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- 最近の人民元と今後の展開(2019年2月号)-米中合意で当面はボックス圏、その後は?
2019年02月04日
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- 1月の人民元レート(対米ドル、基準値、中国外貨取引センター)は前月末比2.4%上昇し1米ドル=6.7025元で終えた。米長期金利が18年11月の3.2%台をピークに低下に転じたため、人民元は3ヵ月連続の上昇となった。なお、日本円に対する人民元レートは、対米ドルの日本円の上昇率が人民元よりも小幅だったため、前月末比0.9%の元高・円安で終えた。
- 19年3月末に向けては、米中ともに短期金利の操作はしづらく、対米ドル人民元レートは横ばい圏での推移と予想している(想定レンジは1米ドル=6.5~6.9元、1元=15.5~16.5円)。但し、米中貿易協議が一旦手打ちとなった後も貿易不均衡の是正が進まなければ、購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感に焦点が当たって、元高に振れる可能性がある。
1――1月の人民元の動き
1月の人民元レート(対米ドル、基準値、中国外貨取引センター)は前月末比2.4%上昇し1米ドル=6.7025元で終えた。これまでの流れを簡単に振り返ると、15年8月の人民元ショック以降、中国では資金流出懸念が高まり、人民元は17年1月に1米ドル=6.9526まで下落した。しかし、17年5月に中国政府が基準値設定方法を変更したことやユーロが上昇に転じたことなどから、18年春には人民元ショック前水準(同6.2元台)まで値を戻すこととなった。その後、中国経済が減速し始めると米金利上昇に伴う米中金利差縮小が嫌気されて下落に転じた。18年8月に中国政府が基準値設定方法を再び厳しくすると下げ止まり、米長期金利が18年11月の3.2%台をピークに低下に転じたため、人民元は3ヵ月連続の上昇となった(図表-1)。
なお、日本円に対する人民元レートは、対米ドルの日本円の上昇率が人民元よりも小幅だったため、100日本円=6.1722元(1元=16.20円)と前月末比0.9%の元高・円安で終えた(図表-2)。
なお、日本円に対する人民元レートは、対米ドルの日本円の上昇率が人民元よりも小幅だったため、100日本円=6.1722元(1元=16.20円)と前月末比0.9%の元高・円安で終えた(図表-2)。
2――今後の展開
さて、19年3月末に向けては、米中ともに短期金利の操作はしづらく、対米ドル人民元レートは横ばい圏での推移と予想している(想定レンジは1米ドル=6.5~6.9元、1元=15.5~16.5円)。但し、米中貿易協議が一旦手打ちとなった後も貿易不均衡の是正が進まなければ、購買力平価(PPP)基準で見た人民元の割安感に焦点が当たって、元高に振れる可能性がある。

一方、米中両国は18年12月の首脳会談で、米国が19年1月1日に発動する予定だった追加関税(2000億ドル相当の製品に対する関税を10%から25%に引き上げる)を3月1日まで猶予した上で、中国が米国からの輸入を拡大して貿易不均衡是正を図るとともに、中国の構造的問題(技術移転の強要、知的財産権の保護、非関税障壁の是正、サイバー攻撃の停止、サービスと農業分野の市場開放)の解決に関する議論を進めることとなった。

1 米中貿易不均衡の根本的な原因に関しては「図表でみる世界経済(米中関係編)~米中貿易戦争はどうなるのか?」基礎研レター2018-10-19を参照
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2019年02月04日「経済・金融フラッシュ」)
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