おわりに
~環境が整えば3割目標の達成は可能、管理職へ挑戦できる環境作り、意識改革を
(2019年04月24日「基礎研レポート」)
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- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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