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2019年01月30日
EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(2)-EIOPAの2018年報告書の概要報告-
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(5-2)動的VA適用の影響
以下の図表は、VAを適用した会社がVAを非適用とした場合のSCR比率への影響を示している。それらは、1) 標準式を使用した会社、2) 内部モデルを使用し、動的VAを使用しない会社、3) 内部モデルを使用し、動的VAを使用する会社、に分類される。これらの影響は、EEAレベル及び内部モデルの適用会社がいる国レベルで表示されている。動的VAの影響は、それを使用した52の会社のQRT(定量報告テンプレート)データに基づいている。なお、フランスからの1つの損害保険会社は分析に含まれなかった。
図表は、標準式を使用した会社と内部モデルを使用したが動的VAを使用していない会社との間で影響が同等であることを示している。
一方で、動的VAの使用がそれを使用する会社のSCR比率にかなりの影響を与えていることを示しており、EEA全体ではSCR比率を52%ポイント低下させる。動的VAの適用会社数が多い国々では、ドイツで45%ポイント、フランスで47%ポイント、オランダで94%ポイントの影響となっている。
なお、SCRへの影響でいえば、標準式使用会社は固定VAの非適用により、SCRが1%増加するのに対して、動的VA使用会社はその非適用により、SCRは25%増加する。
3つのサンプル(標準式使用者、内部モデルを使用するが動的VAを使用しない会社及び内部モデルを使用して動的VAを使用する会社)の規模は、国によって異なる。例えば、内部モデルを使用し、動的VAを使用する会社は、関連する管轄区域の技術的準備金の3%から53%に相当している。
以下の図表は、VAを適用した会社がVAを非適用とした場合のSCR比率への影響を示している。それらは、1) 標準式を使用した会社、2) 内部モデルを使用し、動的VAを使用しない会社、3) 内部モデルを使用し、動的VAを使用する会社、に分類される。これらの影響は、EEAレベル及び内部モデルの適用会社がいる国レベルで表示されている。動的VAの影響は、それを使用した52の会社のQRT(定量報告テンプレート)データに基づいている。なお、フランスからの1つの損害保険会社は分析に含まれなかった。
図表は、標準式を使用した会社と内部モデルを使用したが動的VAを使用していない会社との間で影響が同等であることを示している。
一方で、動的VAの使用がそれを使用する会社のSCR比率にかなりの影響を与えていることを示しており、EEA全体ではSCR比率を52%ポイント低下させる。動的VAの適用会社数が多い国々では、ドイツで45%ポイント、フランスで47%ポイント、オランダで94%ポイントの影響となっている。
なお、SCRへの影響でいえば、標準式使用会社は固定VAの非適用により、SCRが1%増加するのに対して、動的VA使用会社はその非適用により、SCRは25%増加する。
3つのサンプル(標準式使用者、内部モデルを使用するが動的VAを使用しない会社及び内部モデルを使用して動的VAを使用する会社)の規模は、国によって異なる。例えば、内部モデルを使用し、動的VAを使用する会社は、関連する管轄区域の技術的準備金の3%から53%に相当している。
3―まとめ
以上、今回のレポートでは、EIOPAの報告書に基づいて、ソルベンシーIIにおける欧州保険会社のLTG措置や株式リスク措置の適用実態とその財政状態に与える影響について、主として第3のセクションから、UFRの使用、MA及びVAの適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告してきた。
VAは多くの国で、生命保険・損害保険会社を問わず、幅広く使用されているが、MAは英国とスペインの2カ国の会社に限定されている。ただし、前回のレポートで報告したように、これら2カ国、特に英国の保険会社がMAの適用によって受けている影響は、VA適用会社全体に匹敵するものとなっており、これらの2カ国、特に英国におけるMAの位置付けの重要性が際立った形になっている。
次回の3回目のレポートでは、EIOPAの報告書の第3のセクションから、TTP(技術的準備金に関する移行措置)とTRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)という移行措置及びDBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)の株式リスク措置及びERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)の適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告する。
VAは多くの国で、生命保険・損害保険会社を問わず、幅広く使用されているが、MAは英国とスペインの2カ国の会社に限定されている。ただし、前回のレポートで報告したように、これら2カ国、特に英国の保険会社がMAの適用によって受けている影響は、VA適用会社全体に匹敵するものとなっており、これらの2カ国、特に英国におけるMAの位置付けの重要性が際立った形になっている。
次回の3回目のレポートでは、EIOPAの報告書の第3のセクションから、TTP(技術的準備金に関する移行措置)とTRFR(リスクフリー金利に関する移行措置)という移行措置及びDBER(デュレーションベースの株式リスクサブモジュール)、ED(株式リスクチャージの対称調整メカニズム)の株式リスク措置及びERP(ソルベンシー資本要件に準拠しない場合の回復期間の延長)の適用状況について、その国別の適用会社数やSCR比率への影響等を報告する。
(2019年01月30日「保険・年金フォーカス」)
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