2019年02月08日

良好な環境が続くも、見通しはやや悲観的に~価格のピークは今年中が最多、米中関係に注視-第15回不動産市況アンケート結果

金融研究部 主任研究員   吉田 資

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3.不動産投資市場のリスク要因

(1) 概況
「不動産投資市場への影響が懸念されるリスク」について質問したところ、「中国経済」(64.9%)との回答が最も多く、次いで「米国政治・外交」(54.4%)との回答が多かった (図表-6)。一方、「国内政治・外交」(5.3%)、「為替」(5.3%)、「新興国経済」(0.9%)との回答は少なかった。
図表-6 不動産投資市場のリスク要因(上位3つまで回答)
(2) 前回調査との比較 [懸念が高まった(後退した)リスク要因]
(i)懸念が高まったリスク要因
前回調査から回答割合が10%以上増加したリスク要因は、「中国経済」(前回17.7%→今回64.9%)、「米国政治・外交」(前回17.7%→今回54.4%)、「国内景気」(前回31.0%→今回43.0%)であった(図表-7)。

「中国経済」との回答は、前回調査から大幅に増加し、6割強を占めた。2018年第4四半期の中国の実質経済成長率は6.4%と、3四半期連続で減速した。中国政府は、党大会後の2017年冬、「重大リスクの防止・解消」に舵を切り、債務圧縮を進めたため、2018年に入りインフラ投資が減少した。そこに米中貿易摩擦が追い討ちをかけたことで、株式市場が低迷し、自動車販売が前年割れに落ち込むなど高額消費も減少しており、中国経済の悪化への懸念が高まっている1

「米国政治・外交」と「国内景気」との回答も、前回調査から大幅に増加しており、米中貿易摩擦の先行きや、中国経済の減速が日本経済に与える影響を懸念する不動産実務家・専門家は多いと推察される。
(ii)懸念が後退したリスク要因
一方、前回調査から回答割合が10%以上減少したリスク要因は、「地政学リスク」(前回62.8%→今回11.4%)、「欧米経済」(前回58.4%→今回27.2%)であった(図表-7)。

「地政学リスク」は、前回調査では北朝鮮によるミサイル発射や核実験等を受けて、最も懸念されたリスク要因であった。2018年に入り米朝首脳会談が開催され、まもなく2度目の首脳会談が予定されている。北朝鮮からミサイル攻撃等のリスク懸念は後退しており、今回調査では「地政学リスク」との回答が大幅に減少したと考えられる。

「金利」との回答も、前回調査から大幅に減少した。2018年4月に黒田日銀総裁が再任され、金融政策(長短金利操作付き量的・質的金融緩和の枠組みによる金融調節方針)に大幅な変更はなく、金利に対するリスク懸念が後退しているものと思われる。
図表-7 不動産投資市場のリスク要因(前回調査との比較)
4.J-REIT市場の見通し

「2019年の東証REIT指数の年間騰落率の予想」について、「0%以上10%未満」との回答が最も多く、約8割を占める一方で、マイナスと予想した回答は、2割弱と留まった(図表-8)。

低金利環境のもとで不動産価格は上昇し、オフィス市況も着実に改善するなど不動産ファンダメンタルズが良好であることから、プラスと予想する回答が多数を占めたと思われる。
図表-8 2019年のJ-REITの騰落率予想
5.不動産価格のピーク時期

「東京の不動産価格のピーク時期」について、「2019年」(35.1%)との回答が最も多く、次いで「2018年または現時点」(27.2%)との回答が多かった(図表-9)。前回調査と同様に、東京五輪開催前の今年(2019年)に不動産価格のピークを迎えるとの見方に変化はなかった。

好調な市況が続いているものの、「景況見通しDI」はマイナスに転じて、一部ではやや悲観的な見方が強まっている。2019年10月には消費税率の10%への引き上げが予定されており、東京五輪関連投資も概ね2019年中に一段落する。

以上の情勢を鑑みて、今年中に不動産価格のピークを迎えると判断する実務家・専門家が多かったと思われる。
図表-9 東京の不動産価格のピーク時期
 
 

(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものでもありません。
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

(2019年02月08日「不動産投資レポート」)

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