- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 不動産 >
- 土地・住宅 >
- 3方よしの関係が地域の価値を高める?
コラム
2019年03月27日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
3方よしの関係は、公共施設に限ったことではない。例えば、筆者がよく通りかかる一角に、住まいのエントランス周りに花を飾り、よく手入れしているお宅がある。見事に咲き誇ったときは、通りがかりに目にする者を楽しませてくれて、ときには、手入れをする主人に、「まあ、きれい。なんて言う名前のお花ですか?」などと声をかける者がいて、ひととき花を介した立ち話に花が咲いたりする。
こうした光景を目にするのは、近くに住む同じ地域住民として、とても好ましく感じる。なぜだろう?住民同士の交流が自然に生まれる、平和なコミュニティに属しているという安心感を、無意識に感じているからではないかと思う。
花を手入れするこの家の主人は、最初から人を楽しませようとして始めたのではあるまい。おそらく自分が好きなことをして楽しんでいるにすぎない。しかし見るものを楽しませ、会話を生み、その光景を眺める人に好ましい感情を抱かせる。好きなことをする人、それを見学する人、その光景を眺める人の3方よしを成立させている。
野球と庭の花を例に、空間の3方よしについて考えてきたが、そこには、3方よしを成立させる条件があるように感じる。まず好きなことをする人の、好きなことを外から目にすることができることである。そして、目にするだけでなく、身近に接することができることだ。
花はお宅の庭で育てているものの、それを通りから目にすることができ、近づけるからこそ、見る人を楽しませる。野球場も、プロの試合が行われるようなスタジアムではなく、公園の中でネット越しに眺められるからこそ、楽しむことができる。
つまりその活動が、道路や公園という公共空間から接することのできる状態が必要な条件と言える。さらに、いっとき複数の人がそこに留まることができる広さが必要で、周囲の人がその光景を眺めることができる、見通しのよさがなければならない。
個人的に好きなことを、パブリックな空間に開くことで、他者との関係が生まれ。それによって、個人的な行為を、ある種、公共性のある営みに変化させていると言えるのではないか。
そんな3方よしの関係が所々で生まれていくことで、地域にうるおいを与え、良質なコミュニティが育まれ、地域の価値を高めることにつながるように思うのである。
こうした光景を目にするのは、近くに住む同じ地域住民として、とても好ましく感じる。なぜだろう?住民同士の交流が自然に生まれる、平和なコミュニティに属しているという安心感を、無意識に感じているからではないかと思う。
花を手入れするこの家の主人は、最初から人を楽しませようとして始めたのではあるまい。おそらく自分が好きなことをして楽しんでいるにすぎない。しかし見るものを楽しませ、会話を生み、その光景を眺める人に好ましい感情を抱かせる。好きなことをする人、それを見学する人、その光景を眺める人の3方よしを成立させている。
野球と庭の花を例に、空間の3方よしについて考えてきたが、そこには、3方よしを成立させる条件があるように感じる。まず好きなことをする人の、好きなことを外から目にすることができることである。そして、目にするだけでなく、身近に接することができることだ。
花はお宅の庭で育てているものの、それを通りから目にすることができ、近づけるからこそ、見る人を楽しませる。野球場も、プロの試合が行われるようなスタジアムではなく、公園の中でネット越しに眺められるからこそ、楽しむことができる。
つまりその活動が、道路や公園という公共空間から接することのできる状態が必要な条件と言える。さらに、いっとき複数の人がそこに留まることができる広さが必要で、周囲の人がその光景を眺めることができる、見通しのよさがなければならない。
個人的に好きなことを、パブリックな空間に開くことで、他者との関係が生まれ。それによって、個人的な行為を、ある種、公共性のある営みに変化させていると言えるのではないか。
そんな3方よしの関係が所々で生まれていくことで、地域にうるおいを与え、良質なコミュニティが育まれ、地域の価値を高めることにつながるように思うのである。
(2019年03月27日「研究員の眼」)

03-3512-1814
経歴
- 【職歴】
1994年 (株)住宅・都市問題研究所入社
2004年 ニッセイ基礎研究所
2020年より現職
・技術士(建設部門、都市及び地方計画)
【加入団体等】
・我孫子市都市計画審議会委員
・日本建築学会
・日本都市計画学会
塩澤 誠一郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/07/08 | 住宅を社会的資産に-ストック型社会における住宅のあり方 | 塩澤 誠一郎 | 基礎研マンスリー |
2025/06/25 | 住宅を社会的資産に~ストック型社会における住宅のあり方~ | 塩澤 誠一郎 | 研究員の眼 |
2025/04/09 | 「計画修繕」は、安定的な入居確保に必須の経営手法~民間賃貸住宅における計画修繕の普及に向けて~ | 塩澤 誠一郎 | 基礎研レポート |
2024/08/13 | 空き家の管理、どうする?~空き家の管理を委託する際、意識すべき3つのこと~ | 塩澤 誠一郎 | 研究員の眼 |
新着記事
-
2025年07月11日
トランプ関税の日本経済への波及経路-実質GDPよりも実質GDIの悪化に注意 -
2025年07月10日
企業物価指数2025年6月~ガソリン補助金の影響などで、国内企業物価は前年比3%を割り込む~ -
2025年07月10日
ドイツの生命保険監督を巡る動向(2)-BaFinの2024年Annual ReportやGDVの公表資料からの抜粋報告(生命保険会社等の監督及び業績等の状況)- -
2025年07月09日
バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 -
2025年07月09日
貸出・マネタリー統計(25年6月)~銀行貸出の伸びが回復、マネタリーベースは前年割れが定着
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【3方よしの関係が地域の価値を高める?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
3方よしの関係が地域の価値を高める?のレポート Topへ