2019年01月08日

【アジア・新興国】韓国の生命保険市場の現状-2018年のデータを中心に-

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

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■要旨
 
  • 2018年における生命保険の世帯加入率は85.9%で、2017年の84.9%に比べて1.0%ポイント上昇した 。一方、生命保険加入世帯の平均加入件数は3.7件で2017年の4.0件に比べて0.3件減少している。
     
  • 2018年における生命保険の商品別世帯加入率は、疾病保障保険が67.7%で最も高く、実損填補型医療保険(33.9%)、死亡保険(29.4%)、災害傷害保険(22.7%)などの他の商品の加入率を大きく上回った。
     
  • 2018年第2四半期における生命保険会社の保険料収入総額は26兆6724億ウォンで、前年同期の27兆3991億ウォンと比べて2.7%減少した。保険料収入総額の内個人保険が占める割合は87.3%で、団体保険の12.7%を大きく上回っている。
     
  • 大手3社(サムソン生命、ハンファ生命、教保生命)の市場シェア(保険料収入が基準)は、2018年第2四半期には47.8%で、前年同期の44.8%より上昇した。
     
  • 2018年第2四半期の韓国の生命保険会社の資産総額は841.2兆ウォン(前年同期の813.2兆ウォンに比べて3.4%増)で、その内一般勘定資産は694.3兆ウォン(前年同期の669.4兆ウォンに比べて3.7%増)であった。そして、一般勘定資産の利回りは3.82%(対前年同期比0.25%ポイント上昇)に達した(運用資産の利回りは4.10%、非運用資産の利回りは-2.47%)。
     
  • 生命保険の初回保険料を基準とした販売チャネルは、過去には保険外交員による販売が多かったものの、バンカシュアランスが登場してからは保険外交員のシェアは低下傾向にある。
     
  • 韓国は、2017年から生産年齢人口が減少し、高齢社会(2018年の高齢化率14.3%)に突入しており、今後生命保険市場は縮小傾向が続くと予想されている。人口高齢化や生産年齢人口の減少に供えて、今後は競争力のある多様な商品開発にこれまで以上に力を入れる必要があるだろう。

■目次

1――加入状況
2――収支の概況
3――市場シェアの推移
4――資産運用
5――販売チャネル
6――結びに代えて
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生活研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
高齢者雇用、不安定労働、働き方改革、貧困・格差、日韓社会政策比較、日韓経済比較、人的資源管理、基礎統計

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
    独立行政法人労働政策研究・研修機構アシスタント・フェロー、日本経済研究センター研究員を経て、2008年9月ニッセイ基礎研究所へ、2023年7月から現職

    ・2011年~ 日本女子大学非常勤講師
    ・2015年~ 日本女子大学現代女性キャリア研究所特任研究員
    ・2021年~ 横浜市立大学非常勤講師
    ・2021年~ 専修大学非常勤講師
    ・2021年~ 日本大学非常勤講師
    ・2022年~ 亜細亜大学都市創造学部特任准教授
    ・2022年~ 慶應義塾大学非常勤講師
    ・2024年~ 関東学院大学非常勤講師

    ・2019年  労働政策研究会議準備委員会準備委員
           東アジア経済経営学会理事
    ・2021年  第36回韓日経済経営国際学術大会準備委員会準備委員

    【加入団体等】
    ・日本経済学会
    ・日本労務学会
    ・社会政策学会
    ・日本労使関係研究協会
    ・東アジア経済経営学会
    ・現代韓国朝鮮学会
    ・韓国人事管理学会
    ・博士(慶應義塾大学、商学)

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