2019年03月05日

ブレグジットはどうなるか?-日本経済・企業にとっての英国EU離脱のリスクは何か

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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■要旨
 
  • 英国の欧州連合(EU)離脱の期日である3月29日23時(英国時間)が近づいている。
     
  • 1月15日以降の英国議会下院での採決によって、離脱期日での「合意あり離脱」の選択肢は一旦封印、期日延期は不可避な情勢だ。
     
  • 「再国民投票」は、労働党の方針転換で、以前より現実味を帯びているが、議会の過半数を確保する目途は立っておらず、可能性は高いとは言えない。
     
  • メイ首相の修正協定案に基づく「合意あり離脱」の可能性は消去法的に高くなっている。仮に3月12日に協定案が可決されても法案整備のための期日延期が必要だ。
     
  • たとえ、「合意あり離脱」に落ち着いても、それは、EUとの将来関係についての複雑な交渉の出発点に過ぎず、移行期間は20年末までだ。1年余りのうちに、「合意ありか、なしか」、移行期間を「延長するか、しないか」という議論が再び熱を帯びることになりそうだ。
     
  • 混迷が続く英国では日本企業の対応への関心も高まっている。在英国の日系企業の拠点は幅広い業種にわたる。製造業は「合意なき離脱」のリスクへの備えを迫られてきたが、「合意あり離脱」でも、EUとの将来の関係の変化に対応する必要がある。すでにEU圏内に拠点の新設や増強をした金融業も、英国の単一パスポートからの離脱による変化への対応を求められる。情報収集の拠点としても、EUの規制改革動向の把握のために、EU圏内を厚くする必要に迫られそうだ。
     
  • ブレグジットが日本経済に及ぼすマクロ的な影響は限定的と見られるが、日本企業の欧州戦略には影響を及ぼす。日本企業は英国を多様で複雑な欧州におけるビジネスのゲートウェイとして活用してきた。ブレグジットは、コストの増加につながるが、収益の増加を約束するものではない。日本経済・企業にとってのブレグジットのリスクは欧州がますます遠くなることではないだろうか。

■目次

1――はじめに
2――3つのシナリオの実現の可能性と課題
  1|合意なき離脱
  2|再国民投票
  3|合理あり離脱
3――日本経済・日本企業にとってのリスク
  1|注目を集める日本企業の動き
  2|日本にとっての欧州・英国
  3|日本経済・企業にとってのブレグジット

(2019年03月05日「基礎研レター」)

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