日本の家庭に眠る”かくれ資産”総額は推計37兆円ーフリマアプリでの平均売買価格から算出、1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産ー 基礎研REPORT(冊子版)1月号 | ニッセイ基礎研究所
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日本の家庭に眠る”かくれ資産”総額は推計37兆円ーフリマアプリでの平均売買価格から算出、1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産ー
基礎研REPORT(冊子版)1月号
生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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このような中で、家庭に眠る不要品への注目が高まっている。自分にとっては不要品であっても、必要としている人へ上手く売ることができれば、案外、お金になるのかもしれない。
そこで、ニッセイ基礎研究所では、日本の一般家庭に眠る不要品の総量(=「かくれ資産」)に関する調査と「かくれ資産」の推計を監修した*。
調査は、全国の10~60代の男女2,536名を対象とした。調査では、家庭にある不要品の個数をカテゴリーごとに尋ねる(例えば、服飾雑貨や書籍、子どものおもちゃなど)ほか、不要品の処分方法の希望手段や日頃の消費行動なども尋ねた。
家庭に眠る不要品を「かくれ資産」と定義し、その金額を推計する際は、不要品の処分方法として、近年、人気が高まるフリマアプリに注目し、調査より得られたカテゴリーごとの不要品の個数に、メルカリでの平均売買価格(メルカリからのデータ提供)をかけあわせた。
その結果、日本の「かくれ資産」総額は、推計37兆177万円。1世帯あたり約70万円となった。なお、厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2017年の労働者1人あたりの年間賞与平均支給額74万7,156円である、1世帯あたりの「かくれ資産」はこれに迫る金額である。
これまでは資産と言えば、一般的には金融資産や不動産を指していたが、「かくれ資産」は、これらに続く第三の資産と言える。今後さらなる活用が見込まれる潜在的資産だ。
なお、経済産業省「平成28年電子商取引に関する市場調査(2017年4月)」によると、過去1年間に不用となった製品の推定価値は総額7兆6,254億円とのことだ。今回の推計では、これを大きく上回っている。
金額が乖離した理由は、①経済産業省のデータは「過去一年間に不用となった品物の推定価値」である一方、今回の調査は、過去からの蓄積を含めて「潜在的な不要品の推定価値」であること、②今回参照した平均売買価格はフリマアプリのものであり、こうした個人間取引では、比較的高めの価格で売買される傾向があると考えられるためだ。
ところで、調査では「かくれ資産」の予想額も尋ねたところ、8万8,169円であったが、実際には「かくれ資産」の平均額は1人当たり28万1,277円であり、予想の3倍を上回っていた。家庭には想像以上に多額の「かくれ資産」が眠っている可能性がある。なお、今回の「かくれ資産」の推計には、自動車やバイクなどは含まれていないため、家の中にあるモノだけで約30万円のかくれ資産が眠っているということになる。
また、個人の「かくれ資産」は年齢とおおむね比例しており、最もが多いのは60代以上の女性で、1人当たり49万7,856円であった(10代の3.5倍)。
「かくれ資産」の内訳は、服飾雑貨が4割、書籍・CD・ゲーム類が2割、家具・家電・雑貨が2割弱であった。女性は服飾雑貨が、男性は書籍・CD・ゲームが多い傾向があった。
また、年収に対する「かくれ資産」の割合は平均13.0%であり、20%以上を「かくれ資産家」と設定すると(全体の17.4%)、その買い物行動には「ネットショッピング好き」、「新品好き」、「色ち買い(同じアイテムを色違いで買う)しがち」という特徴があった。10~30代の若い「かくれ資産家」には「流行に敏感」「リア充」(好奇心旺盛で多趣味、友達が多い)という特徴もあった。
一方で、一年前と比べて「かくれ資産」の金額は減少していた(1人当たり▲5,947円)。これは、フリマアプリやオークションサイトなどのWEBサービスを利用した個人間取引が浸透しつつあるためだろう。今回の調査結果でも、フリマアプリの利用希望者は、昨年の2.5倍に増加している。
「売るときのことを考えて買う」という消費行動は、これまでも住宅や自動車の購入では見られてきたものだ。しかし、フリマアプリの浸透によって、日用品などの身近なモノにまで広がっている。また、若者を中心に、モノの「所有」から「利用」へという価値観も強まっている。
2019年10月には消費税率が10%へと引き上げられる。家計の負担がじわりと増す中で、家庭に眠るかくれ資産に目を向ける消費者が増え、ますますフリマアプリ市場は盛り上がるのではないか。
*1 調査実施は、アサツーディ・ケイと電通が設立した株式会社ドリルが主体となり2018年9月に発足した「みんなのかくれ資産調査委員会」。
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(2019年01月10日「基礎研マンスリー」)
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